私立高校教師の現場の辛さとリアルすぎる現実の問題点。
高校教師は意外と安定職で、ニーズがあるかと思う人もいるかもしれませんが、実情は違います。
今回は、現場のリアルをお届けしたいと思います。
私立高校教師が辛いのは学校間の人事異動がなく校舎がが変わらないことです。
公立のように教員の移動がないので、独自の教育システムを持つことができます。
ただし、学校による独自のシステムが、有益な成果も無駄な忙しさを生んでいます。
しかし、独自性を求めるあまり問題が起きてしまいます。
大学付属の有名学校とはちがい、一般の私立高校というのは生徒募集の段階でかなりハンデがあります。
滑り止めのために私立を受ける生徒も多く、に地方の私立は生徒集めに苦労しています。
中には、最初から私立を希望する生徒もいますが、ほとんどが第一志望ではありません。
そもそもマイナー私立は存続の危機に立たされている
「公立の教員より私立の教員の方が、優秀である。
それは、私立は自分の生活がかかっているから」
こういう私立の教員がいました。
公立高校は、国からの補助や学区での縛りがあり、一定の生徒数が確保できます。
その結果完全に生徒がいなくなり、仕事がなくなるということはありません。
学区外受験を自由にできるのは都心部だけです。
内申点を基準に地域内で学校を振り分ける制度を採用している所も多く、公立高校において地域をまたいでの受験は難しいです。
例えば10段階評価のうち、5点を獲得しても、それが県をまたいでしまうと同じ評価だとは認められません。
生徒を自分で集めなければいけない私立は学校の存続の心配があります。
生徒募集がうまく行き、成果を上げている学校は今は安泰かもしれませんが、大学や部活の成績、就職先を売りに生徒募集をする私立高校においては、毎年が勝負になります。
私立高校は生徒募集のプレッシャーの中、無給の仕事が多い
数値で判断されやすい私立は、公立よりもよりよい成果を上げることで、学校の存続が安泰するという実情があります。
一般的な教員は、自分の主体的な仕事で、クラス担任、部活動の指導、その他学校の仕事などがあります。
名のある進学校であれば、受験指導という補習的な授業があり、そこに残業代が発生します。
ただ、私立はそこまでの待遇はありません。
放課後も本来の授業とは別に主要教科の教員は、放課後の授業を強制されます。
その分の手当を出す学校は良いですが、手当を出さない学校も多いのです。
やっと補習がおわったかと思うと、その後、部活動の仕事が待っています。
夕方5時から生徒と一緒にグランドを駆けずり回り、場合によっては体育館で9時10時ぐらいまで生徒の下校を見守ります。
私立は学校の方針次第で規制が緩いのです。
この部活動も手当を出す学校も出さない学校もあり、業務時間外の仕事は残業代として計上されません。
部活によっては結果を出しても手当てに結びつかない
しかも、学校によっては全国大会に出場しても、何か手当があるわけではありません。
むしろ、他校や試合会場への遠征費は私費を使って引率をする場合もあるのです。
結果を出してもなにか対応が変わるわけでもないのです。
私立は結果を出すのが当たり前だと思われており、それが給料とはむすびつかないという現実もあります。
もちろん、生徒が試合で勝てばうれしいですし、手当が全てではないですが、せめて時間外労働の仕事が報われるくらいの何かがほしいと思います。
移動がないので人間関係が膠着しやすい
私立は、公立と違い学校間での移動がありません。
その結果、流動性が起きず、昔ながらの年功序列型で、勤務の長い人ほど優遇されます。
私立高校は一つの学校にしか勤務したことのない教員が多く、多角的視点から見たり、他校との比較的観点で判断する人が少ないです。
他の学校の状況を説明しても、今までのやり方を変えずに、一昔前の事務処理です。
おかしな校則が典型ですが、「書類はボールペンか万年筆のみ」という学校もあるのです。
パソコンがここまで普及している時代に、企業が今の日本にどのくらいあるでしょう?
