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毎日新聞の記事は間違い~愛名やまゆり園のミトンの人は、自分でドアを開けることができ、閉じ込められてはいない~

1.はじめに

何が事実か?
正しいと思っていたことが間違いだと知った時、間違ったものを間違っていると知ること・理解すること・認めることが大切だと、私は感じています。
ですから、事実を書きます。

このように書くと、「○○寄りだ」などという人もいますが、真ん中から両側を見た時に何が見えるか?というのが、私の視点になりますので、感情抜きにしつつ、両側を見るように心がけています。事実は事実なのですから。

また、この事実をFacebookに書いた時、想定はしておりましたが、「でも、○○の部分は…」というコメントの書き込みがありました。

Aのことを話しているのに、Aを知ろうとも理解しようともせず、Bの話題をする。その人にとっては、今まで事実だと思っていたことを間違いだと認めたくないのかもしれませんし、Bが重要なのかもしれませんが、私の趣旨は、Aだけの話であって、Bの話は別なところで論ずるものだと思っています。そして、ご自身が同じようにされたら、どう思うのだろう?と感じます。

前後左右、他のことは脇に置いて、事実を見た時に、今まで知っていたことが間違いだったと知るという、勇気ある行動をお勧めしたいのです。

ただ、私から発信しておりますので、そういう事実を知って不安にならざるを得なかった感情をお持ちの人たちと話し合うことは、大切なことだと思っています。

2.虐待か?と福祉業界に衝撃が走った

今年の9月上旬、毎日新聞デジタルに下記の記事(有料)が出ました。


そこに書かれていることは、「居室への長期閉じ込め情報」ということ。

「愛名やまゆり園は、知的障害のある人約100人が入所。県に匿名で「人権侵害にあたるのでは」との情報が寄せられたことから調査に踏み切った。関係者によると、男性の居室(1人部屋)のドアの引き戸の取っ手にガムテープがはられていることを県担当者が確認した。男性は、けが防止を理由にミトンの手袋をはめられており、自分ではドアを開けられない状況だったという。」

という文章です。(太字は山田による)

少しさかのぼりますが、この施設は、2019年夏、虐待があることをほのめかす投書が担当市に寄せられたことと、また、ある職員がした虐待について、別の職員が虐待通報をしたことがあり、担当市が調査に入り、虐待の認定があった施設です。
私は、その虐待事案について、法人から、「虐待事案検証委員会委員」の依頼を受け、委員の一人として関わりました。
この虐待事案検証委員会は、2020年2月から8月中旬まで行われ終了したものです。ですから、私は、虐待事案検証委員会の元委員です。

そして、9月上旬にこの記事が出ました。

入所者の人がご自身でドアを開けられない状況ならば、虐待の可能性がありますし、その場合は利用者・職員ともに助けるべきと捉えているからです。

3.新聞に書いてあることとは違う事実を確認した

そこで、事実を確認させてほしいと愛名やまゆり園に申し入れ、私一人ですることではないと考え、別の元委員さんと一緒にその事実を10月21日に確認させていただきました。
私が確認した事実は、この入所者の人はミトンをしていますが、ドアをご自身で開けられるということ。そして、自室の中に閉じ込められているのではなく、皆さんと同じ活動の場所で、過ごされていらっしゃったのです。

「では、記事が出た時に閉じ込めていたのではないか?」と思われるかもしれませんが、以前に何度かこの施設にお邪魔した時に、特徴のあるおしゃれな飾りつけがされた部屋で、開け放ってあったことを鮮明に覚えていたものですから、以前から「閉じ込めがあった」とは考えにくいのです。

ですから、この記事を書いた記者さんは、事実を確認していない状況で「関係者」という人の話を記事にしたようです。記事をよく読めば、記者さんが見たのではなく、聞いたことを書いている表現になっているのがわかります。

もちろん、記者さんも、私のこの記事を読めば、事実と違うことを流してしまったことにがっかりなさると思います。なので、記事を消した方が良いのではないかと思うくらい、私は、記者さんのことも心配しています。

