【シティ5位】アルセウス型リザードンexのすすめ(20,000字超)
改訂履歴
○2024年3月11日
・「■ お礼と反響」の項目を追加
・「6. 採用理由」に時点修正内容を追記(環境変化に対応するため。)
・「7. 不採用理由」に時点修正内容を追記(同上)
・「8. 基本プレイ方針」に追記(「(2)後攻の場合」の記載内容が不十分だったため。)
・「9. 各対面の考え方」に(8)パオジアンex、(9)アルセウスギラティナを追加(未記載だったため。)
初めまして。親子でポケカを楽しんでいる3児のパパプレイヤーのTetsuです。
今回は、シティリーグ2024シーズン2でベスト16、同シーズン3で5位入賞(ジムバトル優勝・準優勝複数回)と、2シーズン連続で安定した成績を残すことができたアルセウス型リザードンexについての記事となります。
この記事では、環境考察からアルセウス型リザードンexを握るに至った理由、デッキレシピ、採用・不採用理由、基本プレイ方針、各対面での考え方、有料部分をご購入いただいた方からのQ&Aについて記載させていただきます。また、普段は教育関係の記事を作成していますが、ポケカ関係の記事は初めてとなりますので、自分自身の思考の整理も兼ねて、言語化してみたいと思います。
今回のアルセウス型リザードンexは、安定した盤面形成が可能で、かつ、アルセウスギラティナデッキと同様に、ある程度の対面を問わず目指すべき盤面が同じであるため、ポケカ初心者の方や、多くの試合を行う必要がある大型大会などにもおすすめなので、ご参照いただけますと幸いです。
また、現在のリザードンexは、ビーダル型とピジョット型が主流であり、アルセウス型は少数派となっているので、この記事が、アルセウス型の発展の一助となれば嬉しいです。
なお、この記事は、ジムバトルなどの公式大会に出場経験のない初心者の方にも、アルセウス型リザードンexを握って、最初の一歩を踏み出してもらいたいという思いから、略語や専門用語はなるべく使用せずに記載します。
お読みいただく中で、わかりにくい点や質問などがあれば、遠慮なくメッセージいただければと思います。できる限り読みやすい記事となるよう、適宜加筆・修正させていただきます。
■ お礼と反響
おかげさまで、当初の私の想像を越える反響をいただいております。
スキを頂いた皆様、また、有料部分をご購入いただいた皆様、誠にありがとうございます!
また、日頃より私とポケカをプレイしていただいている皆様や子供たちにもお礼を言いたいと思います。
このnoteのおかげで、普段広島でプレイしているだけでは出会えない方々と交流する機会にも恵まれ、勇気を出して記事を公開してみて良かったなと思っています。
また、このnoteを参考にした結果、シティリーグやジムバトル、自主大会などで、初めての予選突破や初優勝などの結果を残すことができたとのご報告も複数いただき、本当に嬉しいです。ありがとうございます!
X(旧Twitter)で、とても嬉しいポストもいただきましたので、こちらに掲載させていただきます。(noteへの掲載については、ご本人様よりご了承頂いております。)
これからも、少しでも参考にしていただけるようなnoteを作成していければと考えておりますので、引き続きよろしくお願いします!
