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オンライン授業はじめました(2021/09/12)

今、何かと話題のオンライン授業。
我が勤務校も分散登校になったのをきっかけにやってみました。
やり方は色々ありますし、教える内容や生徒の年齢層によっても効果的な方法は変わるので、一括りにしては語れないと思っていますが、私が高校生相手に実施して「成功したな」と思った事例を、見本の1つとしてご紹介できればと思います。

機器の条件

今の勤務校でオンライン授業をするとしたら、ChromebookでGoogle Meetを使用することになるのですが、お世辞にもカメラの画質は良いとは言えません。また自宅で受ける生徒は、基本的にスマホの小さな画面で見るという厳しい条件があります。

そのためカメラ越しに黒板で見せるには、映す範囲をしっかり決め、かなり濃い筆圧で大きな字で書く必要があります。画面越しでは通常以上に白と黄の区別が付きにくくもなります。発色の良さではホワイトボードもありますが、蛍光灯で光ってしまい、よほど角度等に気を使わないとかえって見えにくいです。

リアルタイムかオンデマンドか

どちらもやったことがありますが、教科書的な内容を教えていくのであれば、絶対的に教育的効果が高いのはリアルタイムです。やはり、その場でのやり取り、掛け合いをしながらの進行、時には脱線したり…という教室授業に近い形で持ち味を生かせるのはリアルタイムならでは。

一方、ゆっくり繰り返し見せたい内容(何かのやり方を説明するものや、実験・実習系の「やってみた」的なものなど)は、オンデマンドで各自が見る形も向いています。ただし、何らかの形で生徒のフィードバックをもらえる環境を整えておく必要があります。

さらには、著作権がらみを考慮すると、分散登校下では 断然リアルタイムの方が余計なことを考えずにできます。(リアルタイム配信の扱いは、教室授業の扱いとほぼ同じ。)

詳しくは解説しませんが、気になる方はこちら↓等をお読みください。

学校のクラウド利用やネット配信、オンライン授業と著作権

教育とICT・日経BP

登校形態

オンライン授業をやる上で、「分散登校」と「完全オンライン」では、全く考え方が異なります。

今のところ、うちではオンライン授業を出欠カウントはしていないのですが、それでも誰が参加していたかは教科担当として把握しておきたいところ。

どちらの形態だとしても、授業をやりながら画面内のログイン状況を確認するのは、一人ではほぼ不可能に近いです。(生徒が回線の不具合等で途中で意図せずログアウト・ログインしてしまうようなケースもありますし…。)

結論

上記の分析とこれまでの経験から、私はリアルタイム配信で、下記のような環境を構築しました。

まず、「スマホの画面でも明瞭に見える」を最優先して、板書内容は紙にサインペンで書き、その紙と手元をWebカメラで映し、配信しました。字の大きさも自由に調整できますし、図や式も書けばよいだけです。スマホの画面によっては、画面の隅が切れてしまうことがあるようで、自宅組の生徒から「右隅が見えません!」と言われれば、紙をちょっと動かせば見せてあげることができます。

PowerPoint等で事前に用意しておく方法もありますが、図や式が多い内容の場合、準備に時間がかかりすぎてしまうデメリットがあります。そして、準備したものを「画面共有」で配信する必要があるのですが、これは経験上相当通信リソースを食うようで、通信トラブルが増える懸念、画面がカクカクして見られなくなる懸念が大きく、柔軟な対応ができないと判断し、選択しませんでした。

次に、分散登校時の教室組への対応です。当然私の手元は教室にいて見える訳がないので、教室組には大型モニタに配信画面と同じものを直接映してあげることにしました。 これにより、教室組も自宅組も、画面サイズが違う以外はほぼ同条件で授業を受けることになり、不公平感も減ります。

端末が複数台使えるのであれば、1台は配信用(私を大写し)、1台はログイン状況確認用(生徒がいっぱい映る)とし、もう1台を教室組投影用にできると接続は楽ですが、そうすると教室組は大型モニタで見る内容と、リアルに聞こえてくる声にタイムラグが生じ、軽いストレスとなります。それを考慮し、実際は図にあるように配信用端末の画面を、そのまま大型モニタに映しました。