そのくらい時代錯誤な学校もまだ残っています。
デジタル化に遅れ、それを受け入れない環境が現実にあります。
トップにおいて人の移動がないということは新しい価値観が入りにくいということです。
その結果、時代に合わないシステムが残ってしまっています。
「保護者」を「父兄」と呼び、父母参観を堂々と書類にするなど、母子家庭や父子家庭に気を使わない告知も未だに見られます。
当校では最近校長が変わり、一部問題点が指摘されましたが、多くの学校は古い価値観を引きずっていることでしょう。
人間関係の変化がない学校だからこそ、おかしなことに気が付かない。
おかしなことを指摘する人の方がおかしいとなる古い習慣が残っています。
「変わらないシステムの中に所属し続けなければいけない」というのが私立高校の実情であり、その結果非効率で無駄な仕事が改善されていないのではないかと思います。
新しいものを受け入れるためには捨てる勇気も必要
限られた時間の中、新しいことを受け入れるためには古い習慣を捨て、時間を作るしかありませんが、膠着した職場環境ではそれができず、結果的に新しい制度を無理に加えようとしてどんどん仕事が積み重なっています。
非効率のままの積み重ねでは根本的な解決には至りません。
その結果、各教員が勝手に仕事判断しており、組織的な改革がなされていないのが辛いです。
古い価値観の上に新しい価値観を積み重ねたっ結果、新人講師は尋ねる相手によって指示がちがうことになってしまいます。
なぜかというと古い制度の廃止が全体に浸透していないからです。
実際に進学実績のない私立が壊れていく現場を見た
ある進学校の実態について、具体的な例を上げていきます。ある地方の進学校の話です。
そこは公立以外で進学校と呼べる学校が一つしかない特殊な地域です。
その進学校には、公立を不合格だった生徒がほとんどであり、モチベーションもそこまで高いわけではありません。
地元の国公立大学に合格がやっとの学校です。
進学コースも定員に達したことがない学校です。
それを逆手に、少人数の指導という名目で生徒を募集して、そこそこの大学に合格させる手段を取っていました。
しかし、少子化とともに生徒の人数も減ってきて、生徒が集まらなくなりました。
そこで、合格基準を下げて、生徒を増やしたのす。
その結果さらに学校のレベルは下がり、人数が増えた個別指導で成果を上げることができなくなりました。
この結果に不安を感じ、少人数の指導体制を提案する教員がいましたが、今ままで行ってきたやり方を変えようとはしませんでした。
学校がやったのは教員には遅くまで残ることを強制しました。生徒が減り、空いた時間をサービス残業に回したのです。
進学コースの教員は21時くらいまで残り生徒を個別に指導するようになったのです。
家庭のある教員は反発していましたが、それは受け入れられませんでした。
当然、手当も出ません。朝の勤務から12時間以上の勤務です。
とくに進学実績につながらないまま残業が増えていきました。
ただ、実際には生徒が少し増えました。
個別指導を当てにする生徒が増えたからです。
進学実績よりもとにかく個別で長い時間子供の面倒を見てくれさえすればいい・・そいうニーズを満たしたのかと思います。
ただ、当然時間に追われ教員は体を壊したりしていきました。
既に予想されていたことですが、長時間の非効率な個別指導が増えても、合格実績は全く上がらず、進学コースとは誰もが思わない名ばかりの進学コースになってしまいました。
稀な例ですが、私立高校の辛さと忙しさを表している事例だと思います。
私立高校の辛さや忙しさは学校によって全く違います。
うまく行っている学校は、辛さ忙しさも適度になっています。
各教員が得意を活かしつつ、学校の活性化があるのです。このような現場があることを是非とも知って欲しい思い筆をとりました。
私立高校の現場は予想以上にきついです。学校選びの際は本当に気を付けて欲しいと思います。
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