4.なぜ間違いが起きた?(あくまでも山田の想像)

あくまでも想像で書きます。そしてそれについての考えも書きます。

関係者という人は、本当にこの入所者の人が開けているところを見たことがないのかもしれません。利用者100人もいれば、そういう場面に遭遇しない可能性もありえそうです。それに、ご本人が開けられるとしても、ドア自体を職員が開けてしまうことだって、施設職員としてよくあることです。
ですから、「開けられない」と認識したとか、「開けたところを見たことがない」とか、話したのでしょう。
記者さんは、そのことの裏付けを確認せずに、関係者と言われる人の話をうのみにしたことが事の発端と思われます。
だとすれば、記者さんもある意味、被害者でもあるのです。

ただ、このような出し方をしたことで、多くの他の法人・団体・行政や人の心が動きました。何のために事実を確認せず記事にしたのか?と思いますので、そこは残念です。なので、記者さんも、ある意味、責任があるのではないでしょうか?

そして、逆のパターンもあえて考えてみましょう。

関係者さんは、ドアを開けられるところを見ていないという事実を伝えただけ。それを、記者さんが、単純に虐待だと認識して、尾ひれをつけて書いたかもしれません。
記者さんは、この法人に密着して取材しておられるようですので、何か記事にすることはないか?探り、関係者の人の情報を使ったかもしれません。
であれば、関係者さんが被害者かもしれません。

更に言うなら、二人の共同作業といういきさつもあるかもしれません。
でも、それらは、ふたりにしかわからないことです。なので、一応書きましたが、経緯について何が真実か?と探ることの必要はないでしょう。あくまでも、私が想像したことで、私の仮説です。

なので、そんな不要なことにもかかわらず、あえてこの部分を載せたのは、物事とは偏った見方をするのではなく、多方向から見ることが、どんな場面においても大切なことと思っている私だからです。

そして、今回は、どんないきさつにしろ、記者さんやその記事を読んだ皆さんに、事実は違っていることを伝えたいのです。

5.法人の職員に対しての文章も記事になった!

入所者の人はドアを自力で開けられ、閉じ込めもない状態なのに、それとは異なる情報をインターネット記事にされたわけです。さらに、他のメディアでも、同様の記事が出ました。それは、法人が、社会的信用を失うことにつながります。

事実ではないことについて記事になったことに関して、法人としては、「もし、職員が事実とは異なる情報を外部に通報し、許可なく園内の写真を提供したのであれば、極めて遺憾であり、懲戒処分の対象にもなりうると考えております。」という理事長名の文章を職員に対して出しました。

それを、同じ記者の人が職員(=関係者?)からその文章を入手して、また記事にしたわけです。(職員しか入手できない文章ですから、ここでは職員であると考えます)

写真が出ていますので、よく見てください。
事実と異なる情報を」です。

キャッチコピーで、虐待通報の施設職員に文書「懲戒処分も」という言葉が出ていますが、法人の文章は、虐待通報の話はありませんし、虐待通報をしてはならないとも書いていません。
それに、最初にも書きましたが、2019年、職員が虐待通報しても、法人からは何の処分も受けていません。それは事実に基づいた虐待通報だからでしょう。

他の新聞社の方には、全文の写真が載せられているところもありましたので、確認しました。(ただし、神奈川県の言葉が言ったとされる部分には、虐待通報という言葉が出てきます)

この記事をもとに法人に対しても、だいぶ批判がありましたね。
多くの人が、キャッチコピー(表題)につられたのではないでしょうか?
そして全部の記事は、お金を払わないと読めませんしね。
キャッチコピーだけ読んで、写真を見ずに感情が動かされたのだとお見受けしました。

もともと事実ではないことをニュースにしたことに気づいていない記者さんが、法人の文章を入手して、さらに尾ひれ(虐待通報という言葉)をつけて、法人が悪いという書き方になっています。

