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【技術史】温水洗浄便座

海外から日本に旅行に来て、一番感激したことは何かという問いの答えでもっとも多いのがトイレです。空港、ホテルは当然のこと、商業施設、街中のスーパーにまで温水洗浄便座が備えられている清潔なトイレに、大きな驚きを覚えるとのことです。
 
日本を代表するかのような温水洗浄便座だが、発明したのは日本ではなく、医療用としてアメリカで開発されました。日本には1964年に、TOTOがアメリカンビデ社の「ウォッシュエアシート」を輸入したのが始まりです。
 
その後、医療用ではなく一般向けにお尻を洗うことを習慣化できるのではないかと考えられ、「温水洗浄便座」の開発がスタートしました。TOTOは開発のためのデータ収集にとても苦労したといいます。何しろ知りたいのは、適切な洗浄ノズルの位置や角度、すなわち「肛門の位置はどこだ」ということだから、そのような調査に快く協力してくれる人はほとんどいませんでした。開発者は、社員、とりわけ女性社員を根気強く説得し、さらに社員の家族も含めた300人ものモニターからデータを集めました。最適な水温、当たる位置や角度を探り、多くの試行錯誤を経て、温水洗浄便座が完成しました。その後、温水洗浄便座を世に知らしめたのが、テレビCM「お尻だって、洗ってほしい。」の衝撃的なキャッチコピーです。食事のゴールデンタイムにトイレのCMを流すとは何たることか、といった非難も多かったようですが、一気に世に広まりました。
 
CM【お尻だって、洗ってほしい】
https://youtu.be/3jIm5XxS0vc
 

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