【連載小説⑥】1979年初夏、ドーの話。/ DOE DEER, WHAT’S THE MATTER??
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作:結友
イラスト:橙怠惰
8. ベールの内側
タルーラは文字通り、輝いていた。
1曲目で客の心に挨拶をして、2曲目で誘惑。3曲目ですべてを弾き飛ばした。
コズモはパフォーマンスに釘付けになっていた。スパンコールがギラギラと反射して眩しかったが、関係ない。コズモは目を見開いていた。
タルーラは完全じゃない。それが好きだった。
歌には完全な強さとエネルギーで武装したような力がこもっているのに、伴奏の間にふっと力が抜ける。一節を歌い終わるごとに、強い目