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リレー小説 No.3 『ちょっとした贅沢、イデアル』

こんばんは~、k子です。
リレー小説3回目の記事担当となりました!

小説本文と個人的所感を載せていきます。

『ちょっとした贅沢、イデアル』

執筆時期: 2020/01/26~2020/03/09

メンバー1
さて、今日は何をしようか。微睡みに佇んでいた意識を僅かばかり浮上させる。このまま一日中惰眠を貪ってもいいし、せっかくなら海の見える近くの灯台まで足を延ばすのもいい。
ああ、いつもならコーヒーに一つだけ入れる角砂糖を二つに増やしてもいい。
何と言っても今日だけは誰にも邪魔をされない日だ。自由を与えられた日。こんなことは本当に久しぶりだった。
メンバー2
潮騒に交じるうみねこの狂騒も、いつもと違いどこか感傷深い。
開け放たれた窓から覗く空の青さも、何故だろう、今日は嫌味に感じない。
これも天啓。今日はちょっとした贅沢と言わず、理想を追求してみようか。
惰眠でも、散歩でも、甘いコーヒーでもなく、ブラックで苦くて……。
ベッド脇、近づく僕の耳に流れ込んでくる、縛られた君のくぐもった声が心地よい。
メンバー3
ベッドの肌触りの魅力にハマったら早々抜け出せまい。そこには、遊びに来ていた子龍が寝転び、ぐぐぅーと喉を鳴らしていた。
じっと見ると、気がついたのか、目があった。
「君もそこで優雅なひと時を過ごすのかい?」
乾杯の真似をしながら言ってみた。子龍はしばらくキョトンとしていたが、再び丸くなって、寝息を立て始めた。
メンバー1
いつしかこの子龍を愛でながら仕事に向き合うのが常となっていた。
どこから来たのかわからない子龍。竜種を飼っている人間はこの辺ではほとんど見かけないから、誰かに飼われているわけでもなさそうだ。小さく息を吐きながら子龍を見つめて微笑む。
そうだ、この子龍に名前をつけよう。机にかじりつくしか能のない自分が果たしていい名前をつけられるのかは疑問だけれども。
メンバー2
じめじめ引き篭もって考えても、煮詰まる前にいつしか仕事のことばかり考えてしまうはめになりそうなので、灯台までの道すがら頭を悩ますことにした。
メモと筆記具を片手に外に出れば、日は天頂高く、強い日差しは思考を煮詰めてくれそうだった。
活気のある白亜の町並みを横切るさなか、数奇な出会いを軽く思い出す。
仕事場の窓を突き破り、あの小龍が落ちてきた時はとんと驚いたものだったが、その龍がどの学術書にも記載されていない無名の龍だと判明してからはしばらく呆然としてしまった。
メンバー3
面白いこともあるものだと感じた。研究者達が、龍の生態や種を調べるため、世界中を飛び回っているところ、私は職場で、新種を発見してしまったのだから。
赤い透き通った毛並みに、やや控えめなくりくりした眼、鋭い歯の割に食すのは草木、撫でると喉を鳴らす。
この愛玩動物の理想のような子には、どんな名前が良いのだろうか。
メンバー1
思えば、眼前にいるこの子は本当に龍だろうか...?急に疑問が首をもたげる。
こうして資料や学術論文を通して龍というものは知っているが、
目の前にいるこの子は龍の特徴を持った別の生物なのでは...?
いや、今更そんなことを疑問に思っても仕方がない。
それならば、理想の龍というのは一体何だろう...間接的に知っているものではなくて、私が思い描く理想の龍とは・・・。先ほどは愛玩動物のようだと思ったが....。
メンバー2
こうして僕は、贅沢にも今日という日をもやもやと頭を悩ますだけで終えるのだろう。
誰にも口出しされず、灯台元のベンチから、深く観念の海に潜り込むように。それはなんとも、理想的な一日と言っていい。
ちびちびと飲んでいた出店のコーヒーが底をつく。手帳には名前の候補がちらほらと記載されている。
海風に体温を奪われた僕は、頃合いと立ち上がった。手帳の記載、その一つに丸をつける。
この一日、この関係性を象徴して、理想に因んだ名前に決めた。
名を呼んだときのキョトンとした表情を思い浮かべて、僕は帰路につく。

おわり。

さて、個人の感想を...

これ書いてたの1月なんですねえ...
たしかにこの小説を書いてたような気がする...
書き始めた際に、誰にも邪魔されない休日っていいよね!
と思っていたのですが、子龍が登場したりと自分では思っていなかったファンタジー要素にリレーの面白さを感じました。
この小説だけではなく、どの小説も自分が想像していたものとは違った展開になっていくので、個人的には楽しみながらやっております。
自分ひとりだけでは考えつかなかったような発想をたまに見ることもできて
人と何かを作るのはいいなあ...と思いました。

リレーの執筆の進みは亀ではあるのですが、
これからもいろいろなテーマを書いていきたいものです。

最後に...

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ご興味持っていただけましたら、是非お手にとっていただければと思います。

では、次回のリレー小説担当に記事の担当をバトンタッチします~
ここまで読んでくださりありがとうございました!

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