坂本慎太郎 Live at Sonic Mania
深夜1時を回った頃にソニックマニアat幕張メッセ Sonic stageへ訪れると坂本慎太郎bandがリハーサルを終えた所だった。
ステージ袖へ捌ける坂本慎太郎がチラリと見え、天然パーマにビシッと決まったスーツ姿が相変わらずクールだった。
ライブは"死者より"から始まった。
お盆に死者を持ってくるのは坂本慎太郎流のジョークだろうか。
パーカッシヴなダンストラックに西内徹のサックスが見事に絡む。
そこから"まともがわからない""あなたもロボットになれる"というシングル曲が連続で演奏された。
フェスという公の場を意識したセットリストだろうか。
そうして坂本慎太郎史上最もクールな"愛のふとさ"へと移り、ライヴでは定番となった"仮面をはずさないで"へと繋がれた。
その後インターバルのようにBPMが落とされ、ズボンとボウ"が演奏された。
会場全体が真っ赤な照明で照らされ、幻想的な空間であった。
『ズボン。喜んでるズボン』
『ボウ。戦うためのボウ』
何を意味しているのかわからないのだが妙に説得力のある歌詞だ。
ズボンにも役を与えるというのは安部公房的で実に面白い。
僕の中ではこの曲が、坂本慎太郎の前身バンド"ゆらゆら帝国"の"タコ物語"のように映っていた。
今年それに所属していたベースの亀川千代が亡くなった。
初盆に当たるこの日に演奏されたズボンとボウは、もしかすると彼に捧げた追悼ソングだったのではないだろうか。
その後"物語のように"を挟んでから坂本慎太郎ソロ1st. Single"君はそう決めた"が演奏された。
念願の生でみる坂本慎太郎に僕は感情が昂っていたのだろう。
歌詞の全てが心に響いた。
『この町で 生きている 行く人を 見ながら
そして肝心なとこで しらけてみながら』
それらを聞いていて涙が溢れた。
この曲は全ての孤独な人達へ向けられているのではないだろうか。
生まれた時から死んでいくまで、人は孤独なのだ。
それを紛らわせながら生きている。
そのツールとして生活に色味をつける事柄が存在するのだが、悲しき事にそれらをしらけた目で見てしまう一部の人達がいる。
そういった人達の事を謳っていたのではないだろうか。
人生とは実に退屈なので刺激が必要なのだ。
僕にとってそれが音楽であり坂本慎太郎なのかもしれない。
その後"ディスコって""ナマで踊ろう"とダンスミュージックを演奏して坂本慎太郎の出番は幕を下ろした。
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