立夏の恋模様3_藤星

 気まずい空気が流れた後、
 「私、先に戻ってるから!」
 優希は急いで接客に戻る。
 その後も来客は絶えず、重は接客班の助っ人に駆り出された。
 「重、こっちの手伝いお願い!」
 「分かった!」
 彼は慌ただしく教室を駆け、各テーブルの注文を聞いて回る。

 「写真撮影していいですか?」
 「はい!」
 優希も写真撮影の対応に追われる中、接客をする。
 (優希のヤツ、ちょっと頑張りすぎかな)
 接客がひと段落した後、重はふと優希の方に目を向ける。
 「……接客は俺がやるから、優希は写真撮影の対応してな」
 「ちょっ、重?! アンタまだ仕事残ってるでしょ?」
 「あ? そうだけど……」
 「そこのお兄さんも、写真撮影していいですか?」
 「どうせなら、二人一緒に写真を撮ってもらった方がいいんじゃない?」
 「……え?!」
 間に入ってきたクラスメイトの一言に、重と優希は啞然とする。
 「写真撮りますねー、はいチーズ!」
 「重、ぼやっとしてないで次いくよ!」
 「俺まだ接客の仕事終わってないんだけど?!」
 「いいから、次!」
 写真を撮ってもらった後、彼らは再び赤面して仕事に戻った。

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