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海辺

乗換駅でアナウンスを聞かなかったふりをして、終点まで乗り続ける。検索したら海があるって書いてあったのに、1時間歩かないと海まで着かなかった。改札を通るときに表示された値段は209円、あら死ぬのってお買い得なのねーなんて考えて馬鹿らしくなった。山手線半周するより余裕で安い。でもどうせ死なないし、どうせ死ねないし、死んでもいいけどどうやって死ねばいい?    あそこの橋まで行って飛び込んだら死ねんのかな。そこの岩に波がぶつかる回数とついた溜め息の数、どっちが多いでしょうか、知らない。たぶん波の方が多いと思うね。今日の朝熱を測ったら38.4℃あったのだけど、たぶんここで海風を受けているせいで熱は上がっている気がする。それでも出席日数が足りなくなりそうだからって出席しようとした5時間前の自分は気が狂っていると思う。とりあえず話し相手がほしい。ひとりでいても割とつまらないから、人がいないのをいいことにずっと独り言をしたりノートに文字を書いたりしている。この経済のノートさんもこんな愚痴が書かれるとは思ってなかっただろうな。「利率変動型積立終身保険」と「許しを乞う」って同じページに書かれていい言葉だった?    多分お前らは出会う運命じゃなかったのにね、出会わせちゃったよ、人生何があるか分かったもんじゃないぜ。それにしても「許しを乞う」って言葉の人生を想像したらなんか気の毒になってきた。どうでもいいけど寒い。ここすごく寒い。頭が重い。まあ自業自得なんだけど。いつまでここにいよう。弁当を食べる気が起きない。何を求めて言葉を発してるんだろう。なんかもっと生きている文章を書く人になりたかった。死んでいる、文章が。なんもできないのにこうやって自分への期待を僅かにしてしまうのちょっとあり得ないと思う。お前になにかが分かってたまるか。昨日、友人から「君もしかして僕の全てを知ってる?」っていうメッセージがきて殴りに家行こうかと思った。分かれるもんなら分かってやりたいよ。わかんねえよ。大体そんなこと言われたらお前も俺のこと分かってくれるんじゃないかって期待するじゃん。どうせ他人なのでお互いに分かりあってあげるなんて幻想は実現しません。お前の顔見りゃいくらかはわかるようになったよ、なんでも。何年一緒にいると思ってんだよ。分かり合えると思ったから犯してしまったコミットメントは自然消滅したけれど、家にご飯作りにきてって言われたら、用事がなけりゃ行くくらいにはお前のこと大切にしてるよ。夏に君のこと救ってあげたいって言ったのはお前だし、じゃあ救ってくれよ、いや嘘、お前なんかに救ってもらったら後悔すると思うからいやだ。ぜったいお前には救ってほしくない。でも結局その辺で待っててくれるお前が一番の理解者なんだろうな。そんな気がするよ。幸せになってほしい人っていうか、うん、大雑把に言えば幸せになってほしい人が何人かいますけど、幸せに生きてほしいからさっさと視界から消えてほしい。ん?    視界にいれないでほしい、か。よくわかんない。よくわかんない。よく分かんないけどみんな幸せに生きてね~。

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