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殿堂ゼロ キクチパトロール

公式で殿堂ゼロデュエルが開催されていた時期から猛威を奮っていた《キクチ》+《パトロール》からなる即死コンボとそれを主軸に置いたデッキ。

盾を一度に山送りにする派手な4tキルは初見では非常にインパクトが大きい。「殿堂ゼロ」と聞いてこのデッキを思い浮かべる人も多いのではないだろうか。

概要

さて、殿堂ゼロにおいての立ち位置についてだが、殿堂ゼロ環境はとにかく呪文が強く過剰なまでに呪文メタが貼られやすい。キクチパトロールは呪文に依存しないコンボであり、そういったカードの影響を受けないのが強みになる。
また、コンボパーツである《キクチ》・《カレイコ》がマナブーストや山からの踏み倒しに対するメタ性能を持っており、一部のデッキに対しては意識せずとも優位に立てる。

一方で《キクチ》を盤面に維持しながら《パトロール》を出す工程が厳しく、《キクチ》を無視して盾を割り切るデッキや除去の厚いデッキに対しては苦しいゲーム運びを強いられる。

安定4tキルは速度だけで見れば殿堂環境のビートダウンでも割りと標準的で、《キクチ》は手札からの展開には一切干渉出来ないため特に後攻では速度で押し切られてしまう。

除去の厚いデッキに関しては、《キクチ》+《カレイコ》で5枚以上積めることからピンと来ないかもしれないが、大地サイクリカという除去でメタクリを退かして高速で即死コンボを決めるデッキが存在する。そちらに対しては「メタクリを立て続けられない=負け」という展開になり、最終的にはジリ貧に陥りやすい。
同様に《フンバル》《ハエタタキ》を無限に使い回せるジョバンニスコールもロックを決められると厳しい。

以上の理由から有利な対面が「《キクチ》で序盤の機能が停止するデッキ」「速度が著しく遅いデッキ」「盤面に干渉する手段が少ないデッキ」に限定される。他のtier1デッキの後に回してみれば一目瞭然だがデッキパワーが殿堂ゼロと思えないほど低いという深刻な欠点を持ち、長らくtier2以下に甘んじている。

構築面での意識

呪文への依存度が低いことを活かすためにクリーチャーが主軸となり、デッキパワーが低い代わりにフィニッシュ以外の枠の自由度が高いのでメタる側にまわることで、自然と「クリーチャー中心のメタコントロール」という形を取ることになる。

意識する対象は主に転生サイクリカと速攻系全般。
前者はキクパトを使用する意義の一つである「転生サイクリカに対して高い勝率を見込める」という点を強化するため。後者は速攻耐性の低さを補うため。その両者と合致し、展開補助の《ヘブンズ・フォース》を投入出来る白をサブカラーとして採用する。
新章~双極編まではトップメタの大地サイクリカを強く意識したレシピがテンプレだった時期もあるのだが、《オブラディ・ホーネット》の登場で超絶不利対面になったことや超天編で転生サイクリカが台頭したことで現在はある程度割り切っている。

デッキレシピ

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1 x 禁断~封印されしX~/伝説の禁断 ドキンダムX
4 x 制御の翼 オリオティス
3 x 音奏 プーンギ
4 x ヘブンズ・フォース
4 x Dの牢閣 メメント守神宮
3 x 奇天烈 シャッフ
4 x アクアン
4 x アクア・パトロール
3 x 堕魔 ドゥシーザ
2 x マインド・リセット
3 x 禁術のカルマ カレイコ
4 x デュエマの鬼!キクチ師範代
1 x サイバー・K・ウォズレック/ウォズレックの審問

デッキの大部分を低コストのクリーチャーで固めている。
これには《ヘブンズ・フォース》と相性が良いというだけでなく、キクチパトロールを決めた時にフィニッシュに移行しやすいメリットもある(ブロッカー・オーリリアで打点がずらされる場合や《キクチ》+《へブフォ》《パトロール》等で1ターンで揃える場合など)。

色のバランスとしては、《ヘブンズ・フォース》によって不足色を誤魔化せるため、特にそれと組み合わせることの多い水文明の枚数を減らし初動になりやすい光文明を気持ち多めに取った。

