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AppLovinがMoPubを買収した件

***在職中に知り得た情報等は全く使っていません。***

AppLovinが私の古巣のMoPub(Twitterの一部門)を買収したという発表が今朝あった。

(いろいろ記事になっているが、当事者の情報のほうが良いのでCFOのTweetを挙げる)

MoPubはモバイルアプリに特化したMediation/SSP Productとしてはかなりの古参であり、2013年にTwitterに買収され、以後はTwitterの傘下でビジネスをしてきた。

(350Mで買収し今回1Bで売却、なかなか良いDeal)


Q. 何がすごい?

MoPubはMediationというアプリの収益化PlatformとしてはGoogle傘下のAdMobに並ぶ実績のあるProductであり、それをMediation Platformに参入して3年のAppLovinが買収したということ

例えて言うと、モバイルアプリ業界としては、インパクトとしては、GoogleがDoubleClickを買収したぐらいだと個人的には思う。

当時のGoogleは記事にあるとおり、検索は爆発的に拡大しているが、AdSense(媒体向け)はそこまで、という感じだったが、このタイミングでDoubleClickを買収したことで、

- 後にアドテクと言われる領域の最先端の人材+製品を手に入れたこと

- SMBに偏っていた顧客領域を一気にEnterprise(大手媒体)へ拡大できたこと

- (今となってはだが)DoubleClickの持つ、10年以上蓄積されている膨大なCookie情報を手に入れたこと

と、後のRTBの時代、アドテク全盛、Google1強の一つの大きなきっかけであったと今から振り返ると思う。(いや、ほんとに3Bでこれは安すぎたな)

Q. 双方のメリット

その視点から今回のDealを見てみると、金額の是非はさておき、

<AppLovin>

- 数万と言われる比較的大規模なアプリを顧客として獲得できることで、Display(Banner/Native)の在庫が一気に増える(サプライサイド)

- Exchangeの先にあるDSPの接続は基本今でも実装はリソースがかかる。それを100を超えるDSPへの接続が一気に手に入る(デマンドサイド)

- 巨大Productを支えてきたProduct Manager含め、業界のベテランを大量に獲得できる(人材サイド)

ということで、今のところメリットしか見えない。というか今見直してみると、2Bぐらいでも買い手があったんじゃないかと思う。(#買収はタイミング)

<Twitter>

Nedが言っているように、O&O(Twitter本体)にフォーカスするというのは本音なのだろう。基本Twitterは2013年の上場以来キャッシュリッチであり、1Bが今どうしても欲しそうには見えない。

ならば売らなくても、と思うのだが、主力事業にフォーカスして他を(たとえキャッシュカウだとしても)売却するというのは、米国企業としての真っ当な判断だなと思う。(株式市場は、多角的事業を行う企業を評価しない)

O.これから待ち受けるもの

ここからは、外部から見た想像(妄想)ですが、テンプレ通りの統合の痛みというのがあるかと思います。

<Cultureの統合>

これはMoPubしか知らないので、どの程度苦労するかは全くわからないですが、例え同じ西海岸の会社だったとしても成り立ち、文化は全く違うので、ここを失敗すると優秀な人から辞めていきます。で、Tech企業あるあるですが、Productだけ(つまりソースコードだけ)が残っても、それ自体にはそれほど価値はなく、それらを支えるProduct Manager、Senior Architect、熟練Engineerが離反すると、だいたい買収は失敗します。なので、大体のTech企業の買収は最低1年間は雇用を維持または厚遇し、その間にKey playerを見極めます。

(その後仕分けされた人はどうなるかというのは米国企(以下略))

<Productの統合>

ここはDoubleClick時代も苦労しました。

結局、全く新しいProductを作り、そこに既存のお客さんを全てUpgradeするという方法を3-4年かけてやりました。

今回はおそらくそんなに時間をかけてはできない(やらない)と思うので、この統合の痛みをどれだけ軽減できるか、ソフトランディングできるかが既存のお客さんの離反に影響します。(あくまで私見ですが、DoubleClick時代はアドサーバといえば基本DoubleClickしかなかったので、ある程度強引に進めても特に米国のお客さんは離反しなかったそうですが、今回の場合AdMobという強力なライバルがいるので、悠長なことをしていると刈られます)

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個人的には、あの優秀なPM達を引き止めて、Roadmapのピントがちゃんとお互いに合えば、爆発的に成長することは十分可能ではないかと考えます。

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Q. アプリ側はこれからどうすれば良い?

基本的には取引をしている2社の話を聞きましょう。一般的に、外部とのコミュニケーションは統一されるはずなので、それを聞いたうえで判断しましょう。

いきなり片方のProductが無くなることも、おそらくありません。

いきなり収益が激減することも、おそらくありません。

いきなり配信が止まることも、おそらくありません。

基本的には色んな人の話を聞いて、自社にとってのメリット、デメリットを判断されるのが良いと思います。


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