尾久の話(居酒屋での常連話編)
尾久エリア、と言っても自分にとっての「尾久」は、住所としての尾久ではなく、自分の生活範囲的な意味のエリアです。
田端や王子方面にも少し伸びているので、その地域の方からすると「一緒にするな!」と言われそうです。
私には2軒、行きつけの飲み屋さんがあり、そのうちの一軒は、どこのエリアと言っていいか分からない、すべてのエリアの端っこみたいな本当に何もないところにあります。
新鮮で上等な肉や、女将さんの優しい手料理が低廉な値段で楽しめます。
マナーの悪い人にはハッキリ言うので、変なお客さんは淘汰されて、お客さん同士、お客さんとお店の人、それぞれ敬意をもって、絶妙の距離感で仲良くなれます。
カウンターで隣になった人達と、何気なく会話が弾むことも多く、いろいろな職業の話を聞かせてもらえるのも楽しいです。外見はどこにでもある仕事帰りにネクタイ緩めて誰でも入れる焼き鳥屋さんみたいな感じで、ツマミも信じられないくらい安いので、若い人も多いです。
ある時私より少し年上の人が隣に座られました。
何気なく話していると、日本の中心で働いているエリートのかたのようでした。
ひょうひょうとした感じで、声が少し高くて、オラオラしていないし、見かけだけだと、区役所で働いている人と言われても疑わない。
最初は都心で働いているくらいの会話だったのですが、どんどん場所や漠然とした仕事の内容が分かって来て、「えっ、あれっ、まさか?!」と。
ニュースで稀にその名前と建物が出て来ると「面白い仕事だなぁ、どんな仕事をしているのか聞いてみたいけど、絶対に会わないだろう」と思っていた仕事。
その人は「きっと分かんないと思うよ~。誰も当てた人いないから」というのですが、もうアレしかない!と「○…☓ですか?」と聞くと、びっくりされました。
びっくりしたのは私も同じ。まさか、そんな人に会えるとは。
それから、時々隣り合わせになることもあり、仕事の話を聞かせてもらいました。いや~、ホッピー片手にこんな話が聞けるなんて贅沢すぎる。安すぎる。
…と思っていたらコロナ発生。
その方は仕事柄、外食は控えるようになり、2年ほど会うことはありませんでした。
昨日、健康診断が無事に終わって行くと、久々に再会。
いや~、懐かしい。
あまり年上の男の人と飲むのは好きじゃないんですが、色んな話を聞き出すのが楽しくて、この人とは飲むと楽しい。
飲みながら、日本経済のことになり、話していると、この本とこの本は良いよ、すごく為になったから、と勧められ、酔った勢いでその場でAmazon経由で2冊買ってしまった。
次の日。
ものすごい二日酔い。
(なんか昨日勧められて買ったよな。金融関係の本だった気がする。ありえないけど「誰にでもできる、お金の増やし方」みたいな本だったらどうしよう。そういうの要らない。)
と思いながらも、スマホで確認するのが怖い。
仕事をしているとアマゾンから届いた。
持った感じが、ハードカバーかと思ったら新書サイズ。
恐る恐る開けてみる。
…良かった。誰でも儲けられる系ではなかった。
ペラペラめくる。誰でも読める本ではないが、興味があれば読み切れそうな文章だった。
この著者は知らないのが、かえって興味がわいた。
面白かったら、いつか紹介させてもらいます。