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【ネタバレあり】『星のカービィ ディスカバリー』の雑多な感想

ついに待望のカービィシリーズ最新作『星のカービィ ディスカバリー』が発売となった。今作は本編作品で初となる3Dアクションだ。(外伝作では『カービィのすいこみ大作戦』がある。『カービィのエアライド』も?)早速プレイし、あとはやり込み要素を残すのみとなったので、雑多に感想を書かせていただく。なお、物語終盤に関するネタバレを含むため、気になる方はブラウザバックを推奨する。




ゲームシステム

・冒頭で書いた通り、本作は3Dアクションである。
2Dだった今までの作品とはジャンルが変わるわけで、ゲームの性質も変わってしまうんじゃ、と思った人も多かったのではないだろうか。自分もその一人だった。しかし、やってみるとその不安は消え去る。3Dになってこそいるが、手触りは今までのカービィそのものなのだ。うまく説明できないけれど、ジャンプとか、技がバシバシ当たる感覚とか、全く変わっていない。

・もちろん、3D化に際する様々な変化もある。

・中でも3Dになった恩恵を最も強く感じるのは、フィールドを動き回る楽しさだ。単純に2Dより動きの自由度が高いので、探索の幅が広がるし、「こんなところにアイテムが!」みたいなポイントも多くて楽しい。
これを実現している陰の功労者ともいうべきなのがオートカメラである。本作は自分で操作しなくても勝手にカメラが動いてくれる。「3Dアクションに慣れてない初心者にはいいけど、そんなの自分で動かせた方がよくね?」と思われるかもしれないが、これがとても快適なのだ。オートカメラの具合で見えなくなってしまっている隠し通路を見つけるというような遊びもあり、たかがカメラとバカにできないほどの影響力がある。最初に「手触りが変わってない」と書いたが、そこにはこのカメラの秀逸さも含まれていると思う。右スティックに指を置いておく必要がないというのは些細なようで大きな違いなのかも。

・新コピー能力も、3D化を受けて考えられたんだな〜という感じがすごくする。
レンジャーは照準を自由に動かして射撃する能力。俯瞰視点で照準を動かす感覚は独特で面白い。この良さは2Dでは出せないだろう。
ドリルはその名の通りドリルを使って地面に潜ったり、突進したりできる能力。これも、ゲーム画面に常に地面が映っている俯瞰の3Dゲームならではだろう。仮に2Dで地面に潜っても、左右に動けるだけでそんなに楽しくなさそうだ。(奥深く潜れるようにすれば話は別だが、それはもうそれがメインのゲームになってしまうだろう)

・カービィが色々なものを頬張って能力を身につける新要素「ほおばりヘンケイ」も外せない。結構な頻度でステージに登場し、『星のカービィWii』の「スーパー能力」、『星のカービィ ロボボプラネット』の「ロボボアーマー」と同じぐらいの存在感を放っている。
そのバリエーションについての説明は割愛するが、特に好きだったのは「わっかほおばり」と「さんかくほおばり」だ。見た目の楽しさや驚きはもちろんのこと、3D空間でのアクションの幅を広げるという点でも大きな役割を果たしている。くるまほおばりは縦横無尽に動けるように、さんかくほおばりは勢いよく落下して攻撃できるように、といった具合だ。
ほおばっている間はモノの重さや大きさのせいで動きに自由が利かなくなってしまうという点でコピー能力ともうまく差別化がなされていた。

・あと、ホバリングの制限の存在は地味に大きい。ホバリングというのはAボタン連打でカービィがぷかぷか浮くアレである。今までの作品では画面の一番上まで、時間制限もなく浮くことができたが、今作では浮く高さに制限がつき、さらに一定時間経つとゆっくりと下降してしまうようになっている(時間制限に関しては『星のカービィ64』と共通の要素だったりする)。
これは、3D空間でもし従来通りの仕様だったら簡単になりすぎてしまうからだろう。実際、ホバリングでは行けない高さの場所にコピー能力を使って行く、みたいな謎解きもある。あと、今作のマップはオープンワールドではないため、自由に飛べてしまったら「行けない場所」が大っぴらになり過ぎてしまうということもあるだろうか。

・また、3D化とはあまり関係がないかもしれないが、鍛冶屋でのコピー能力の強化は大きな変更と言える。一段階の強化ではそれほどでもないが、二段階の強化となるとかなり無尽蔵に強くなる。攻撃範囲が広くなったり、多段ヒットになったりと、能力によって様々だ。「えっ、こんな……こんな強くてホントにいいの?」と思っちゃうレベル。今までのカービィにはなかった「自分の能力をカスタマイズし、強くなっていく感覚」が得られる。お気に入りはフルメタルカッターとスペースレンジャー。


