ゼロからわかる自己調整学習⑥「自己調整のワザ」大全
自己調整学習ができるようになるには、そのものずばり「自己調整のワザ」が必要になってきます。これを「自己調整学習方略」と言います。
①自分の頭の中②行動③環境を調整するスキルとも言い換えられます。
今回はそんな自己調整学習方略についての解説です。
目標設定と計画
目標設定と計画は、大きな目標を設定し、それを達成するための小さな目標と、具体的な学習の計画を立てることです。
これにより、学習者は目標に向かって一歩ずつ進む方向性を持つことができます。
目標が明確だからこそ、どんな勉強の方法を選ぶのか、時間をどれくらいに設定するのかなど、具体的な計画が立てられます。
すなわち、目標設定と計画はセットなのです。
環境調整
学習に取り組みやすい環境を整えることで、集中力や学習効率を高めることができます。静かな場所や整理された机などがその例です。
記録の見直し
過去の学習内容やテストの結果を振り返り、そこから気を付けることや大事なことを思い出したり見つけたりすることです。
間違った問題や不明瞭な箇所を再確認し、理解を深めることが目的です。
例えば前回の算数のテストで間違えた問題を振り返り、正しい解法を再度理解する、などがこれにあたります。
情報収集
学習に必要な情報や参考書、資料、ウェブサイトなどを集めることで、理解を深める方法です。
教師に与えられるだけでなく、自分で必要なリソースを手に入れられることこそ、自律的な学習者の特徴です。
体制化と変換
難しい課題を分かりやすいステップに分解したり、身近な例に置き換えたりすることで、学習をより理解しやすくする方略です。
長い文章を段落ごとに読んで理解しやすくするため、それぞれの段落の要点を把握するようにする、などもその1つですね。
あるいは歴史人物を何らかのキャラクターに見立てる、などもあてはまります。
リハーサルと記憶
学習した内容を反復したり、語呂合わせを使ったりして記憶に残そうとすることです。
リハーサルは反復練習なので一番オーソドックスな方法かもしれませんが、記憶に残すには反復が効果的とは限りません。
語呂合わせ、歌にする、人に説明する、小テストする、物語にして覚える、などいろいろなやり方がありますね。
記録とモニタリング
学習過程や結果を記録し、定期的に振り返り、学習の進捗状況を確認することです。例えば、毎日の学習時間や正解した問題の数をノートに記録し、週ごとにその記録をふり返る、などです。
自己評価
学習を振り返り、自分の頑張りや理解度を客観的に評価することです。
その他の自己調整学習方略
実は、以上に示した自己調整学習方略は、Zimmerman(1989)によるもので、これ以外にも自己調整学習方略は様々提唱されています。
たとえば、Pintrichら(1993)は、上記のもの以外に次のような方略を提唱しています。
・批判的思考(根拠や別の視点からの検討など)
・時間管理(タイムマネジメント)
・努力調整(興味がわかない/難しい課題でも取り組み続けること)
・ピア・ラーニング(仲間との学び合い)
また、「動機づけ」を調整する方略、という視点からの提唱もあります。
自己動機づけ方略(伊藤&神藤. 2003)
【内発的調整方略】
・整理方略(環境を整理してやる気を高める)
・想像方略(将来のことやポジティブなことを想像して頑張る)
・めりはり方略(学習時間の区切りをつけて集中する)
・内容方略(内容を身近なことや好きなことと結びつけてやる気を出す)
・社会的方略(友達と学習することで刺激を受ける)
【外発的調整方略】
・負担軽減方略(飽きたら別のことをしたり休憩したりして負担を軽減)
・報酬方略(ご褒美を設定する)
このような「自己調整学習方略」という視点を持っていると、子ども達へのアドバイスの仕方が変わるかもしれません!
参考になれば幸いです。
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