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よくある木曜日 |掌編小説(#シロクマ文芸部):布団から

布団から抜け出せないこと3日目。
どうしたものだろう、目はしっかりと覚める、
しかし体が動かない。
正確には動くことはできるのだが、どうやっても抜け出せないのだ。
会社への休み連絡も申し訳なくなってきた。
今までこんなことなかったのにと不思議に思う。
普通だった時期が嘘のように遠い。

カーテンの隙間から朝日が私を煽るようにちらちらと覗き、すぐそこの道路からは小学生の声や自転車のベル、「右へ回ります」とトラックが喋る。

「うるせえよ、こっちだって抜け出たいわ!」
と思うも虚しく、今日は昨日より弱々しい。

ベランダ越しにトラックが止まり「オーライ!」の声。
今日は何曜日だ?と壁を見ると木曜日、2週目なので粗大ごみである。
「捨てたいものあったのにな〜次は1ヶ月後か〜」
繰越によってできた部屋を眺めていると、やけにクリアな低音ボイスと排気ガスに気がついた。

ベランダが開かれ、そこからマスクをつけた男どもが入ってきた。
呆気に取られている間に私はゴミ収集車に投げ込まれる、もちろん布団は一緒だ。

「そうか、そうなのか」
妙に落ちついていた。

白い雲。群れ飛ぶ雀。冷ややかなマスクの目。
機械音。
「オーら…」

(488文字)


シロクマ文芸部「布団から」参加作品です。

これでやり方合ってるのかな?
わからんね

#シロクマ文芸部
#布団から

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