背中を押してくれる存在

4年前の6月に初めてセンターへ同行させてもらった。
テレビやネットやYouTubeで見てきたセンター。
実際、自分で行くのは初めてで怖かった。

4人で行ってスタッフはみんな明るくてセンターへ向かってるなんて感じさせなくて。

その日連れて帰れるのは3頭。

長靴に履き替えて消毒をして白衣を着て中に入る。
正直その日の全ての記憶はあまりなくて中にいたのは30~40頭。

1番左の部屋から見て行って、どんどん部屋を移動して見て行く。
移動する度に犬達の表情に変化を感じた。

しっぽを振って近付いてくる子
遠くからこちらをじっと見てる子
他の子達の陰に隠れる子
遠くから見てもわかる程隅っこで体を震わせ続ける子
首輪がついてる子

私は最終部屋と呼ばれる犬舎へ行ってみた
そこには確か6頭の子がいた

こっちへ来る仔犬
何の興味も示さない子
奥からじっと見る子

この部屋から一頭を連れて帰ろうとスタッフの1人が言った
そしてスタッフが1人中に入る
その人が気にかけたのはまだ仔犬の子
座って来るのを待っても隅で震えてる
ゆっくりスタッフが近付くと身を縮めて逃げ回る
職員の方が近寄ろうとしても同じように逃げ回る。
決定権のあるスタッフがこの子は無理だと言った。

既に保護している子達との兼ね合いや色んなことを考えてのことだったんだろう。

その後しばらく色んな団体さんのブログを見てもその子を引き出せてる所はなかった
茶色い仔犬は捕獲されたばかりに怖さに震えたばかりに殺された。
私の忘れられない記憶。
そこにいる自分の無力さを思い知らされた。

最終的に3頭を選び帰ることになった
犬舎の中から職員の方に私はひとつのリードと生きて出られる犬を引き渡された
細い1本のリード
その重みが今でも左手にずっしり残る
その子は怖くて歩けない
そりゃそうだよね、どこに連れて行かれるかわからない何をされるかわからない
「出られるんだよ」そう話し掛けたことは覚えてる
そしてその子を連れて歩き始めた時に犬舎の中にいた子達が一斉にこっちへ来て吠え始めた。
私には「ここから出して」ってゆう声に聞こえた、その子達を見ることができなくなってた。
外へ出て車に乗せた時、背中から聞こえてくるたくさんの声に初めて涙が出た

無力すぎた。

全ての子を連れて帰ることが出来ない

振り返って見た空は青かった。

帰りの車ではやたらとみんな笑っていた
きっと悔しさを押し殺す為のものだったんだと思う
同行したスタッフのブログを読んだ時に
「帰りの車で食べたおにぎりに味がしなかった」
と書いてあった
私も同じだった。

そして私の背中を押してくれているわんこ。
最終部屋にいた子
私はスタッフにこの子はだめかと聞いた

恐らく口の中に腫瘍があるから
それだけ言って後は何も言わなかった

穏やかな顔をした白い毛のもふもふした子

この子と話しをした
この子には汚い感情が何もなかった

せめてこの子が生きた証が残るようにと写真に収めた。
4年経っても時々この子を見つめる。
もうこの世にはいない。

本当に私は無力だった。

目が合ったのに一頭の命さえ繋げることが出来なかった。

そしてそれから色んなことを考えていつか自分でシェルターを持とうと決めた、この子に誓った。

人間の都合で奪われた命

茶色い仔犬と白い子を缶バッジに残させてもらった
せめてこの中で一生笑顔でいられるように。

裏切られる絶望感がわかりますか
捨てられる苦しみがわかりますか
孤独の寂しさがわかりますか
生きてるのに恐怖に置かれる怖さがわかりますか

センターにいる子達はきっとこれらに支配されていると私は思ってる。

そしてその全てを私は知ってる。

私と違うのはこの子達はセンターから生きて出してもらえなければ死んで出ることしか出来ない。

「殺処分」15分程ガスで苦しめられて殺される。
もがき苦しみ。
この子達の目に最期に映るのはなんなんだろうとも考える。
裏切られ傷付けられ苦しめられ生きることさえ奪われる。

私はそれをなくしたい。

日常で嫌なことがあってもどんなことがあっても私はもふもふちゃんと約束した。
だから転ばない。

今日は金曜日

空に祈りを

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