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責任を負えるだけの実力。目撃者の義務。

最近は人から本を借りることが多い。はちとご文庫様様です。基本的に読書の感想みたいなものは書いてないです。でも借りた本は何か記録に残しておかないと、見返したい言葉が手元からなくなってしまうので、気になった箇所をつらつらと。

今回は鯨井あめさんの「晴れ、時々くらげを呼ぶ」です。(ネタバレ注意)


1.気軽にやってっくる地獄

何かと難しい時期だからね。悶々と悩んでぐるぐる回って涙が出て、1人で苦しんでしまう。世界中でひとりぼっちになってしまう。その子もきっとひとりなんだよ。ひとりは凍えそうで息苦しくて、最も近くにいる、気軽にやってくる地獄なんだ。ーーーってあたしの好きな作家が言ってた。

晴れ、時々くらげを呼ぶp95

 中学2年生の時、学校に行きたくない時期があった。そのときは言語化できていなかったけど学校で感じていたのは孤独感。ひとりぼっち。転校生だったから、クラス替えで馴染めなくて部活も先輩が引退してつまらなくて。この本の人物ほどじゃないけど孤独感は気軽にやってくる地獄ってのはその通りだなって。そしてこんな気軽にやってくるひとりぼっちの地獄はどうやって解消してあげられるんだろう。今でも悶々としてる。

2.目撃者の義務

そうだよ。見た限りは話を聞いてあげるなり、諭してあげるなり、何か手を差し伸べてあげるべきだよ。それが目撃者の義務であり、この世で生きていくために必要なことなんだって

晴れ、時々くらげを呼ぶp96

 見たからには何かをするべき。シンプルであり当たり前のように感じるけど、難しいこと。テレビの先の人まで手を差し伸べていたら自分がなくなってしまうような感じがして。でも自分の近くにいる人に何あったなら手を差し伸べたい。それは学校にいる時もそうだったから。上手くいく場合なんてほとんどなかったような気がするけど。

「義務には責任がついて回るよ」と言ったのは矢延先輩だ。僕がそれとなく目撃者の義務について尋ねたら、唐突にそんなことを言った。「責任を負えるだけの実力がないと、目撃者の義務を果たせない。そこらへんは難しいよね。見極めが。」

晴れ、時々くらげを呼ぶp181

 そんな僕のもやもやにも矢延先輩は言葉を用意している。凄い。教室にいる時の僕には目撃者の義務がついて回る。だから教室で起きたことは僕の責任。その矜持はずっと持っていた。でも責任を負えるだけの実力があったのか。中学3年生というタイムリミットを上手に使って問題を先伸ばしていて強制終了を待っていた。それだけのような気もする。たぶん教員は目撃者の義務を果たさなきゃいけない立場だけど、責任を果たせる実力を発揮できる環境にない気がする。それだけ学校内での権力を失ってる。

 今、考えていることはせめて自分が関わった生徒だけは助けを求められたとき、いつでも手を差し伸べられるようになりたい。だから責任を背負えるだけの実力が欲しい。そのための財力と立ち位置と場所と。いろんなものを持っていたい。そんな淡い目標がある。傲慢だと分かっているけど自分は生い立ちを考えても恵まれているから。目撃者になることがきっと多い人生だから。

3.優しさの本質は他者への興味だ。

無関心であることは、人に優しくできないということだ。自分勝手であることは、感情の矛先を間違えるということだ。優しさの本質は他者への興味だ。

晴れ、時々くらげを呼ぶp134

 世界が平和になるために大切なことは、人々が各国を巡ること。本気で思っている。それは優しさの本質は他者への興味だから。一度自分の足で踏み入れ、コミュニケーションをその場でとる。そうすることで興味が生まれ優しさが生まれる。だからグローバル化は良いことだよなって考える。そう考えるとSNSの発達も悪いことばかりじゃない。出会った人とオンラインで繋がっていられることはいつまでも他者への興味を持てると言うこと。優しさを向けられるということ。誤ったSNSの使い方(誹謗中傷、陰口など)をしてしまう人もいるけど、本当のSNSの目的は他者への興味だから。優しさに繋がると良いなって。

4.終わりに

ストーリーというよりも矢延先輩の言動にはっとさせられた。本当に高校生?素敵な言葉に出会える本を貴重で、この本も忘れらない本になった。何かおすすめの本あったら教えてください。

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