しかし、ここでさらにある問題が生じます。それはGoogle Meetを利用すると、自分の画面は鏡のように反転して映るのです。自宅組には正しく見えているのですが、教室組に鏡文字をモニタで見せることになってしまいます。

それを含め、この時点で分かっている、いくつかの諸問題は、次のように解決しました。

問題解決

前述のMeet画面の反転は、拡張機能で対応しました。いくつか試しましたが、自分の環境ではこの拡張機能が一番使いやすかったです。

Video Mirror

ワンクリックで画面が反転するのは、とても楽です。途中で勝手に戻ってしまう等も今のところはありません。自分自身も反転した状態よりは、生徒目線で見ている画面を確認できた方が、配信しやすくなりました。

※ 9/13追記
急にこの拡張機能が使用できなくなるトラブルが生じました。同じ役割をするこちらで代用することにしました。

また、一人では自宅組の出欠確認がままならない問題も、拡張機能で対応しました。

Google Meet Attendance - v2(リンク切れ 更新終了したようです)

生徒のログイン状況がグラフのように一覧表示され、とても便利です。(時々ログイン時間を認識しない場合もありますが、ログインできていたかどうかは、今のところ正確に把握できています。)

拡張機能が入れられない自治体の方々には申し訳ないですが、オールOKでなくても、申請したら使える方式にしてほしいと教育委員会に訴えてみることは必要だと思います。(文句を言ってるだけでは何も変わらないので。)

せっかくのGoogleに備わったカスタムフリーな機能を活用できないのは、非常にもったいないです。

オンライン授業に関する私の考え

これも色々な考え方があり、学校によっては校長や教育委員会によってやり方を定められる場合もあると思います。ですので、あくまで私一個人の考えと思って聞いてください。

以前、ツイートしたこともあるのですが、オンライン授業で自宅にいる生徒に授業を配信する行為は、生活の場に教育が直接的に入り込むことになります。

であるからこそ、私は生徒にカメラONを強制はできないと考えます。背景をボカせばいいと思う人は、これを読んでください。

バーチャル背景が適用された動画から部屋の背景画像を復元する話

我々大人が、自分や家族の持ち家(契約している家)で、この範囲なら映っても構わないと判断して家庭内から配信するのとは全く別です。生徒は良くて自分の部屋、中には個室が無い子もいるでしょう。自室にはWi-Fiが届かない子もいるでしょう。背景に自分の家族が散らかした荷物が映ってしまうかもしれない。カメラONを強制することで、自尊心を大きく損なう可能性を考えると、私はとても強制はできません。

生活音についても、兄弟が多くて常に誰かの声がしている家もあるでしょう。ただしこれは、マイク付きイヤホン(100均でも売ってます)等である程度防ぐこともできます。常にマイクONにすることはないと思うので、答えさせる時だけ声を出させるということなら、事前に了解を得ておけば、問題ないと思います。

生徒の声など

何より大事なのは、私のこのつたない授業を受けてくれた生徒たちがどう感じるかです。分散登校で来たときには、かならず前回の配信はどうだったかを聞くようにしています。今のところ概ね生徒の声は、

「スマホでも問題なかった」
「好きなジュースを飲みながら受けられて(おい!笑)楽しかった」
「カメラOFFでも時々当てられるから真面目に受けた」

と、良好です。 また、この方法を取って結果として良かったことが2つあり、

  1. 急に全員対象オンライン授業となっても、スムーズに移行できる。

  2. 板書(実際は紙にペン書き)したものが残るので、自分で振り返ることもでき、参加できなかった生徒にもノートを見せてあげることができる。

ということで、今のところ対面でできなくて、もどかしい気持ちを抱える以外は、順調にできています。

今回は実際に試行錯誤した分、長文となってしまいました。最後までお読みいただき、ありがとうございました。