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6月FOMC議事要旨 ポイント考察

  • 市場は7月の7bpの追加利上げをほぼ完全に織り込み済み

  • 投資家は、9月の金利決定をめぐる議論に注意を払うだろう

昨日は、ドルインデックス(DXY)が106.00を超え、約20年ぶりの高水準に達しました。
米連邦準備制度理事会(FRB)と他の主要中央銀行、特に欧州中央銀行(ECB)との間で政策の相違が広がっていることが、引き続きドルを押し上げる要因となっており、さらに、世界的な景気後退への懸念が強まる中、安全資産としてのドルへの資金流入が進んでいます。

FRBは7月6日(日本時間7月7日午前3時)に、政策金利を75bp引き上げることを決定した6月会合の議事録を公表します。

CME FedWatchによると、現時点において、市場は7月に75bpsの追加利上げが行われる確率を83.2%と織り込んでいます。クリーブランド連銀メスター総裁、サンフランシスコ連銀デイリー総裁、ボウマン理事など、7月に75bpの利上げを支持すると公言しているFRB高官も複数存在します。

さらに、商品先物取引委員会(CFTC)の最新COT(Commitments of Traders)レポートによると、DXYのネットロングポジションは、6月上旬の最強レベルまで上昇した後、先週は減少しています。
したがって、「噂を買って事実を売る」ような市場の動きにより、DXYはテクニカルな調整を行う可能性があり、さらに、昨日の上昇を受け、DXYはテクニカル的に買われすぎの状態にあります。

現在、9月に50bpの利上げを実施する確率は80%以上です。
このような市場のポジショニングは、6月FOMC議事要旨から、インフレ圧力が緩和する兆候が見られない場合、9月に75bpの利上げを検討する意思があることが明らかになった場合、タカ派的なサプライズが起こる余地があることを示唆しています。
この場合、過去2週間で10%近く下落したベンチマークである米国10年債利回りが再び上昇し、ドル高を維持する要因となる可能性が想定されます。

FRBが発表したドット・プロットでは、政策委員の間では2022年の金利は3.4%で終了するという見方が中央値で、3月のドット・プロットの1.9%を大きく上回っています。
現在、FF金利は1.5-1.75%であり、年内4回の会合で合計175bpの利上げ余地があることになり、7月と9月にあと2回75bpの利上げを行えば、FRBが予想外に利上げを一時停止しない限り、年末に向けて政策金利が4%に近づく可能性があります。

もし、議事要旨で、政策担当者が7月以降の利上げの具体的な規模を明言することを控え、経済とインフレ見通しの進展を見極めたいと発表すれば、ハト派的なトーンとみなされ、ドル売りが誘発される可能性があります。
米国のPMI調査では、6月に民間部門の企業活動の成長モメンタムが大幅に低下したことが示されていることは注目に値します。
市場参加者は、政策立案者が景気が後退することを懸念していると見れば、今年の最終四半期にはそれほど積極的ではない引き締め姿勢とした価格設定を開始する可能性があります。

投資家は、FRBがインフレ対策として成長を犠牲し続けるかどうかを見極めようとしています。
7月の75bpの利上げはほぼ織り込み済みなので、6月の政策決定会合の議事録は第4四半期の政策スタンスに関する新たな手がかりとして注目されます。
9月にも75bpの利上げを行う可能性が高いと投資家が確信しない限り、ドルは上昇しづらく、下方修正される可能性があります。
しかし、ドルは安全資産としての地位を保っているため、FRBに触発されたドル売りは短期間で収束すると想定されます。


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