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大学生が出会ったベイルートの一角 第三弾「楽しむは、強さ」

レバノン杉の旗を掲げて、満面の笑みで歩く人たち。向かうはダウンタウン。デモ会場だ。2019年10月に始まったデモを、人々はサウラ(ثورة)、革命と呼ぶ。

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顔文字みたいな、サウラ(ثورة)

デモ?大丈夫なの?学校も休みだし、道路も封鎖してるし、やばくない?と思った。でもとりあえず、車のいない道路を同じ方向に歩く人たちについてデモ会場に行ってみた。

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向かった先はこれだった

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太鼓を打ち鳴らして、輪になって踊って、歌って、シーシャを吸って。

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楽しいデモだもん、花火もあげちゃう

あとサウラに欠かせないのは、シュプレヒコール。キメキメの若者も、部屋着みたいなおばちゃんも、怒り狂ったおじいちゃんも、メガホンに小気味良いリズムで掛け声をかけると、周りがそれに続き叫ぶ。

わたしのお気に入りのチャント。

”わたしたちはマヌーシェを食べてる 寿司を食べてるんじゃない

まだあなたたちは外国の大使館に助けてもらおうって話してるの?”

マヌーシェはレバノンのストリートフードで、薄いピザみたいなもの。外国からの援助に頼ってばかりで何もしない政府を皮肉っている。ユーモアは武器。汚職とか、腐敗に抵抗し続けるための最強のツールなのかも。ちなみにベイルートに寿司(と呼ばれている)屋さんはめちゃくちゃあるから、絶対食べてるんだけど。

経済危機で失業し、サウラ会場でお店を始めちゃった二人組はあきらめというより人生を謳歌していた。

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職がなさすぎて役に立たない学位証明書はサウラ対策に作られた首相府の前の壁に貼りまくられた。

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いつだって、楽しむことを忘れないし、恐れない。たとえひどすぎる政府に生活を押さえつけられていても。

だけど今再び起きているサウラの、人々の顔は険しい。今やっと本気になったって?まさか、ずっと前から怒ってた。けど、どんな時もユーモアを忘れない彼らをとりまく環境が限界を迎えつつあるのを感じる。

ベイルートの、皮肉と明るさに潜む強さを信じて。

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 (文/写真 大竹くるみ)

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