読み込み方が悪かったのか、あえてなのかは、記者さんだけが知ることでしょう。

もし、法人を経営されているならわかると思いますが、事実と違うことを世の中に出されたら、法人の混乱は予測されるでしょう。そのような行為は良くないと、どの企業も含めて就業規則に書いてあるところもあります。だから、このような文章を職員に対して内部で出したようお見受けしたのです。(かながわ共同会の就業規則にあるかは存じませんが)

間違った一連の報道が出て、それを拡散(シェア・リツイート等)する人がいたことで、内部の職員たちが疲弊することは、経験していなくても、想像をしてみてください。カンが良い方であればわかると思います。

この利用者の人は、自室のドアを開けられますし、「閉じ込め」は、ありません。だから、法人は「事実と違うことは外部に出さないでくれ」と話しているだけのことです。

6.皆さんにお願い

もしあなたがこの記事をシェアしていたのであれば、事実とは違いますので、削除なさることをお勧めします。ずいぶん前の記事ですが、間違った記者の人に加担したことになりますし、そのことで心が折れる人がいるということです。

そして、記者の人の関わりのある方にお願いです。
以下の文章を伝えてください。
***
私が確認した事実からすると、利用者の人への閉じ込めはなく、記事に書かれている関係者の情報は間違いです。
記者の人も被害者なのかもしれませんが、なんでもうのみにした行動は、おやめになって、これからは、ご自身で確認した事実に基づいた記事を書くことをお勧めします。それは記者さんの記者生命にかかわるからです。
記者さんは本当に一生懸命記事を書いていらっしゃることを存じております。一生懸命書いても間違っていたら信用を無くします。正しさが大切なことです。そして、間違った記事ゆえに、心痛めた人がいることも忘れないでほしいと思います。

Facebookに出したことで、新聞社が記事を消すことは難しいということを教えてくださった人がいます。
また、記事を消すより、訂正文を出した方がよいのではないかと教えてくださった人もいます。事なかれ主義ではなく、過去に出した記事があって、それは間違いで、訂正しお詫びするという手法ですね。

ものすごく納得しました。ですから、この記事に訂正を付け加えることが報道者としての使命とも思うのです。この記事がネットの中でずっと残ることは、お互いにとって良いとは思えませんが、消えないのであれば、後あと愛名やまゆり園やかながわ共同会はあなたの記事によって、不名誉な扱いをされることを想像してください。
もちろん、記者さんご自身で事実を確認してください。私が書いたからではなく、記者さんが調べて、事実をつかんで記事にするべきです。
***

職員たちは、今回事実でないことが記事として出たことで、心がとても疲れていました。こんなことで施設をやめるというようなことがあれば、福祉業界にとっても、大きな損失になります。
なんでもたたけばよいのではないのです。

内部では「課題」は生じても、より良い支援の方向に努力しているときに、外野から「問題だ」とたたくだけが良い方法ではないのです。より良い支援の方向に行くように職員を応援することが大切だと思いませんか?

自分の職場でのことを間違って報道されたことを想像する力を持ちましょう。それによって様々な調査が入ってくることで平穏ではなくなり、それは利用者の皆さんにとっても同様に平穏ではありませんから。

もちろん風通しの良い施設環境は大切です。人が来てはいけないのではなく、不要な険しい顔をした人が入ってくることになりかねませんから、そういうことを申し上げています。

その入所者の方は「開けられるよ!」と、いえない人です。この方にもこの方のご家族にも、ご迷惑をおかけした可能性があります。どんなお気持ちだったか、察することだと思います。
そして、もし、この入所者の方が「私は開けられます」と言えないことを利用した記事であるならば、人権侵害です

関係者という人が、嘘を言っているかどうかということは、嘘かもしれませんが、本当に開けたところを見ていない人なのかもしれません。それもわかりません。誰が関係者なのかもわかりません。でも、2つ目の記事の書類は職員しか見ることができないものなので、2つ目の方は職員から流出したものであることは間違いありません。

ということで、事実と違いますので、先に出しましたふたつの記事をシェアした方は、消していただくことをお願いしたいと思います。
それは、職員・法人のためだけではなく、間違ったことを書いた記者さんを守るためでもあると思っています。

9月に出た記事なので、ちょっと探すのには大変かもしれませんが、よろしくお願いします。ネットというものは恐ろしいもので、ずっと残るので厄介なのです。
記者さんや所属している毎日新聞が、ばつんと消してくださればよいのですが、そうはならない可能性があるので、皆さんにお願いなのです。

7.何を信用するのか?