1. はじめに
ほぼ全てのカードゲームはメタゲームです。
私自身、ポケカよりも、遊戯王やマジック:ザ・ギャザリングのプレイ経験の方が長いのですが、メタゲームである点はどのカードゲームも同じです。
さらに、ポケカのスタンダードレギュレーション環境では、圧倒的なパワーカードが少ない分、メタゲームの様相がより強いと考えています。
そのため、しっかりと環境分析を行い、自分が大会に出場するタイミングの環境を予想することは、実際の対戦練習を行うことと同じくらい、とても大切だと思っています。
2. 環境考察
(1) 環境考察前の使用デッキ候補
環境考察が大切とは言いながらも、まずは、カードプールに存在するパワーカードと、強力なアーキタイプを把握し、デッキパワーが高い(※)のはどのデッキタイプなのかを把握する必要があります。
その理由は、私が大会に持ち込むデッキを決める際には、次の手順で考察するからです。
デッキパワーの高い流行デッキを3つに絞り、ベスト3を決める。
デッキパワーの高いデッキから順に、環境上位70%以上のデッキに対して、再現性高く勝つプランを用意できるようデッキを構築できるか検討する。
※デッキパワーが高いデッキとは:
好みの問題ではありますが、私は、相手を妨害しながら戦略的に戦ったり、高耐久を押し付けて耐えしのぐタイプよりも、自身の高火力を相手に押し付け、先制攻撃をして逃げ切るタイプの方が、デッキパワーは高いと考えています。
野球やサッカー、バスケなど、多くのゲームは逆転するよりも先攻逃げ切りの方が有利です。精神的なプレッシャーの影響も大きく、プレッシャーがかかればかかるほど、プレイミスも多くなってしまうと考えています。
環境分析を行う前は、次の3つのデッキのパワーが高いと感じていたので、最もデッキパワーの高そうなルギアVSTARについて考察していました。
<環境考察前のデッキ候補>
1. ルギアVSTAR(チラチーノ入り)
・毎ターン特殊エネルギーを直接山札から4枚加速
・ルールを持たないポケモン(以下「非エク」と言います。)でダメージ効率の良い青天井技で攻撃
2. リザードンex(ピジョット型)
・高耐久・高火力・エネルギー加速、全てが1枚で完結している最強ポケモン
・毎ターン山札から好きなカードを1枚確定サーチ可能
3. パオジアンex(テツノカイナ入り)
・青天井攻撃、非エクのベンチ狙撃によるサイド複数取り、サイド追加取得など、パワーと対応力が両立。
しかし、ルギアVSTARの考察を進める中で、大きな問題が2つ発生しました。
【問題1】チャンピオンズリーグ2024福岡大会(以下「CL福岡」と言います。)でルギアVSTARが優勝
大好きなルギアが大型大会で優勝したことはとても嬉しかったです。優勝された方のプレイングも丁寧で、見ていて気持ちが良かったですね。
しかし、似たデッキを考察し、シティリーグに持ち込もうとしていた身からすると、あまり良い状況ではありません。
ルギアVSTARの動き方が世に広まり、多くのプレイヤーが対策できるようになってしまいました。
<考察していたデッキリスト>
エーススペックとエネルギー枚数、サポート配分などがCL福岡の優勝リストとは異なりますが、大まかなデッキコンセプトは同じです。
私の場合は、ルギアVSTARはテツノカイナexが苦手だったので、ルギアにダブルターボ2回手貼り+マキシマムベルト又はカビゴンにマキシマムベルトをつけて230ダメージを出すことで、チラチーノを倒された後にテツノカイナexが特攻してきても、返せるアプローチをとっていました。
こちらのデッキも考察に時間をかけたリストですので、もし需要があるようでしたら、採用・不採用理由や各対面の動き方などについて記事化したいと思います。メッセージをお待ちしています!(次の問題2の中で記載しますが、カウンターテツノカイナには勝てません。)
【問題2】カウンターテツノカイナの流行
問題1よりも、この問題2の方が影響は大きいです。
正直に言って、チラチーノをメインアタッカーとするルギアVSTARでは、どうやってもカウンターテツノカイナに勝てません。(少なくとも、私は勝機の高いプランを思いつくことができませんでした。ロストスイーパーも、ないよりはあった方がまし程度でした。)
カビゴン含め、採用するポケモン全てが、テツノカイナexのごっつぁんプリファイ圏内に入ってきてしまうところが辛すぎます。(コバルトコマンド(テツノカシラexの特性)やブーストエナジー未来の効果も考慮に入れています。)
カウンターテツノカイナが環境に一定数存在する間は、明確に勝つプランを持たないルギアVSTARを大会に持ち込むことはできないと判断しました。(勝つプランを組み込むことができれば話は別です。私の場合は時間もなかったため、考察を諦めました。)
なお、カウンターテツノカイナが流行したのは、CL福岡でベスト16に入賞されたKaldyさんの、次の記事が公開されたからだと思います。