グラフィックとか

・今作の舞台は新世界。かつては文明があったが、現在は途絶え、獣が支配している世界だ。今までの作品とは違い、カービィの住むポップスターを冒険することはない。その新世界の雰囲気がまたいい。簡単に言えば廃墟なんだけど、そのバリエーションは多岐に渡っており、非常に魅力的だ。また、廃墟といえば暗い雰囲気になってしまいがちな題材だと思うが、そこはカービィらしくポップにまとまっている。かといって明るすぎず、「全く新しいカービィ」としてちょうどいい塩梅だと思った。

今作の敵、ビースト軍団のデザインは少し異質だ。特にボスキャラたちはある種の「カービィらしくなさ」がある。特にラスボスはその最たるものという感じだ。ここ最近のラスボスは全員かなり異質といえるけど、フェクト・フォルガ暴走体の様々な獣がドロドロに混じり合ったおぞましい姿はそれらとも一線を画していると思う。あと、最終形態フェクト・エフィリスが、おぞましさや究極生命体感がありつつもエフィリンを取り込んだが故に彼の面影を残しているのがすごい。

過去作からの復活ザコは絶妙なセレクトで嬉しかった。ツイスター(トルネイド持ちのコマみたいなやつ)、パクト(目の前を通ると飲み込んでくる、ドッスン的なやつ)、ニードラス(ニードル持ちの蜂みたいな見た目のやつ)とか。スターアライズでのコモとコンセの復活の時もそうだったけど、こういう誰が喜ぶんだみたいなファンサービスが好きです。


サウンドとか

オープニングの歌(現地語)入り楽曲には驚かされた。インタビューでも記載があったが、こういう仕掛けは素敵だと思う。カービィと気持ちがリンクするなんて素敵すぎるぜ……。

ステージの曲数はかなり多い。今作のメインステージ数は比較的少なめなのだが、だいたい1ステージに1曲割り当てられているというぐらいの印象を持った。『ブリザードブリッヂの戦い』、『フォルガトゥントレジャー』が好きです。

サウンド面で言えば、最終ステージ「ラボ・ディスカバール」の日本語音声ナレーションは誰もが驚く所じゃないだろうか。明言こそされていないが、この世界に住んでいたのが人間か、あるいはそれに近い存在であったことを暗に示しているし、カービィシリーズにずっとうっすらと存在していたタブーを破ってもいる。

アレンジ曲が非常に少ないことにはびっくりした。毎作入っていた『グリーングリーンズ』が本作では全然流れない。デデデ戦とメタナイト戦ですらもアレンジが強めで、原曲の要素は少々少ない。直球のアレンジは無敵BGMぐらいだ。
『資源エネルギープラント』は、ステージのシチュエーションもいかにも『こうじょうけんがく』のアレンジが流れそうな感じなのだが、「ここのフレーズがほんのちょっとだけ似てるな」という程度で、少なくともアレンジではない。

それが伏線だったかのようにクライマックスで流れる無敵BGMアレンジ『無敵にGOODBYE NEW WORLD!』は鳥肌ものだった。しかもこれでもかとGB音源が使われている。3Dに新生したカービィを締め括る曲が第一作の出たGB音源だなんてエモすぎる。しかも、当たり前過ぎて意識しないけど、無敵BGMもまた初代カービィから使われてる曲なんだよな……


その他

・今までに引き続き、見た目に反してエグさを孕んだシナリオと設定は健在で良かった。
・可愛らしいエフェリンのくり抜かれた耳は実験生物として扱われていた故のものだったり、ラスボスのモチーフに胎児と受精が用いられていたりと、トリプルデラックスの「植物」、ロボボプラネットの「機械」、スターアライズの「宗教」などといった今までの敵勢力のテーマと同じように「生物(と、それに介入する人間?)」が大事にされているなと思った。

・ワドルディ集めなどのやり込み要素が多いのも嬉しい。特にワドルディは集めれば集めるほど街が発展していき施設も増えるというのが、「ちゃんと増えてんだな」という感じがして良い。

・今作はエンディング後にも新たなステージが開放され、後日談のようなストーリーも描かれるが、正直これに関しては「すごくいい!」とは思わなかったかもしれない。エンディングで一件落着したのに、そこからほんの少しだけ物語が付け足されるのはいわゆる蛇足というやつなんじゃないかと思う。もちろんクリア後の要素として難しいステージが追加されるのはうれしいんだけど、ストーリーとして組み込むには短かったんじゃないだろうか。最後のバルフレイナイトの登場も、本編ストーリーとして入れるには唐突過ぎる気がした(前はボスラッシュのおまけ要素だったので良かったけど)




まとめ的なやつ

今までの枠組みを取っ払った挑戦作にして、今までの作品の良さを多分に残した超良作。カービィの歴史の中でも重要なポイントになることは間違いないだろう。この路線でカービィがどう進化していくのかというのも今から気になる所である。

マリオシリーズにおける『スーパーマリオ64』は、その時代感から3Dアクションという新たなジャンルを切り開くという側面もあり、「今までのマリオの要素を活かす」というのはあまり重要視されていなかったと思う。それに対して、それまでの感じをほぼそのまま2Dに起こして成立させた本作は立ち位置が違うなと思ったりもする。

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