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ひらがな指導 カナ文字指導の原則

どの文字から教えるか

文字の習得の過程は、同時に日本語の音声(音節)を極めて実際的な形で習得していく過程であるということになります。なぜなら、音声を意識して聞き取ったり、作ることができなければ、それにあてられる文字を教えるわけにはいかないからです。

音節の最も単純なものは、「あ・い・う・え・お」です。ですから、方言を考えなければ、ア行音は、子供にとって最もわかりやすい音節で、このア行音を表す「アイウエオ」から教えるのは最も自然なこと。

指導手順

 「あ」を頭音とする単語を絵カードで示し、それをゆっくり発音させ、それが幾つの音節ででき 
   ているか数えて、黒点で表示させる。

・・(足の絵) ・・(ありの絵) ・・・(頭の絵)

 これらの単語に全て、「あ」という音節のあることを確認する。

 その後で、その「あ」という音節だけ取り出して、「あ」という文字を教える。まだ教えていない文字は、点のままに残しておく。

あ・(足の絵) あ・(ありの絵) あ・・(頭の絵)

音節を比較することで複雑な音節をつかませる

1.濁音

 濁音は、必ず清音と対比させて教える。そのため、清音44音の学習が済んでから、初めて濁音の学習に入る。清音と濁音は、同じ口の構えで作りますが、濁音の場合は、声帯を震わせるが、静音は声帯を震わせない。
 両者は、音節の始まりにある子音を発音する時、声帯を震わせるか、震わせないかということで対立する音節なので、必ず対比して教える。

2.促音

 ここからは、1音節1文字の原則が崩れて、1音節2文字の段階に入る。「はか」と「ハッカ」というような単語を順序正しく比較させて、後の単語には、「促音」のあることを意識させ、その後で、その促音を小さい「っ」で書き表すことを教える。「ねっこ」とか「まっち」という単語を「ね・つ・こ」とか「ま・つ・ち」というふうに、3音節と掴ませてはいけない。「ねっ・こ」「まっ・ち」というふうに2音節だという点をはっきりさせる。その上で、「ね」と「ねっ」、「ま」と「まっ」との違いをわからせて、足温のあることを教える。

3.長音

 長音を教える場合も、まず、対応する短音と比較させて、長音と短音と異なる音節であることを意識させます。例えば、「バッタ」と「バッター」とを比べて、「た」と「たー」が違うことを教える。その後で、「ター」の書き表し方を教える。カナ文字には、長音を表す文字がないので、短音を表す文字を組み合わせて長音を表します。

4.拗音

 拗音も、これを書き表す文字から入るのではなく、音声から入ります。そして、拗音と言われる音節の存在を意識させなければなりません。そのためには、「きゃべつ」とか「じゃがいも」とかいう単語を音節に分割する練習を繰り返して行います。

※「いしゃ」という単語を「い・しゃ」ではなく、「い・し・や」と、まず3音節に分け、続けて読むと、「イシャ」になるというふうに教えると、拗音そのものが意識できない。

5.拗長音

 拗音の理解が一通り出来上がったら、先に学習した長音と結びつけて拗長音の学習に入る。この音節の指導でも、例えば、「キャ」と「きゃあ」のように、拗音と対比して、拗長音があることを意識させる。この時もただ抽象的な音の断片として提示するのではなく、具体的な単語「やきゅう」「ぎょうじ」「ちょうちん」などの構成要素として掴ませる。

6.助詞「は」「を」「へ」の表記

 子供が「わ」と「は」、「お」と「を」、「え」「へ」の使い分けがきちんとできるためには、名詞が文の中に、その後に格助詞がくっつくという文法上の事実の学習が先行します。そのため、文章の中から文を分離する作業。さらには文の中から単語を分離する作業が必要になります。これは、マルのうちかた、「分かち書き」の指導とも関係してきます。このように文法上の知識が文字・表記指導に欠くことのできないものとして登場する。

「お」という音節は、ふた通りの書き表し方がある。「お」は、「おけ」「たおる」「しお」のように単語の中に用いられる・
「を」ハ、「なになにを」という場合に使われるのだということを大まかに掴ませる。
「は」「へ」についても同じく、「なになにワ なんだ」「なになにワ どうする。」の「ワ」は、「は」と書き、「どこどこエ」の「エ」は、「へ」と書くことを指導する。


今日は、ここまで

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