再現性が高く、パワーカードであるテツノカイナexを相手に一方的に押し付け続けることができる構築となっているので、今後もしばらく環境に残ると考えています。このデッキを使用されない場合でも、ご一読いただくことをお勧めします。
上記2つの問題から、ルギアVSTARの次にデッキパワーが高いと感じていたピジョット型リザードンについて考察していきました。
(2) 環境のデッキ分布確認
ここからは、シティリーグにおける入賞デッキの分布を確認します。
私が環境考察を開始した時点での、直近30大会分の入賞デッキ分布は次のとおりでした。
この分布から、次のことを読み取りました。
安定して攻撃が可能で、高耐久を押し付けながら、終盤は高火力の出せるリザードンexが環境トップである状況は揺るぎそうにない。
環境デッキに五分以上の勝負ができるロストバレットも、これまでに多くの時間研究してきたプレイヤーが一定数いることが予想されるため、使用者数が大きく増減することはなさそう。
パオジアンexが大幅に減少。再現性の低さ、有利対面(ルギアVSTAR・アルセウス系統等)が今後増える見込みも少ないことから、このまま使用率下位にとどまりそう。
ルギアVSTARが増加。CL福岡優勝と、優勝者のnoteが公開されたことでブームになっている。カウンターテツノカイナがさらに世に広まる1週間後くらいまでは、現状を維持しそう。
カウンターテツノカイナが増加。再現性が高く、パワーカードを押し付けられ、流行中のルギアVSTARに圧倒的に有利であることから、増加傾向が続きそう。
ロストギラティナが増加。頂きへの雪道というパワーカードがレギュレーション落ちしたため、一時期使用者数が激減していたが、偉大な猛者たちによる研究が進み、環境トップデッキと互角以上に勝負できる構築やプランが発見されたことで環境に戻ってきそう。
上記のことから、今後の環境について、次のとおり考察しました。(あくまで個人の考察ですので、温かい目でご覧ください。)
現在の環境デッキの使用率は次のとおり推移すると予想できる。
・リザードンex ↑微増
・ロストバレット →現状維持
・カウンターテツノカイナ ↑微増
・ルギアVSTAR ↓減少
・ロストギラティナ ↑微増
・アルセウスギラティナ →現状維持
・イダイナキバLO ↑微増
・トドロクツキ / 古代バレット →現状維持
・パオジアンex →現状維持
リザードンexの立ち位置は悪くなく、ますます使用者数の増加が見込まれる。
カウンターテツノカイナへの対策が進み、ロストスイーパーとロストスイーパーのサーチ用カード(ペパーやカイ)が環境デッキの構築に入る。すなわち、ヒーローマントやブーストエナジー古代などの耐久系のポケモンのどうぐを使用すると、ロスト送りにされる確率が上がる。
これらの考察から、デッキの大枠を決めていきます。
3. デッキコンセプト
環境考察の結果から、シティリーグで対戦する相手のデッキは、大まかには次のとおりと予想しました。
・リザードンex 2〜3回
・ロストバレット 1〜2回
・カウンターテツノカイナ 1回
・その他(ルギアVSTAR、ロストギラティナ、アルセウスギラティナ、イダイナキバLO、トドロクツキ / 古代バレット、パオジアンex)0〜1回
このことから、まずは、リザードンexとのミラーマッチでの勝率を高く保つことができるリザードンexのデッキを組む必要がありました。
ビーダル型・ピジョット型関係なく、リザードンexのミラーマッチにおいて意識する点は、大きくは次の3点だと思っています。
序盤は自分の盤面が整った上で、サイドを取り始める。(盤面にピジョットやビーダルがいない状態でサイドを先行してしまうと、簡単に捲られてしまう。)
サイドを先行された場合は、中盤でダメージを負ったリザードンをトラッシュ又は回収し、相手の攻撃を1ターンなかったことにすることで、ダメージレースを逆転する。
終盤にサイド管理を徹底し、リーサルできる盤面を目指す。
また、既存のビーダル型とピジョット型には、それぞれ色々な強み・弱みがあるかと思いますが、大きくは次のとおりだと考えています。
<ビーダル型>
(強み)
・手札干渉に強い。
・サポートポケモンがルールを持たないポケモン(以下「非エク」と言います。)のため、倒されてもサイドを1枚しか取られない。
・終盤に盤面を非エクだけにできる。
(弱み)
・序盤の安定性に欠ける。
・サポートポケモンの逃げるためのエネルギー(以下「逃げエネ」と言います。)が2枚必要。
・縦引きでデッキを回すため、必要なパーツが揃いにくい。
<ピジョット型>
(強み)
・序盤にリザードンが立ちやすい。
・確定サーチにより、プランどおりの試合運びができる。
・確定サーチにより、1枚のみの採用カードを構築に多数入れられるため、対応力がある。
・逃げエネが0枚のポケモンが盤面にいる。
(弱み)
・中盤以降に手札が細くなる。
・サポートポケモンがサイドを2枚取られるため、対戦相手に効率的なサイド進行(2-2-2)をされる可能性が高い。
