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判断と決断の違いとは?〜成長につながる問いかけコーチング#23〜

※ Voicyチャンネル『成長につながる問いかけコーチング』より、内容を再編集したものです。

判断は過去、決断は未来。

今日は「判断」と「決断」の違いについてお話しします。前回までは「成長」と「成功」についてのお話しでした。これらのように一見似ている言葉はつい混同されがちですが、それぞれの言葉の定義をしっかり定め、切り分けて考えていきましょう。私がこうして自分の言葉で定義づけ、使い分けるようになったのも、失敗から学んだ経験によるものです。

「判断」と「決断」の違いを考えるきっかけとなったのは、早稲田大学ラグビー部キャプテンだった大学4年生のときの出来事です。もちろん、今から伝える「判断」と「決断」の定義はあくまで私の解釈で、辞書の通りではありません。私自身が考えて整理し、定義づけた答えです。これをきっかけにあなた自身の定義を考えてみるのも良いでしょう。

さて、英語で「判断」はジャッジメント(Judgement)、「決断」はデシジョン(Decision)と言いますね。
私は、「判断(ジャッジメント)」は過去の事象に対する評価であり、「決断(デシジョン)」は未来に対して行うことだと定義づけています。つまり、「判断」は過去の事象が正しいか正しくないかを評価するので、「正しさ」や「質」が求められます。しかし、未来に対して行う「決断」は正解がわかりません。よって、そこには「強さ」や「早さ」が求められます。

私が早稲田大学ラグビー部キャプテンだったある日、レギュラーポジションのひと枠が怪我人によって空きました。そこで、キャプテンである私に次の試合のレギュラーメンバー選考を求められていましたが、私はなかなか決断できずにいました。
人間的に素晴らしく、人望もある4年生のA君を選ぶか、ずば抜けた勢いとポテンシャルがあるものの、人望がまだあまりない1年生のB君を選ぶか。このような選択を迫られる場面はビジネスでもよくみられることでしょう。優秀だけど生意気な若手、人格者だけど仕事はイマイチな先輩、どちらをプロジェクトメンバーに選ぶか上司に決断を求められる、そんなシーンが思い浮かびます。

このとき私は、A君とB君、どちらを選ぶのか、彼らを試すようなことをしてしまい、決断を引き伸ばしていました。試合まで10日も時間があったにも関わらず、どちらにするか決めるために1週間も費やしてしまいました。私の決断に対して周りから非難されないように、誰から見ても正しいと思われる判断をしようとしてしまったんですね。

本来10日も時間があるのなら、1日で決断し、残りの9日間を使ってチームに馴染ませる方がよかったはずです。「決断」しないといけないことを、周りからの非難を恐れて「判断」しようとしてしまった。
実際それだけ悩んで決めかねるということは、どちらを選んでも良かったはずです。しかし、自分自身で勝手に決断することに恐怖を感じ、「間違ってはいけない」と、二人を評価することに長い時間をかけてしまいました。

リーダーになると「決断」を求められる場面がよくあります。しかし、決めることは難しいので、できるだけみんな避けようとします。決めることを先延ばししてみたり、正当化したりするでしょう。判断も決断もどちらも大事なリーダーの仕事ですが、先の見えない未来に対して、強い覚悟を持つ必要があるという点で、決断はリーダーにとってより重要な仕事です。

決断は、時に批判されることもあります。
私は日本車いすラグビー連盟の副理事長をしています。コロナ禍で、車いすラグビーの日本代表合宿はずっと中止になっていましたが、思い切って7月に合宿をすることになりました。これまでも合宿を開催する話は何度も出つつ、やらない選択を続けてきた中、今回はついに開催を決断しました。合宿を開催するかしないかに正解はありません。それでも、この決断にはやはり各所から批判もありました。しかし、やると覚悟を決めたからには最善を尽くし、対策を徹底した結果、合宿も無事に終わることができました。選手やスタッフの努力のおかげです。

「決断」は重要です。同時に、責任も覚悟も付きまとうため大変です。この大変さはみなさんも感じたことがあるのではないでしょうか。しかし、ちょっとしたことでも大丈夫です。みなさんも決断を意識してみませんか。
さて、みなさんは今日何を決断しますか?そんなことを考えながら一日を過ごしてみてください。それでは、今日もがんばりましょう!

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