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勝ちぐせの組織文化を作る〜成長につながる問いかけコーチング#18〜

※ Voicyチャンネル『成長につながる問いかけコーチング』より、内容を再編集したものです。

勝ちぐせのある人と組織の作り方

今日は組織文化について話します。最近、組織の文化や風土に関しての相談を多くいただきます。先日も、ある企業から「勝ちぐせのある組織文化」というテーマでセミナーの依頼がありました。セミナーの準備の中で、事前に私からいくつか質問をさせていただきました。

「負けぐせがついていると思うのはどんなときですか?」
「勝ちぐせがつくと、どんな組織文化になると思いますか?したいですか?」

どの企業も、それぞれの分野において勝負をしている以上、やはり勝ちぐせをつけたい、負けぐせを無くしたいという思いは共通していると思います。私はよく組織のCCO(チーフカルチャーオフィサー)として組織文化に携わることが多いですが、組織文化を変えたいというときには、いきなり制度やルールを変えたりするのでなく、まず今ある組織文化を「知る」というフェーズから始めます。

今回依頼をいただいた企業は、今もこれまでも、ずっと業界のトップランナーだったのですが、近年、少しずつライバル企業が追い上げてきている状態でした。しかし、その事実に対して会社のメンバーはあまり危機感を抱いていないことを危惧し、「追いつかれていることに対してもっと危機感を抱いて欲しい」「勝ちぐせを定着させたい」ということから、今回のセミナーを企画したそうです。

先ほど言ったように、私が組織文化を変えていくときには、まずは現状を知ることから始めます。これはスポーツでも同じです。ラグビーだけでなく、これまで様々なスポーツのチームを指導してきましたが、そのチームの勝ちに対する反応や、負けに対する反応をまずは注意深く観察します。
当然「くせ」というものは何度も繰り返されることによって習慣化されたものなので、「勝ちぐせのある組織」であれば、勝ったときよりも負けたとき、負けそうになったときに強烈に反応を示します。そこに絶対に踏み入れたくないというブレーキがかかり、負けが近づいていることに対して異様な嫌悪感を示し、非日常的なエネルギーを発揮します。

こうした反応にこそ組織文化が見えてきます。
逆に、負けぐせのついているチームであれば、勝利が見えているときに、なぜか勝つことに対してソワソワしたり、「本当に自分たちが勝っていいのか?」という不安が沸き、そのままやれば勝てる勝負であるにも関わらず、勝つことに躊躇してしまう場合があります。そして負けをすんなりと受け入れてしまう。そういった傾向にあります。

組織文化を知るとき、自分たちが今何に反応するのかを知っておくことが大切です。組織文化とは、その組織において何が良くて何が悪いのかという共通概念であり、良い悪いもそうですが、その根底には好き嫌いが基づいていることが多いです。なので、勝ちぐせを付けたいときには、「負けることが大嫌いだ」という反応がどこまで出ているのか、もし負けが見えていたりライバルの追い上げを感じているときにも、負けへの反応が見えないのであれば、そこに対して何らかの対策を行うことが重要です。

2015年のラグビーW杯イングランド大会、日本代表はこれまで一度も勝ったことのない南アフリカ代表を破りました。そのチームを率いた当時のエディ監督が初めて監督として日本にやってきたとき、はっきりとこう言いました。

「日本の負けぐせ文化を根底からくつがえしたい。負けて当たり前、負けても美しく散るのが日本の美学、という考えを払拭し、勝ちぐせをつける」

一回一回の勝ちを「くせ」にしていくためには、勝ったときに特別に大喜びするのではなく、「勝って当たり前だ」と思うことが大事です。たまたま一回勝っただけなのではなく、この結果に対して意味づけをし、今後の勝ちにつなげていかないといけません。
実際、日本代表が南アフリカ代表に勝利したとき、多くのメディアは大金星をあげたと騒ぎましたが、選手の多くは「これは奇跡ではありません。私たちは試合をやる前から勝利を信じていました。」と言いました。ここまでたどり着くには、そのためのプロセスをしっかり踏み、だから勝つことは当たり前だった、そう信じることが大事であり、勝ちぐせはこうして作っていきます。

昔は強かったのに、今は弱くなってしまった。そんな企業やチームもあるかもしれません。しかし、その強かった状態を取り戻したいのであれば、少しでも勝ちに近づいたときに、それが当たり前なんだ、これが私たちのスタンダードなんだと言い聞かせましょう。そしてこの勝ちをキープすることを強く意識し、ここからはみ出そうになることに対して嫌悪感や拒絶感をチーム全体で作り上げていくことが非常に大切です。

今回は、勝ちぐせ・負けぐせを抽象的に話しましたが、今後また具体的に何をしていけば良いのか、「知る」から「変える」フェーズにするには、といった話もしていきたいと思います。

みなさん自身はどんな「くせ」を持っていますか?今日はあなたの勝ちぐせ・負けぐせについて考えながら一日を過ごしてみてください。それでは、今日も一日がんばりましょう!

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