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少し冷たい空気を二人

気になるあの娘の頭の中は、普通なんかじゃなくて、カラフルな彼女色に染まっている。その内面を垣間見る度に、より惹かれていく、秋。オールマイティーな彼女は趣味の範囲も広くて、本当に羨ましい。そういう人間になりたいなあと思いながら、このままどんどん寒くなって、また暖かくなる頃には、もう大学生になってしまう、らしい。



なにかしら高校生活の記憶を増やしたくて、彼女と下北沢で映画を観てきた。放課後、いつもは乗らない電車に乗って、下北沢の駅に降りる。人生2回目の下北沢、あの雰囲気が好きだ。

目的の映画館に辿り着くまでに少し時間がかかったけれど、チケットを買って映画館を一旦出た時点で、開場まであと1時間は余っていた。少し冷えてきた空気の中、二人で並んで歩く街は、賑やかで楽しい。二人とも、真っ直ぐ歩けない系の人間で、何度もぶつかってしまったけれど、それも楽しい。ゲーセンに入って時間を潰したり、クレープを食べたりした。道を歩いているだけで、彼女の着眼点はとても素敵なことが分かった。いいねえ、そういう人になりたいよ。




「リバー、流れないでよ」は、彼女が薦めてくれた映画。一昨日、映画を観に行かないかと誘ってみたら、即乗ってくれて、この映画を提案してくれた。いつなら予定が空いているのか問うと、明日でも明後日でも良いというので、すぐ観に行ってきたというわけ。この映画は、たくさんの映画館でやっているわけではなく、東京でも3つの映画館でしかやっていないらしい。そのうちのひとつが、下北沢の映画館。黄色い座席が目立つ、小さな映画館だった。雰囲気が好みで、また行きたい。

映画は面白かったのだけれど、2人して画面酔いして辛かった。だから画面酔いに強い人が観た方がいいと思う。前に座ってたおじさんは、最後の方まで肩を揺らして笑っていたから、酔わないタイプの人だったんだろうな、なんて苦しみながら考えていた。だから夕ご飯まで食べて帰るつもりだったけれど、それは無しになったのが残念な点。まあ総じて楽しい日だったから良かったです。

終わったあと、階段さえなければ……!(階段のシーンの手ぶれにやられた二人)と言い合いながら、ベンチに座って休んだ。分けてもらった酔い止めは、甘かった。自分で映画を撮るときには、絶対に絶対に手ぶれに気を付けようと思う。これも彼女が教えてくれたことだけど、映画にも色々種類があって、5分以内の映画のジャンルもあるのだということを知った。撮ってみたいんだよな、映像。写真もまだうまく撮れないけれど、映像に興味を持つのは欲張りだろうか。卒業までに10分くらいのストーリーがある映像を撮ってみたい、というのをバケットリストに追加した。大学生になったら映画サークルに入りたいし。





解散したあと、電車の中でうとうとしていたらあっという間に乗り換え駅に着いていた。バス待ちの時間でスマホを見ると、"生きて帰れてますか?"というメッセージ。うとうとしたお陰で回復した旨を伝えると、向こうも同じで、めっちゃお腹がすいたらしい。夜ごはんリベンジを誓って、しばらくそのままトークをして、その日は終わった。めっちゃいい人ーーーーー!!!!

急激に熱された仲は急激に冷めるんだろうか、って言ったら、冷まさねえぜ覚悟しろよの返信。なにそれ。がちで惚れますがいいんですか?    かっこよくて可愛くてギターもベースも上手くて面白くてどうしたらいいんですか?    どうしようもないです。

割と高校生活が楽しくなってきたな。軽音楽部の活動に力をいれ初めて、軽音部員とつるみ始めてから結構変わっている気がしている。終わりよければすべて良し、に向かって進み始めているのかもしれない。なんか薬も効くようになってきたし。これで論文提出して諸々終わらせたら、高校生活も終わりだよ。消費されていくモラトリアム、早く自分のやりたいことを見つけ出すためにも、こういう楽しい日だけ続いていればいいのにな~っていうだけの戯言。



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