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デュエルマスターズ 戦国編の思ひ出 その1

※この記事は老害プレイヤーが昔を懐古するため、または当時を知らないプレイヤーに向けての解説記事となっています。ゲートボールの際などに参考になれば幸いです。幾分昔のことなので曖昧だったり前後関係がおかしくなっている部分などあると思いますがご容赦ください。

ちなみに極神編以前はここを見るといいかも。

カードデザインの傾向

転生編、不死鳥編は全体的にカードパワーが抑えられたデフレ路線だったが極神編でインフレ路線へ転換。
その流れを継いだ戦国編も全体的にカードスペックが高いものになっている。

戦国編は野心的なギミックが多数登場したエキスパンションである。
シールドフォース、シノビ、城、侍クロスギア、その他シールドに関連する能力多数(詳細なカードリストに関しては各自wikiなどを見て確認されたし)。

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これらに共通するカードデザインはズバリ「ビートダウンの促進」。

デュエルマスターズはシールドという非常に優れたシステムを取り入れたカードゲームとして有名だ。
シールドを全てブレイクして直接攻撃すれば勝ちなのだが、シールドを割るごとに相手プレイヤーの手札が増えていき、有利・不利が揺れ動く。
ゲームをただただ殴るだけの単調なものにするのではなく、ある種の駆け引き、シーソーゲームを作り出す。
これによって多くのTCGに存在する速攻(アグロ)、ビートダウン(ミッドレンジ)、コントロールの三すくみを自然に際立たせることに成功している(少なくとも、基礎のゲームデザインとしては)。

しかしながら、《アクアン》殿堂入り・《裁》の登場以降、デュエルマスターズは速攻とコントロールの二極化が進み、このシーソーゲームが成立することが少なくなっていた。
即ち、相手が逆転の体勢を作る前にシールドを全て割り切るか、逆転されない状況を作ってから盾を割るかのどちらか。
その中間に位置するビートダウンの肩身が狭く、どうしてもどちらかの劣化になってしまいがちになる。

戦国編のギミックの数々は、そういった中間層を強化しシーソーゲームを演出するために生まれた。
シールドフォースや城のような盾に依存する効果を作ることによって盾を割らざるを得ない状況を作る。
それと同時に、シノビによってブロッカーを積めないが故に速攻に速度負けすることを防ぐ。
速攻以外のデッキが相手を殴る利点を作ることで、ある程度はビートダウンデッキの強化に繋がった。

しかし、結果として環境を占めたのはコントロールとコントロール寄りの中~低速ビートダウンであった。

当時の主要なメタデッキ

【ギャラクシー】
【4cキングロック】
【HDM】
【黒ランデス】
【ドルゲーザ】
【黒マルコ】
【ロマノフサイン】
【ロマネスクサイン】
【5cコン】
【赤緑速攻】

他にも【五神】、【ヒャックメー】、【カウンターバイケン】、【ゼンアク】、【ナイト】、【WS】など多様なものがあるが、特に強力なデッキとして名前が上がりやすかったものをリストアップしている。

何故コントロール環境になったのか

盾を割ることに意義を持たせようとしたにも関わらず、むしろ盾を割らないデッキが強化されることになった。
その原因は「盾を割る」ことと「盾を割らせない」ことを比較した場合後者が勝ることが多かったためと考えられる。

城は強力なものばかりだったが、《海底鬼面城》以外は横に並べる必要のあるビートダウンとは噛み合いにくい。一方でコントロール同士の対戦で強い《ハッスル・キャッスル》や《シルヴァー・グローリー》は身代わり効果でシールドブレイクの意欲を削ぐ。
《ハックル・キリンソーヤ》はあえてシールドフォースを解除する利点が希薄で、《パーフェクト・ギャラクシー》、シノビはむしろ攻撃を阻害する方向に働いた。
サムライクロスギアも登場したが、殴りながら準備を整える回りくどさ、パワーの低さからメタゲームに影響を与えるに至らず。

ただでさえ中盤のシールドブレイクは相手に手札を与えるリスクを伴う。
開発陣が意図したであろう速攻以外のデッキによる殴り合いはあまり増えることがなく、むしろコントロール同士の睨み合いが強化された。

最終的に選ばれたのは、極神編以降インフレの目覚ましい大型フィニッシャーをマナ加速から早期降臨させるデッキであった。
殿堂入りにより強力な軽量ハンデスは《ジェニー》・《パクリオ》しかなくなったこと、カードプールの変化でマナさえ貯めればフィニッシャー・シノビが防御を兼任してくれるようになったこともそれを後押しした。
《ヒドラ》の殿堂入りもあって、序盤からウィニーをばらまきペトるような種族デッキは激減。マナブーストしないデッキはどんどん数を減らしていった。

「戦国編は良環境」?

環境内のデッキ間のパワーの差は、程度の違いこそあれどさほど大きなものではない。多くのデッキにチャンスが残されていた。
長年戦国編は屈指の良環境として名前が挙げられることが多いが、その一因はやはり群雄割拠なメタゲームが一因であると言える。
突き詰めればリーフVSその他だった初期~闘魂編、ボルバルVSその他だった転生編、サファイアVSその他だった不死鳥編、キリコVSその他だった神化編、超次元VSその他だった覚醒編、etc…
それらと比べると様々なデッキタイプ、様々なフィニッシャーが混在し互いに牽制しあっている。

また、環境が遅くコントロールが強いのも好まれる理由だろう。長期戦になるほどその時の引きより互いの構築・プレイングの差が出やすい(ような気がする)ものだが、防御の主軸がS・トリガーではなくシノビに移ったことで、以前より速攻対策をトリガー運に頼ることが少なくなりその傾向は更に強くなった。

クロニクルデッキに採用されたデッキのうちロマノフ、5cキング、シノビドルゲは戦国編のメタデッキであり、そこからも当時を古き良き時代だったと考えるプレイヤーが多いことが見て取れる。

だが、戦国編環境が必ずしも手放しで褒められるものかというとそうではないと筆者は考える。
上で挙げた環境デッキのカラーリングを見てみよう。

【ギャラクシー】…白黒緑
【4cキングロック】…白青黒緑
【HDM】…青
【黒ランデス】…青
【ドルゲーザ】…青黒緑
【黒マルコ】…青黒緑
【ロマノフサイン】…青
【ロマネスクサイン】…白
【5cコン】…白青
【赤緑速攻】…赤緑

タッチカラーは考慮していないが、見ての通り速攻以外の全てにが積まれている。
これは、コントロール同士の対戦では突出した文明であった闇のパワーカードをブーストから素早くキャストすることが勝敗を左右し、それができないデッキのほとんどには人権がなかったことを意味している。
様々なデッキタイプはあるが、似通った基礎部分によって、それぞれが異なるゲーム体験を得辛い環境となったのではないだろうか(この点はコンボデッキの増えた神化編である程度改善された)。

その2へ続く

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