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「デザインはルール」は半分正解、半分間違い、という話

元WEBデザイナーが、デザインの仕事についてつらつらと書いていきます。今回は本当に「デザインはルール」だけで成り立っているのか?について語ります。職業訓練、スクールで学んでいる人、就活中の人に読んでいただければ幸いです。


デザインは思想・アイデアと、それを構築・維持するルールで成り立つ

「デザインはルール」「デザイン四原則」をやたらと取り上げるデザイン初心者を多く見かけますが、そういった人の大半は実践訓練で思うように制作物を作れない、自身の空っぽさに打ちのめされる人が多いのではないでしょうか。

「デザインはルール」は半分は正解ですが、それだけで成り立っているわけではありません。ルールとは手法、手段であり、それを適用させる「大元の何か」が必要です。

デザインにおける「大元の何か」とは、思想であり、アイデアであると筆者は考えます。そして思想・アイデアとルール(トーン&マナー)の力関係は

思想・アイデア > ルール(トーン&マナー)

ではないでしょうか。

デザインの「ルール」ばかり取り上げても、それらを適用させる「思想・アイデア」がなければ「空っぽ」になるのも無理もありません。

「デザイン四原則」は見た目を整えるためのテクニックでしかない

初心者がお題目の様に連呼する「デザイン四原則」ですが、その中身は見た目を整えるためのテクニックでありルールでしかありません。

表現する事において、その原則を適用する事は重要ではありますが、万能ではありませんし、デザイン四原則を忠実に守ったところで中身を充実させてはくれません。

デザインにとって、デザイン四原則よりも大事なのは「何を表現したいのか」という目的であり、目的を他人にうまく伝えるためのアイデアであったり、人の心を動かす、人の心に刺さるようなコンテンツを考える事です。

ルールだけ学んでも「空っぽ」なのは変わらない

「ルール」は知識を得れば割と簡単に身につきますし、デザイン、クリエイティブの領域の中でも分かりやすくとっつきやすい、他人に説明するのも容易な部分だと思います。故にデザインの知見の浅い人でも情報発信がしやすく、初心者が目にする機会も多いのではないかと筆者は考えます。

一方で、思想やアイデアといった、「理解しにくいもの」は、一朝一夕で身につくことがなく、また生成過程が「頭の中」というブラックボックスにあるので、そのノウハウを効率よく他人に伝える事ができません。

デザイン初心者はとにかく「ルール」「デザイン理論」「ツール操作」「表現技法」等のわかりやすい部分ばかりに目を向けがちです。ですが、それら表面的な「手段」ばかりを得ても、中身が空っぽなままである事は変わりません。

アイデアが出せない「空っぽな人」はどうすればいいのか

とりあえずChatGPTにアイデア出しさせてみたらいいのではないでしょうか?と言ってしまうと「機械に頼るな」等々、人力至上主義なお歴々の反発を喰らいそうですが、「空っぽな人」がなんとかするためにはAIは便利なツールではあると思います。

ただし、現状のAIで生成できるのは過去に人類が構築してきた知識体系・成果物のつぎはぎでしかなく、そこから新しい何かを生み出す機能は備わっていません。それができるのは今のところ「人間」だけです。

アイデアを出す能力を伸ばしたいのなら、アイデアを出す訓練を常日頃から行う必要があります。思うようにアイデアを出せないとしたら、それこそ「引き出しが足りていない」のだと思います。

「デザインの引き出し」にはツール操作のテクニックや表現技法だけではなく、アイデアも含まれまています。むしろ、アイデアのストックが一番大事なのではないでしょうか。

デザイナーの素養として「観察力」が必須なのは、日常の中に「デザインのネタ」や「アイデア」を見出す力が必要だからです。

どんなクリエイターでも「ネタ」がなければ創作できません。世のクリエイター、デザイナーは日常生活の中でも常にアンテナをはり、ネタやアイデアの元になる事を意識的、無意識的に収集しています。

表面的な技術・技法、理論、ルールばかり追いかけずに、デザインのネタ、アイデアの元をたくさん探し出す事、自身のアイデアの引き出しを増やす事を意識して日々を生活していきましょう。



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