船の検査(後編)

5/25(土)
束の間の休日。
ジンクロマニヨンとsssssのS君と会ってレーベル鼎談を行った。

5/26(日)
ダラダラと寝て過ごした。
その様入院中の生活の如し。

5/27(月)〜
ドック生活再開。
部品のバラしと確認を行なった前半に対して、後半はほぼ組み立ての作業である。
こちら側としてはやる事が減り、余裕も出てきたので夜は街へと繰り出したりした。
今ドックは工務監督について考えさせられる回だった。

監督不在の現状

高齢化で引退した工務監督の、次世代をどうするかという問題に直面している。
自分の知識は機関について少し齧っているくらいだが、僕でも工務監督が務まるのではないかと思い始めている。
少なくとも今の社内では消去法で自分以外に適任者がいないという自負がある。

もっと言えば元請さんから、ウチの会社と共同出資で新船を作る話を持ちかけられている。
その際、ONEのように子会社を作る事が望ましいそうだ。(参考:ONEとは)

『そうなった時にてっちゃんが工務監督をしてくれたら助かるんだけど』
と元請さんから言われている。自分では力不足ではないかと思う気持ちはあるが、夢があってとても楽しい話である。
その一方で問題はウチの会社である。

二代目社長

この度社長はドックへ二度訪れた。
その時に船員不足の現状と、今後の話をしてきた。
社長としては僕に新人船長を育ててもらい、僕自身を機関員として雇い入れて育てたいそうだ。
至極真っ当であるのだが、社長に言われると素直に認められない。
結局のところ僕が機関長をできるようになれば、会社として使い勝手が良くなるだけなのだ。
元請さんのように展望を見据えているわけではないので、僕に言わせればその場凌ぎでナンセンス。面白くない。

社長自身が船に乗れないからと現場の事を身内に丸投げしてきた結果、ストレスを感じた彼らはほぼ会社を去ったし、親族の仲などあったものではない。
僕は親kのおかげで忍耐には自信があるので、堪えて会社に残っているが、腹の底では会社を去った身内と同じ意見を2代目社長に持っている。

そんなわけで元請さんには賛同するがウチの社長には誰もついて行かない。
そんな状態だから余計に社長は現場を恐れて事務所に引き篭もるわけで、悪循環しか生まれていないのだけれど。

それはさておき、今ドックは自分の人生で3回目だと思う。
今まではドック終了後、職人達との出会いや物語に感動して目頭が熱くなったりしていたのだけれど、この度は慣れもあってかサッパリしたものだった。
それはむしろ父を失った時に思った事と似ている。

心情

父が亡くなった時、また母に見切りをつけた時に悲しさがあった。
それを経験するうちに、誰かに甘えてしまいたいと思う気持ちに対して
『もうそういう年齢ではない。』
と思い直すようになった。この度の監督の引退に対しても似たようなものだろう。
世代交代の時なんだと思う。悲しんでいる場合ではないのだ。
前を向いて進んで行くと決めた気持ちの中に、失礼ながら今の状態のニ代目社長はクレジットされていない。

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