IPPONグランプリ第11回の解説

11回もやっていたんですね。前回の解説はニコ生で詳細に行ったのですが、ニコ生のプレミアムアカウントでなくなってしまったので、今回はブログで失礼します。

バカリズム(9大会連続10回目)(12S)

確実に積んでるエンジンと場数が違います、大喜利のエンジンがちゃんと脳の中にある。すべての答えが大喜利の公式によって導き出されているように感じる。逆にそこが弱点で、サドンデスになると途端に決め手の一撃に欠けるきらいがあります。これは公式型プレイヤーの大きな弱点であって、サドンデスのような場や1VS1ではそれほど大きな差がない限り、変化球を持っているプレイヤーが勝った方が場が盛り上がるので、そうするバイアスが働きます。それを突破するストレートも確実に持ってはいるはずなのですが、TVなのであんまり絶対王者と呼ばれている人がずっと勝ち続けるというのも良くないのかもしれないですね。

設楽統(バナナマン)(2大会連続7回目)(8)

正統派・・・というか、ブロックMCのような感じでしたね、今回は。説明キャラのような感じです。特に残りが小出水・堀内・岩尾なので、なおさらですね。バカリズムは確実に大喜利に集中することを求められているので、そのしわよせというか役割分担で設楽がここに座っている感じがしました。知性の毒・意味のある毒が武器だと思いますが、今回は画像ルーレットで答え以外の盛り上がりを作っていましたね。「これは難しいんだよ」ってきちんと言葉にしておけば全体のハードルが下がります。普通の大喜利も難しいは難しいのですが、普通の大喜利が難しいと言ったって大喜利大会なのでしょうがないですからね。色んな意味で確実に計算できるプレーヤーだと思います。

小出水直樹(シャンプーハット)(5)(2大会連続2回目)

前回のスカウトから残留でした。千原ジュニアが言っていたように「大喜利の枠を超えている画力」なのですが、その画は確実に大喜利のストライクゾーンに投げ込んできていたように思います。惜しむらくはまだ溶け込みがイマイチという点ですが、設楽とのコンビネーションもできたことだし、あとはいつ勝つ順番が回ってくるかなというところでしょうか。勝ちそうな人を勝たせて、その後かな。勝ちたいかどうか分かりませんが。

堀内健(ネプチューン)(2大会ぶり6回目)(13S)

僕はIPPONグランプリに関してはホリケン信者です。この人は確実に大喜利の試合がうまいです。特に正統派と組んだら確実に寝技で一撃です。積んでるエンジンはバカキャラを生かしたバカ一辺倒に思われますが、いやいやそうではなく、バカと正統派のハイブリッドエンジンです。比率でいうと7:3くらいかな。まず正統派で考えて、思いつかなかったらキャラを生かしたバカで押し切る、というのが戦法のように思います。本当に何の理屈もなかったら「ホリケンワールド」なんて言われないわけで、ホリケンの大喜利にはきちんと理屈があります。普通の人にはわからないだけで。ただ一つ問題として、正統派がいないと正統派との落差で取ってくるホリケンにはつらくなるのですが、松本が「ちゃんとしてるやん」みたいに言っていた答えなんかもできるので、やっぱりハイブリッドです。弱めではありますが。

岩尾望(フットボールアワー)(初出場)(6)

初出場で、ブロックの組み分けを見た時に、「ああ!これはのんちゃん消えちゃう!」と思ったのですが、やはり少し厳しいブロックだったように思いますね。要所要所では決めていたのですが、正統派は2人いるし、正統派としての力だとバカリズム・設楽の方が上ですからね。自信のキャラクターにすごいものがあるので、それにふりきったら分からなくなるかもしれません。

千原ジュニア(千原兄弟)(2大会ぶり8回目)(8S)

「これが正解です」みたいな感じで答えを出すのであまり好きではないのですが、バカリズムと同じく「大喜利ってこういうものですよ」とみんなに教えるザ・正統派の位置にいます。いつも横綱みたいな相撲を取るので、場をもっていかれるとつらい感じですね。

秋山竜次(ロバート)(2大会ぶり3回目)(9S)

詰め込み過ぎでおなじみの秋山。詰め込みすぎでした。今回も。勢いとボケの圧力で形になっていなくても押し切るというのは秋山のスタイルだとは思うのですが、大喜利としてはどうかなあ・・・と思わないでもありません。余計なことしなくても勝てるのに・・・と思ってしまいますね。どうしても。

川元文太(ダブルブッキング)(初出場)(5)

「電波少年的「箱男」の」と言われてもあんまりピンとこない人が多いであろう川元。IPPONスカウトからの登場だったのですが、今回面白かったという意見を多く見ました。徐々に毒が、抑えきれない毒が漏れ出てきている感じでしたね。有吉・設楽なんかは完全に毒を制御できていて、有吉が感情の毒、設楽が理性の毒のように棲み分けしているのですが、川元は確実に制御しきれない何かの力を持っている感じでしたね。解放したらやばそうですね。絶対テレビで流せないと思うけど。スナイパーみたいでかっこよかった。付けたし王が同じブロックにいたから余計に。

ビビる大木(7大会ぶり4回目)(5)

明るいので好きです。声質が画像で一言に向き過ぎているのでいいですよね。外してましたけど。ちょっとつかみきれてなかった感じがしましたね。最後まで。どんどん深みにはまっていったというか・・・AよりはBの方が楽なブロックだと思うんだけどな(あくまで比較)。

又吉直樹(ピース)(2大会連続5回目)(4)

今回はあまり記憶に残らなかったかなあ・・・という感じ。一番左の席は順番的にも難しいのかな・・・画像で一言ルーレットもあるし。同じスナイパータイプで確実に又吉より露出が少なく、ミステリアスだった川元のあおりを食った感じがしました。

追言:ランダムの面白さと、面白くなさ(の感じやすさ)

この文章だけnoteに転記してなかったので、まあそのまま転記するのもアレかなあと思ってちょっとだけ付け足しておきます。IPPONグランプリはテレビ番組なので、普通のアマチュア大喜利とは完全に別なのですが、重なって言うことの出来るポイントとしては、「組み合わせがランダムではない事」があげられると思います。

ブロック分けの時点で、バカリズムと千原ジュニアは確実に分けられています。これは、ベーシックな大喜利をできるポジションの人間が“ほぼいない”ということに起因しています。7回3失点ではないですが、アドリブであろう大喜利のしかも全国放送で、見せることができる、計算できるほどに大喜利をやっていて、さらに「大喜利をやっていることが認知されている」人があまりにも少ないのです。

それ以外というか、7回3失点を期待されない、1本大ホームラン打てばいいよ、という人は、芸人の中にもたくさんいるだろうし、もしかしたら、もしかしたら素人でも可能かもしれません。

しかし、軸になれる人間は少ない。まあ軸が2本あってもくどいのですが、そういうことがあるので、一緒のブロックにはしません。それぞれのブロックの軸になることによって、ホリケンが目立ったり、ダブルブッキング川元が怪しく光ったりするわけです。その軸からの距離によって。つまり予選自体を面白くするためには、ある程度の操作が必要だということです。

素人の大喜利でも、予選からコンテンツにする(つまり、勝敗以外の面白さを提供できると思っている)ということならば、組み合わせを操作するということがもっと行われても良いと思います。まあそのためには素人のことを知っている素人がいる必要があるのですが、完全にランダムということだと、参加している人以外が見たくなるモチベーションが、あまり思いつきません。

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