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コロナと平均死亡率

8月6日時点で、新型コロナの検査陽性者は100万人を超えて、死亡者は15,000人となっている。

これを単純に計算すると、死亡率は15,000 / 100万人なので、ざっくり1.5%

なるほど、かかってしまうと100人に1-2人は死ぬ病気、と言われると確かに恐怖を抱く。

ただ、この数値だけではなんとも言えない。

なぜなら、厚生労働省によると、昨年の呼吸器系の疾患での超過死亡数が増加していなかったそうだ。

つまり、コロナの拡大により、バッタバッタと人が死亡しているという現象は全くなく、逆にいつもより死亡者数は減少しているとのこと。

コロナも、正しく恐れるためには、”いつも”と比較して、または”他の死因”と比較してどの程度のリスクがあるのかを正確に見積もる必要がある。

そこで、ニュースでなんとなく聞いていた以下の仮説を公開されている情報のみで検証してみることにした。

Q. 各年代別で、コロナ陽性者における死亡率が、通常の年代別平均死亡率と比較して、高い年代(高リスク集団)と低い年代(低リスク集団)があるのではないか?

これを調べるために、以下の情報を参考にしてみた。

公益財団法人、生命保険文化センター(厚生労働省「簡易生命表」令和元年)

東洋経済ONLINE、新型コロナウイルス国内感染の状況

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<10代>

簡易生命表で"10代"という分類が無かったので、一番高い"20歳男性"のデータを拾うと、

1000人中0.42人

となった。つまり、いろいろな死因を足してみて、20歳男性はこれくらいの方が死亡するという見積もりで生命保険が設計されている。

では、新型コロナの10代陽性者における死亡数(8月4日時点、男女の区別なし)は、

76,727人中、0人

ということで、10代は、数字だけでみると、

『陽性になっても、一般の死因と比較して、著しく低い(というかゼロ)』

となり、死亡という観点においては恐れる必要は無いことが分かる。

(後遺症など、他のことはひとまず置いておく)

同様に、20代、30代、40代、50代と各年代と簡易生命表を比較してみた結果が以下のとおり

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ここから導き出される結論としては、判明している陽性者数を感染者全体と仮定した場合、(当然、潜在的な感染者が他にもいる可能性が高いので、この死亡率は実際にはもっと低い)

- 通常の死亡率と比較して著しく高い年代は、70代と80代、特に80代は7人に1人という非常に高い

- 50代と60代は、通常の死亡率と同程度

- 40代以下においては、通常の死亡率よりも低い

ということが見えてきた。

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となると、危険度の高い70代80代に集中してワクチン接種を行う戦略は基本的には正しい。(直近の死亡者数が著しく落ちていることからも明らか)

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(出典: 東洋経済ONLINE)

では、60代以下にワクチン接種を進める理由はというと、これは確実にこの70代80代への感染を食い止めるためであると考えるほうが合理的。(いわゆる、子供からおじいちゃんおばあちゃんに感染しないように)

となると、例えば基礎疾患含め、高リスク集団への接種が100%となった時点で、たとえ陽性者が著しく増加したとしても、それに伴う死亡者、死亡率は、他の死因も含めたものと比較して、高くなることは上記理由により考えにくく、まさしく”極めてまれに重症化する”普通の風邪という扱いとなりえる。

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となると、将来的には、ワクチンは国民全てが毎年接種するものではなく、高リスク集団のみが接種するものになるのかもしれない。

実際に以下のように、高齢者のみを対象としたワクチン接種は今でも行われている。

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今回は後遺症などの影響はデータがないため分析対象外であったが、もし他の疾患と比較して、かなりの高確率で後遺症が発生するということであれば、それは死亡数では測れないと思うので、そういったことがあればぜひデータを見てみたい。

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データを見てみると、新型コロナは、極めて限られた集団を狙い撃ちにする病気であることがわかった。

ただし、死亡には至らなくても、日頃高リスク集団に接触している人(医療従事者、介護施設等)は、ワクチン接種を進めた方が死亡率を下げられる。

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次は医療逼迫体制の分析でもしてみよう。


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