私の中で、リザードンexのミラーマッチにおいて定石とされている次の点について、ある種の違和感を感じていました。
それは、サイドを先行することが必ずしも有利になるとは限らない、という前提で、デッキが構築されているところです。
例えば、どちらのデッキリストにも、崩れたスタジアムやフトゥー博士のシナリオが採用されていますが、これは、ダメージを負ったリザードンを回収し、相手の攻撃を1ターンなかったことにすることで、ダメージレースを逆転することを目的としても採用されています。(ネオラントVなどのHPの低いルール持ちのポケモンを盤面から消すことや、バトル場に縛られたポケモンを回収するなど、その他複数の目的もあります。)
また、ビーダル型リザードンのビッパが3枚採用されているリストも増えていますが、これもビッパが相手に取られることを前提としていると思います。もしサイド落ちをケアするのであれば、ビッパだけではなくビーダルも3枚入れないと一貫性がありません。
すなわち、リザードンexのわざの特性上、捲ることが比較的容易であるため、あえて試合の速度を遅くしていると感じました。
そこで私は、相手の遅い試合速度に付き合うことなく、序盤に安定してアタッカーを用意でき、相手が捲りづらい盤面を作ることができる逃げ切り型のリザードンデッキを作ることができれば、リザードンexミラーで一定以上の勝率を出せると考えました。
デッキのコンセプトは、次のとおりです。
【コンセプト】
・序盤に安定的にリザードンを立て、サイドを先行する。
・相手が2-2-2でサイド進行ができないように、終盤に非エクポケモンで盤面を埋められるようにする。
これは、ビーダル型とピジョット型の、いわば良いとこどりとなっています。
そこで、まずはビーダルとピジョットの両投型を考察しましたが、大きな問題がありました。
それは、ピジョットが盤面に残ること。
ビーダルのおかげで、中盤以降の手札も細くはなりにくいのですが、現環境の中盤戦以降では比較的取られやすいHP280のルール持ちポケモンが場にいることで、相手に2-2-2のサイドプランを遂行されてしまいます。
また、ピジョットとビーダルが盤面にいることで、ベンチが圧迫されて、アタッカーの用意が困難でした。
「序盤の展開を助けた後は、サポートポケモンの座をビーダルに譲って、盤面から消えて欲しい・・・」
ピジョットは初代ポケモンの中でも大好きなポケモンの一匹なので、こんなことを思ってしまうのが申し訳なかったのですが、何か再現性の高い良い方法がないかと模索していた時、神が降臨しました。
アルセウスです。
山札から好きなカードを2枚手札に持ってくることができるチート級の特性スターバースを持つ神です。
そして、もう一つ、アルセウスが現環境にマッチしている点がありました。
それは、アタッカーとしても優秀であることです。
環境上位のデッキに採用されるポケモンの主なHPラインは、次のとおりです。
・リザードンex
60、70、90、100、120、160、170(V)、190(V)、210(V)、230(V)、330(ex)
・ロストバレット
70、80、110、130、200(V)、230(ex)
・ルギアVSTAR
60、110、150、170(V)、220(V)、280(V)
ポイントは、序盤のバーニングダーク180では倒せなくても、トリニティノヴァ200で倒せるポケモンがいるということです。
さらに、ポケモンVのHPラインが170〜230であることから、アルセウスVSTARにこだわりベルトをつけると、序盤から230ダメージを出すことができ、サイドを2枚先制できる可能性が高まります。
さらにさらに(これが最も価値の高いことですが)、序盤の展開をサポートしながらアタッカーにもなることで、相手からの攻撃を受けてきぜつし、盤面から消えてくれます。
つまり、サイドを先行しながらも、終盤には非エクで盤面を埋められるようになるため、相手のサイド進行の効率を悪化させ、逆転されづらい展開に持ち込みやすくなります。
4. 有料部分について
以下、有料部分となります。
有料部分では、デッキレシピ、採用・不採用理由、基本プレイ方針、各対面の考え方、Q&Aについて、盤面の画像も交えながら記載します。
これまでアルセウス型リザードンを考察されてこられた方々が記事を有料で公開されている点からも、内容が重複する箇所がある記載内容を、勝手に無料で公開することはよくないと考え、有料とさせていただいております。
いただいたご厚意は、今後の記事化に向けたカード購入などの必要経費とさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
5. デッキレシピ
上記のコンセプトをもとに、現環境で安定した試合運びができるように考察した結果、完成したデッキレシピはこちらです。
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