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『ビジネスの未来』もベーシックインカムの話

山口周さんの2017年の著書『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』は名著であり、未だに多くのビジネスパーソンに影響を与えています。

このビジネス×アートの文脈に、アート業界の方々は多少なりとも恩恵を得ているはずですが、当業界の方々は若干モヤモヤを抱えているようでもあるのが奇怪なところです。美に一家言ある方々ですからね。

いずれにせ、2017年の山口さんの著書と前澤さんを筆頭とする成功した起業家のアート購入の文脈によってここ数年はビジネスとアートが興味関心の的になってきました。

そんな山口さんの2020年末に出版された著書『ビジネスの未来』にはアート思考についての言及など、これまでのビジネスとアートのブームを踏まえて一歩踏み込んだ考察もあり共感しました。

後半はベーシックインカム(BI)の話になってきて、「くそ仕事」といった言葉が唐突にでてきますが、この辺りは『ブルシットジョブズ』(2020年7月)と大いに被ります。しかし、参考文献にはでてこないのは、執筆時期と微妙にずれているからかもしれません。

新規事業界隈に携わっている方は自分も含め、社内でもスケーラビリティを問われ、投資家向けピッチ大会をみていてもスケーラビリティにばかり頭がいってしまう思考回路が培われてしまっています。

本書に書かれていることは非常に納得感がありますし、山口周さん独特の辛口の言い回しが身に沁みたりもします。しかし、既に生活保護制度もあり、真に打ち込みたいことがある人は既に打ち込める環境が整っているような気もします。(逆に、行動に移せない人はBIがあっても行動しないのではないか。)

BIが導入されれば社会基盤を支えるような仕事、例えばごみ収集や下水道処理はやりたくないからやらなくなるのでしょうか。どこまでいっても自動化で賄えない範囲があるはずです。

また、世界がいっせいのーでで始めないと、高所得者にとってはBIの国で高い税金を納めることが不利益になるので納税先を移すということも容易に想像がつきます。(本書では、そもそもそのマインドを否定されていますが。)

地方創生文脈で、実験的に日本の地方都市(過疎地クラス)でBIを始めてもらえると実験としてとても面白いですね。

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