個別解説

4 x デュエマの鬼!キクチ師範代
3 x 禁術のカルマ カレイコ
4 x アクア・パトロール
主役。
従来の殿堂ゼロデュエルでは《キクチ》《カレイコ》が刺さる状況は限定的だったのだが、新勢力の転生サイクリカに対しては一方的に強い。
他のデッキでもコスト3でループを完封できるカードはあり、そちらと比較すると、メインのコンボパーツ故に構築への負担が無く、仮に《転プロ》のような軽量除去で退かされても致命傷になりにくい点で優れている(他のメタカードや《アクアン》が捲れてそのまま詰められたり、ハンドに追加の《キクチ》《カレイコ》等をキープしやすかったりするため)。
ただ《へブフォ》を絡めないと出るのは3ターン目になり後攻だと間に合わず、《へブフォ》有りでも《ZEROハンド》があると除去されてそのまま負けるので、後手番を拾うには他に2t目でループを妨害出来るカードを積んでおく必要がある。

《パトロール》の方はと言うと、単体ではほぼバニラな上に《アクアン》で拾えず弱いのは変わらず。初手にあると嬉しいが複数引くと困る。フィニッシャーでありながら最大のネックでもある。

3 x 音奏 プーンギ
2 x マインド・リセット
1 x サイバー・K・ウォズレック/ウォズレックの審問
主に転生メタ。上述した通り《キクチ》《カレイコ》は後手だと3tループを止められないのでその補助の為に投入している。計6枚なら7割以上の確率で後攻2t目に引く計算。《へブフォ》+メタクリで実質的にはもう少し上がることを考えても悪くない確率だろう。
《プーンギ》は何枚《転プロ》を抱えていようともループをコスト増加で防ぐ。クリーチャーである点が高評価である一方、2t目のオーラで《ルーベライノ》が捲れたり、後続の《キクチ》《カレイコ》が引けていなかったりすると普通に負ける。
《マイリセ》《審問》は相手の手札から《転プロ》または《銀河》を抜き取る。こちらは複数枚抱えられていたりトップで引かれたりすると無理だが、逆に1枚以下であれば直後に《キクチ》を出せなくても負けないことが多い。

ハンデスのうち1枚が《審問》なのは墳墓ケア、ではなく《マイリセ》が刺さらない対面に対しても腐らないことと、多色カードの確保。短期決戦が基本の殿堂ゼロで3色デッキは事故が非常に怖いため多色カードを積みたいのだが、同時にタップインは時として致命傷になる(特にキクパトは1t目以外にマナに置く機会がないことも多い)ことから多くは入れられない。手札で嵩張るのを防ぐため1枚。

4 x 制御の翼 オリオティス
踏み倒しメタ能力を持つ防御札。主に轟轟轟系統に刺さる。
速攻・ビートダウン系対策に積んでいる《メメント守》は踏んでもらえるかどうかで運が絡むので、自発的に防御を行えるこちらも4投。2500ラインを超えられるウィニーは少なく《轟轟轟》が出ても1:1交換になるので時間稼ぎにはなる。
ダーツデリートの超次元ホール対策にもなっているように見えるが、《ロマホ》と《ガドホ》には先に退かされるので効果が薄い。

4 x Dの牢閣 メメント守神宮
殴るデッキに対しては無類の強さを誇る受けトリガー。さほどクリーチャーが横に並ぶタイプのデッキではないものの、1ターン貰えればキクチパトロールを決められるという展開は非常に多い。キルターン以外に踏ませれば超優勢。
殿堂ゼロにおいては完全に腐る対面も多く、引きすぎると弱い欠点はある。

4 x ヘブンズ・フォース
展開補助。2ターン目の動きが弱いこのデッキと性質が噛み合っている。単に早出しを可能にするだけでなく、色事故の発生を多少緩和する役割もある万能呪文。
再現性は低いものの《へブフォ》+《キクチ》→《へブフォ》+《パトロール》で3キルも一応可能。
更にトリガーまで付いているので防御トリガーとして働くこともある。
呪文メタや《ミクセル》には弱いため、後者に対しては《ドゥシーザ》や《オリオティス》を撒いて対応したい。

