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実録!Vket夏の怪談特集2022 - ベータテストNG秘譚

怪奇!空飛ぶ看板

「これは、実際に起きた話です。確か7月の始めのことでした……。」
「建設途中のパラリアル都市、『パラリアル・ニューヨーク』でベータテストをしていた時に、私、見たんです。」
「……看板が、空を飛んでいるのを!!」

――看板?

「そりゃあパラリアル都市ですからね。ヘリコプターや人間、車なんかが空を飛ぶのは普通のことでしょう。」
「でも、アレはそんなんじゃなかった。」
「そこにあってはならないもの。存在してはならない物体。」
「怪奇。」
「アレはこの世のものとは思えない。そんな、『不自然』な飛び方をしていたんです。」

――それでは、その時実際に記録された映像をご覧頂こう。

――お分かり頂けただろうか。

(おどろおどろしいBGM)

――画面中央を通っている物体だ。

(驚きの声と悲鳴)

「あの時は自分の目を疑いました。けれど、仲間のテスターも皆、同じものを見ていたのです。」

「報告を上げて、翌日見に行ったら、もう影も形もありませんでした。あれはいったい何だったのでしょうか……。」

怪奇と戦う能力者たち、その名はベータテスター

バーチャル空間には、このような恐ろしい怪奇現象が潜んでいる。ワールド製作者たちが気づかぬままに世界の中に潜り込み、そしてふとした瞬間に鎌首をもたげるのだ。
怪奇は予期せぬ影響をもたらす。ときには人によって違うものが見えたり、聞こえないハズのものが聞こえたりすることもある。それはバーチャルな現実を侵食し、体験する「リアル」を変質させてしまう。

リアルの世界でこのような怪奇現象と戦うときは、専門家を呼ぶものだ。霊能者なりゴーストバスターなりエクソシストなり退魔師なり。しかしバーチャルの世界では、怪奇と戦う能力者には別の名が付いている。そう、「ベータテスター」だ。
https://summer2022.vket.com/credit
ベータテスターたちは公開前のワールドを隅々まで確認し、怪奇を見つけて、再現条件を特定していく。怪奇は「わからない」から怪奇なのだ。ベータテストが正体を探ることで、怪奇には名前が付けられ、性質を知られ、そうすることで対処が可能になっていく。
バーチャル世界の平穏と没入感を守るため、テスターたちは今日も人知れず、怪奇との戦いを続けているのだ。

狂気、彼方より届く声

「あの夏はいくつもの怪奇が発生していましたが、その中でも最も恐ろしかったものの1つが、『Poppin' Jump』で起きたあの事件でした。」

「Poppin' Jumpには大型で複雑なブースが出展されますが、その分ワールドの構造はシンプルです。私たちが入ったときも、『まさかここで怪奇なんて』、というある種弛緩した雰囲気があったものです。」
「何度かワープボールを投げて、和やかにおしゃべりしながらエリアを周っているうちに……。聞こえてきたんです。」

――聞こえたとは?

「それは、声でした。朗らかな笑い声。」
「一緒にテストをしていた仲間の声だったんです。でも……。」
「その仲間、別のエリアにいたはずなんです。」

「隣で話している仲間の声が、ひどく遠くから聞こえる。」
「すぐ近くから声がするのに、その仲間がどこにもいない。」
「まるで声だけが透明になってその場所に取り残されたかのように、誰もいない場所から声がする。」
「本人が遠くにいて、口も動いているのに、声は後ろから聞こえてくる。」
「長くバーチャル空間で生活していますが、こんなことは初めてでした。」

――この「声」の怪奇は、その後解決までに長い時間がかかったが、ワールド公開までには対処が完了したという。
ベータテスターの重要な仕事の1つは「マルチテスト」だという。多人数でワールドに入ることで、複数人でないと発見できないような怪奇、バグを見つけ出すのだ。

「Poppin' Jumpの怪奇は、発見が早かったから対処ができました。もしこれが開催直前だったらと思うと、今でも背筋が寒くなります。」

ちなみに、Poppin' Jumpで使われていたバブルボールは一般配布されている。
https://www.store.vket.com/ec/items/6669/detail/

恐怖!朱に染まる川

――風光明媚でファンタジックな『はじまりの街 アルメア』。長閑な街並みの中にも、怪異は潜んでいました。

「動力船の様子を見に行って、ふと視界の隅に違和感を感じたんです。」
「透き通るような青い空、青々と茂る草原。そんな中で、そぐわないような何かがあったような。」
「それで辺りを見回していたら、見えたんです。あの……。」
「朱く染まった川が。」

――それでは、実際に記録された映像をご覧頂こう。

(甲高いBGM)

「普段は透明できれいな川が、あの日はギラッとした赤色になっていたんです。」
「そう、まるで大地に傷口ができたような、そんな光景でした。」

――幸い、テスターの報告を受けて対応がなされ、この川は今や澄み切った水を湛えている。

「あれは夢か何かだったのかと、今でも半信半疑になることはあります。」
「けれど、あの朱い川を思い出すたび、思うんです。」
「あの朱い水は、結局どこから来たのだろうか?と。」

異常、増えるお金

「最後に話す怪異ですが、こいつはちょっとお得なやつでした。けれど、ある意味最も脅威度が高かったといえるかもしれません。」
「九龍帝国城下町 壱番街、劇場エリア。あの街は金さえあればなんだってできるし、金がなければ食い物にされてしまう。」
「それだけ大事な要素だったんです。あの【所持金】の仕組みは。」
「でも、あの日は何かがおかしかった。狂ってしまっていた。」

――それでは、実際に記録された映像をご覧頂きたい。

――何がおかしいか、わかっただろうか?

「劇場のミュージカルに参加すると、おひねりで500RONをもらえる。それ自体は正常な『仕様』です。」
「ところがあの日。なんと、ミュージカルに参加していない人まで、壱番街にいた誰もかもが一様に、500RONを受け取っていたのです。」
「ルーレットでスッた者も、ダイスに命運を委ねた者も、皆が500RONを受け取れました。しかも、他の誰かがミュージカルで踊れば、また全員が500RONをもらえたのです。」

――気前の良い怪異だったのかもしれない。しかしこれは、九龍の経済システムそのものを揺るがす事件でもあった。

「この問題は報告してから早くに対応されました。お客が来る前で本当に良かった。」
「もしこの怪異が、オープン後にお客がいる前で起きていたらと思うと、ゾッとします。きっと、壱番街の社会は大混乱に陥っていたことでしょう。」
「結局、一番怖いのは私たち人間なのかもしれませんね。」

(重厚なエンディングテーマ)

2022 Winter ボランティアテスター募集について

12月に開催予定のバーチャルマーケット2022 Winterでは、今まさにワールドのベータテスト参加者を募集しています。ボランティアベースとはなりますが、ノルマなどはありませんので、ぜひお気軽にご応募ください。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfU-eaGdpefxsEJbMqWPB_gC3I4AmOO6cEukrdbGCU4gZAMgw/viewform?usp=sf_link

動画提供

空飛ぶ看板:Mitna様 
朱に染まる川:ryon様、アキ様


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