陸前浜街道旅(その3) 四ツ倉大川魚店
帰る日、3日目の午前中、昨日来た経路を2つ戻って大川魚店に行ってきました。福島産の魚を扱うお店です。
なんとなくの地図の記憶をたよりに海沿いの国道6号線を歩いていても、全然見えてこない。ついには二三キロ先の道の駅に着いてしまいました。
道の駅の中に、大川魚店のコーナーはあったのですが、予想と全く違う。
あわてて、店の人に聞くと、コーナーの隅にあった地図を渡して教えてくれました。
全く行き過ぎ。駅の近くだった。
線路に平行するよう、海沿いに国道6号線があったのですが、その間に旧6号線らしき道がありました。
私はちらっとその通りをみて、気になったのですがまさかこの通り沿いではなく、今の国道沿いに大きな店があるに決まっていると思い歩いたのです。
旧道は昔からある商店街になっていて、もう大分閉店しているのですが、その中に。
大きさは、調理場を入れれば平屋のユニクロくらい。
店内に入ると、あまりの美しいレイアウトと、魚臭くなく衛生的にもきっと清掃を徹底されていることに驚きました。
「ここは銀座sixの中か?」
そう思ってしまいました。
この日、残念ながら地元の魚はほとんどありませんでした。
こちらは干物や粕漬けも有名らしく、そういうものには福島産の魚は使われているようで、産地として小名浜も書かれています。
これから数時間の各駅停車の旅。
買って帰るのは諦めました。
一番奥に、惣菜コーナーもあり、地元の人が目の前でごっそり買っていきます。
帰りの電車の都合もあるので、自分は千円のお寿司を買って店先の日陰のベンチで食べました。
「うっ、旨い!なんだこれは!」
鮮度抜群、いい魚が程よい大きさに切られてシャリの上に乗っかっています。
連日汗をかき続けている体に、最高の魚の栄養と酢飯が染み渡ります。
「ああ、魚達は身代わりになって俺に力をくれたんだ」
実は今回の旅、もともと疲れている上に疲れる旅をして、ずっと東京にいるときの気分を引きづって、旅の気分にならないまま最終日を迎えていたのでした。
それが、このお寿司を食べた瞬間、身体中に潤いとエネルギーがみなぎって、「ああ、来てよかった!」と心から思えました。そして、これで帰れると。
結局、そのお寿司の中に福島産地の魚があったかどうかはわかりません。でも旨かった。
もし、福島の漁業が完全に再開したら、このお店の破壊力は底知れないです。
福島の魚だけの鮨が食べてみたい。
…でも、また問題が生まれています。
トリチウムという放射性物質を、これ以上貯蔵できないそうで、希釈して海に流す計画があるそうです。
国際的には問題ないとされている方法ですが、福島の漁業の方は反対しています。
問題ないという理屈は分かるけれど、また広がる風評被害を考えると賛成できないといっています。
この問題については、この魚店の方もブログでコメントをされています。
自分になにかできるとは思えませんが、無関心であることがいけないと思い、これからも気にしていようと思います。
いや~、それにしても、あえて言うと惣菜の持ち帰りのお寿司ですよ。このレベルは本当にすごい。
プライドというのはしゃべるものではないですね。
仕事で見せるもの。
同じ総菜屋として、本当に勉強になりました。
これで帰れます。
また会う日まで、福島。
(記事です)