4 x アクアン
大体3~5ドロー。ドロマーカラーの強みのひとつ。《へブフォ》と合わせて初動に使うことが多く手出しはあまり強くない。
《キクチ》を積極的に除去してくる相手に対してはこれで最初にリソースを確保出来るとかなり楽になる。
《パトロール》が拾えないのは痛いが、墓地回収やリアニメイトを入れるとメタの枠が削れてしまう上、《キクチ》→《アクアン》とした場合は墓地に《パトロール》が落ちないので難しいところ。

3 x 奇天烈 シャッフ
一説では殿堂ゼロ最強とも言われる攻撃・呪文ロッククリーチャー。サブフィニッシャーとしての側面が強く、《パトロール》を引けない時や出す余裕がない時はこれを使ったビートプランを取ることもある。
転生サイクリカには出せばほぼ勝ち。先攻2t《へブフォ》+《シャッフ》6指定ならば《ZEROハンド》すら打たせない(除去されても《キクチ》立てれば勝ちなのでオーバーキル)。
また、轟轟轟に対してもかなりの時間稼ぎになる。《ヘブフォ》からの展開は強烈で、《ミクセル》《オーリリア》がいると無理なのだが防御トリガーの選択肢として意識しておきたい。

3 x 堕魔 ドゥシーザ
軽量除去。キクチパトロールは軽量クリーチャーを中心に編成するので盤面に触れられる札が少なくなる傾向にあり、投入したところで3コスト以上は他カードとコスト帯が被り手打ちしにくい。
2コストでパワー-2000しつつ盤面にクリーチャーが残るという単純にバリューに優れたこのカードは相性が良く、《轟轟轟》系統のウィニーはもとより、《ステップル》・《ジョバンニ》など意外と狙いどころは多い。
《プーンギ》を焼けないのが腹立たしい。

1 x 禁断~封印されしX~/伝説の禁断 ドキンダムX
恒例のダーツデリート対策。
サーチカード0でほぼ影響は無い。《アクアン》が5枚山を削る関係でLOが若干怖くはなるか。

各対面

プレイングはあまり難しくないので省略。

vs転生サイクリカ
流石にこれに勝てないとデッキの存在意義が疑われる。解説で書いた通り《キクチ》が通れば勝ち。多少の除去でも誤魔化しきれない圧倒的な相性差がある。先手で超有利、後手でもやや有利。

vs赤白轟轟轟
《メメント守》を踏んで貰えるかで戦局が大きく変わり、踏む前提なら後手でもコンボが間に合いやすい。踏まない場合は《オリオティス》を立てて時間を稼ぐことになるが、先攻2t《轟轟轟》を決められると効果が薄く劣勢。また《メメント守》で耐えても《オーリリア》が《キクチ》の直接攻撃を防いでくることもある。
とはいえ盾を割って《パトロール》を引かせて貰えるので戦いやすい方。
先攻の場合《メメント守》手打ちも視野に入りかなり有利、後攻で微不利。

vs大地サイクリカ
先攻ならば《オリオティス》が《ホーネット》から守ってくれたり《プーンギ》が《吸い込む》を防いでくれたりするようになって《キクチ》の場持ちが多少改善された。代わりに色配分の問題から《オーリリア》が抜けてしまい、《パトロール》を拾う手段も細いため《キクチ》→《パトロール》出来ないゲームでは《プーンギ》と《シャッフ》を数並べてゴリ押しするしかなく、色々とお粗末。
後攻は無理なので諦めて事故をお祈りしましょう。

vsダーツデリート
基本的には運ゲーなのだが、禁断を積めることやフィニッシュ時に盾を割る必要がないこと、速すぎて逆にコンボの遅さが問題になりにくいことなどから相対的には優位に戦える。《ギガタック》は無理。

総評

転生サイクリカに最も安定して勝てるデッキにはなったがキクパト自体は安定して勝てるデッキではない。
tier1を重点的にメタる構築なので大地サイクリカ以外とはそこそこ戦える反面、メタ外にころっと負ける脆さからトーナメントで握るのには抵抗がある(特にメタゲームの固まっていないCSサブト等の殿堂ゼロ大会だと)。
上のレシピから特定のメタカードを減らしてサーチや回収系を増やせば対応範囲の広い所謂「丸い」構築にはなるが、それでデッキパワーが改善されるわけでもなくトータルの勝率が大きく上がるとも考えにくい。
メタを貼る側の限界と言えばそれまで。

酷評したが、転生にも勝てない他のtier2以下に比べればマシではあるか。

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