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【古書探求】電撃の過殺

 以前もご紹介した、明治期に小学校の教員を経て、科学読み物などを出版した石井研堂の著書「電燈の巻」

 日本の技術が未熟な時代に、電気について理解して、明治期ならでは解説をし、独自の視点の発明品の着想も書かれています。当時の時代背景も垣間見れてとても面白い。
 
 今日取り上げるのは、電気保安についての一説です。
 
「僕の覚えているだけでも、電灯線で殺されたのが、だいぶあります。神田の牛肉店の女中、そば屋の若い者、ともに電撃でやられ、人形町の通りかで、電灯線工夫が柱の上で、工事中敷線の電撃をくらってやられ、また火事の時四谷にも吉原にも消防夫がこの線の電撃にやられたことあるです。実に怖い天変のものだね。」

当時の配線は導線を被覆で覆って絶縁されていたようですが、絶縁材料は“木綿”を使っていたようです。水を含んだりするとすぐに漏電しそうです。


 現代のブレーカーのような安全機の記述もありますが、まだまだ脆弱な構造です。技術黎明期の多くの犠牲あっての便利で豊かな社会ですね。

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