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北斎漫画

明石市立文化博物館で開催中の『浦上コレクション 北斎漫画』
開幕日の講演会「世界を驚かせた北斎と『北斎漫画』」に参加しました。
https://www.akashibunpaku.com/event_now.html

講師は展覧会の監修者である浦上 満氏(浦上蒼穹堂代表)
15巻まである『北斎漫画』を1巻から15巻までその内容や初版と後との違いなどの裏話を合わせての講演は、あっという間でした。

最初は1巻のみの予定だった『北斎漫画』。出かけていた先の名古屋の版元から1巻は出版されました。
が、あまりの人気に北斎が江戸に戻ってからは江戸の版元と名古屋の版元との共同出版で15巻まで出版されたとのこと。

天保年間に出版されたものは、風紀の取り締まりが厳しく、初版のちょっと緩かったり、笑いを誘う表現が後刷りでは変更されていたり。

浦上氏所蔵の『北斎漫画』はほとんどが初版だとか。

富岳三十六景のような一つの物を対象に複数の絵を描く方法は、モネの積みわらや、セザンヌのサント=ヴィクトワール山の連作に影響を与えているとか。

講演の中でヨーロッパの芸術家たちが『北斎漫画』の図柄を真似した作品を多く残していることが紹介されました。マネ、ドガ、ガレ、ゴーギャン...
ほとんど同時代にどうやって『北斎漫画』をヨーロッパで参照できたのか不思議で質問しました。
答えは、そう、輸出物の梱包に使われていたのですね。
答えをお聞きして「そうやった!」と。
講演のなかでは紹介されませんでしたが、ゴッホが浮世絵に影響を受けていたのは有名な話で、その浮世絵は失敗した摺りが陶器の梱包材として使われていたのでした。

15巻には北斎の肉筆浮世絵で絶筆と言われる『雪中虎図』と似た構図のものがあったり、
見開きの左に鐘馗、右に小鬼
見開きの上下で景色が変わっていたり

こういうお話を伺うのがとても楽しい。
作品の裏側や、作者の意図。
そういうものを探っていくのが、見つけるのが、知るのが、楽しい。

まだ展示作品を見られていないので、これから少しずつじっくり、ゆっくり観ます。
この展覧会が始まるにあたり、3年前の『北斎展』の図録を出してきました。

画像はMETの北斎『青い背景の菊』をお借りしました。