報道・メディアは、売れるようにキャッチコピーを作り、書くものです。これは有料記事ですから、そこを読まずに、キャッチコピーだけで信用している人もおいででしょう。

やっぱり私は、報道・メディアを信用しすぎないように、これからも、斜めに見ていく可能性があるります。
なぜなら、間違った報道をしている記事をいくつも見ているからです。

そして、あなたご自身も、キャッチコピーを信じすぎたり、TVに出ている人や専門家や大学の教授や有名な人が拡散しているからというだけで、シェアやリツイートなどをすることは一瞬立ち止まり、ご自身で見極める目をお持ちになることをお勧めします。
ちなみに、私の記事もしかりです。

8.おわりに

この記事は、かながわ共同会に書いてと頼まれたわけではなく、私が個人的に書いています。書きますとは伝えてあります。

そして、私自身は、今の時点で誰が悪いとかとか、関係者がだれかとか、新聞社本体は何を考えているのかとか、私の中で重要なことではなく、そういう感情はありません。
間違ったことだけを間違ったままにしておきたくないだけです。

人間は間違う動物ですし、私自身も間違うことがあります。でも、間違いだと知った時には訂正できる人間でありたいと思っています。

そして、私は、今、この事実について、正しいことが流れることを欲しています。

私自身は、記事が出て、え?っと思って現場を見せていただき、ご本人に会わせていただきました。いろいろと質問を用意し、伺いましたが、確認し忘れたこともあり、いろいろわからないことがあって、その後も何度もいろいろな視点から伺っていきました。
かなり、施設側に対して疑いを持った視点で、記事の視点に立って質問をしましたが、真摯にお答えいただいたと思っています。

その結果、私が知った事実は「開けられたよ」であり、「閉じ込められてないよ」であり、前後左右のことは置いといて、そのことだけです。
もし、関係者の人は見ていなかったので、開けられなかったと言ったかもしれませんが、別の「理由」があり、それが何かのSOSの表れなのであれば、それは、支援させていただきます。もちろん、関係者と名乗ってくださればのことですが。

その行動の理由がそれぞれにあったのでしょうね。
ですから、記者さんも関係者の人も、過去に起きてしまったことを起こしたままにせず、未来に向かおうよと思うのです。もちろん、シェアやリツイートなどをした人もですし、愛名やまゆり園やかながわ共同会を不愉快に思っている人もです。

共生社会を目指している時には、一つの物事に対して、多方向からの意見があるということは良いことだと思っています。
ただし、やっぱり、一つの物事というものは、事実である必要があると思います。憶測を主として話し合うのは、間違いの元でしょうから。

つまり、共生社会を目標にするなら、こういうこともあると覚悟することなのでしょう。その際には言い合いにならず、冷静に多方向から考えられる自分自身をそれぞれが持ち、文句や批判ではなく、話し合いができることが良いのでしょう。

最後にもう一度。

毎日新聞社2020年9月2日 18時00分(最終更新 9月7日 08時29分)の記事にあったミトンをした入所者の人は、ドアを自力で開けられます。そして、閉じ込められた状態ではありません。それが事実です。

毎日新聞2020年10月7日 17時21分(最終更新 10月7日 18時42分)の記事は、虐待通報をした職員が処分の対象なのではなく、事実と異なることを外部に出した場合は、処分の対象にもなりうると書かれたものであるということです。キャッチコピーに「虐待通報」と書かれていますが、かながわ共同会の出した文章に、虐待通報をした職員を処分するという文章はありません。

以上です。
長文をお読みいただきありがとうございました。




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