乱獲される熱量と流れ出る水。思ったよりも卵の殻は固いもんだよ。half

凝り固まった動きや考えは、

視野を狭めて通路を塞ぐ。

ランダムに裏向きで置かれたカードの柄が、

らんらんと自分の考えだけで答えられるわけでもないんだ。

自分が熱を注ぐ場所が、モニターの向こうか舞台の向こうかは、

突き詰めればさして重要なことでもない。

読み込み、場慣れ、タイミングを掴む事。

気遣いや意識で身体を強く覆っていても、

破れてしまう事もある。

飲まれてしまう事もある。

日焼けしてしまう事もある。

それが日常、それが日照。

自分はもう、とうの昔に完成しているだなんて考えは、

そうそう簡単に考えられないよ。

甘くみれば、これから取り組む事に失礼になってしまう。

乱れることに覚悟がなければ、

一瞬の迷いや、隙が生まれてしまうのと同じこと。

膜に覆われてばかりだと外の世界には踏み込めないんだ。

だから、俺はその膜から抜け出て、殻を破って今前を向いている。

前方には漆黒の舞台、明かりはまだつかず、

だが、着々と人の息や熱量が増していく。

緊張は確かにある台詞が飛んだりすることも不安になる。

けれども、どれだけ楽しくやれるかという気持ちが、

とにかく胸を身体を熱くさせる。

さて、ここからが俺の舞台だ。

ここが俺の外の世界。

緊張は身体を固くして、

内側は素早く脈を打つ。

揺らいだからと言って、それが割れることもない。

思ったよりも卵の殻は固いもんだよ。

平らな場所こそ、ころがり周り、

デコボコな程、飛び跳ねる。

それが、今の生き様になる。

舞台を終えて、お疲れを経て、

高揚したままその先を想像する。

「――レイディオへようこそ。

~~先日、舞台があったんですけどね。」

まぶたと頭に浮かぶのは楽し気な自分の表情だ。

明かりが舞台の地に当たる。

白身のような、黄身の様なやわらかい明かりが、

高揚した身体に浸透して、

俺は一つと始まりに歩いた。




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