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【イベントレポート】5/16 newQ STUDY:「なぜ、ワークショップを行うのか?」(ワークショップの作り方〜 組織で哲学するとはどういうことか?〜第1回)

newQとしては久しぶりの対面イベント(オンラインも同時配信)newQ STUDY「ワークショップの作り方〜 組織で哲学するとはどういうことか?〜」の第1回目、「なぜ、ワークショップを行うのか?」を5/16に開催しました!

おそらく人類史上最もワークショップが盛んに行われている昨今。ワークショップに参加するだけでなく、「ワークショップをつくる」という必要に迫られている方も多いのではないでしょうか。newQでも数多くのワークショップを実施していますが、「そもそもワークショップで考えるとはどういうことなのか?」を改めて考えてみるべく、当イベントを企画しました。
(主催:newQ

登壇者

▶︎ ゲスト

堀越耀介(ほりこし・ようすけ)
哲学/教育学研究者 博士(教育学)
東京大学 共生のための国際哲学研究センター上廣共生哲学講座 特任研究員
独立行政法人 日本学術振興会 特別研究員(PD)
専門は教育哲学/哲学プラクティスで、学校教育やビジネスの現場で哲学コンサルタントや哲学対話の研修講師を務める。著書に『哲学はこう使う 問題解決に効く哲学思考「超」入門』(実業之日本社)、共著に"Philosophical Practices in Japan from School to Business Consultancy"などがある。

▶︎ newQメンバー

瀬尾浩二郎
newQ(セオ商事)代表。サービスデザインをはじめとした企画設計からワークショップの運営、UI設計、開発までを担当。ニューQ編集長

今井祐里
サービスの企画、UI・UXデザイン、エディトリアルデザイン等を行う。『ニューQ』ではインタビュー、ライティング、編集を担当。一緒に問い、考えるためのワークショップ設計が専門。

「ワークショップの源流をデューイの教育哲学にみる」


newQによるワークショップの歴史紹介に続いて、堀越さんによるプレゼンテーションが開始。レクチャーは、ジョン・デューイが1889年に出版した『学校と社会:三つの講義』より「第一次経験」「第二次経験」というデューイが提唱する概念についての説明から始まりました。教育とは経験を作るためにあるというデューイは、「第一次経験」で身体を使った経験(例:生き物を見る、音楽を聞く)を経て「第二次経験」で知的な経験(例:図書館での調べ物)がなされるというモデルを描き、これを行う場として「教室」を構想していました。「これはすでにワークショップの形をしていますよね」と堀越さんは指摘します。

続けて堀越さんはデューイの考えを踏まえ、学習を通して新しい知識と出会うとき「自分の外側にあるものとの出会いが『いい感じ』でなければならない」と言います。はたして、それはどういうことでしょうか? 

「いい感じ」とは、学ぶ人にとって内部と外部がちょうどいいバランスであることを意味します。デューイが重視したのは、自分自身が持っている学びたいという内からの熱量や欲求が、外からやってくる学習する機会と均衡している状態であるかということでした。つまり、外部から一方的に押し付けられる学習はいい体験には成り得ず、内部からの学びたいという熱量とのバランスが保たれている状態が望ましいということになります。

では、ワークショップにおける内部と外部のバランス配分はどうなのでしょうか?話題は、ワークショップのあり方をインプット、触発、収斂というキーワードをもとに分類しながら「ワークショップにおける探求とは何か」といったテーマについて、内部と外部のバランス配分を検討する議論へと発展していきました。

堀越耀介さん×newQによるディスカッション

堀越さんからのレクチャー後には、会場、オンライン参加問わずたくさんの質問をいただき、ディスカッションを行いました。ここでは一部を抜粋してお届けします。

「探求するためのワークショップって何をしていることになるんだっけ」

今井さんからは、参加者が問いを見つける探求型のワークショップにこそワークショップの核があるのではないかという議論がなされました。

今井:良い問いを設定することがいいワークショップなんでしょうか? というのは、ワークショップに参加している人は、与えられた問いを考えたいわけではなく、本当は自分の問いを問いかけたいんじゃないかと思うんです。

堀越:いきなり自分たちで問いを作ることはハードルが高いですよね。そこである程度問いを作っておくことが必要ではあります。しかし、探求するワークショップを企業で開催したとして、どんなうれしいことがあるのか? を考える必要がありそうですね。

瀬尾:探求型のワークショップについて、仕事を手分けして進めていくのではなく、協同して何かをつくるということやプロセスや学習を共有して合意形成ができる関係性を構築できること自体がワークショップの在り方であるのだと思います。

「毎日がワークショップなのはダメなのだろうか?」

ディスカッションの後半で「毎日がワークショップではダメなのだろうか?」という問いを投げかけたのは堀越さん。

すでに堀越さんはデューイのプレゼンテーションで、彼の「教室」体験はワークショップの形式に近いのではないかと述べていました。よって、「デューイの考えが実践されるとすれば毎日の授業や学習がワークショップになるのではないか?」という問いを抱いていると言います。また、「企業はイベント的な形式でしかワークショップで取り上げられるようなことを考えられない」といった現状も指摘されました。瀬尾さんからは「ワークショップの非日常的な場でしか考えられないこともありますよね」という発言も。

もし、ワークショップが日常的なものになったとしたら、そのような日常を私達はなんと呼べば良いのでしょうか?そのようなことも、これから考えていけると楽しそうですね。

newQメンバーである大島さんがグラフィックレコーディングを行いました

終わりに

登壇していただいた堀越さん、そして参加いただいた皆様、お疲れ様でした!

newQでは、ワークショップを考えるためのイベント(ワークショップのつくり方)を今後も開催していく予定です。peatixをフォローいただくか(https://newq-study.peatix.com/)こちらのnewQのnoteをチェックしていただきますと今後のイベント情報をお届けすることができます。ご参加をお待ちしております!


newQへのワークショップ依頼やお仕事は、ウェブサイトのお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください!


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