KDIGO2024のサマリー chapter 3

KDIGOのガイドラインがでましたね。とても長いので正直読むのがしんどいです。ということでexecutive summaryを書いてくれている人たちがいます。それでも長いので個人的に興味深いところだけ抜粋してみましょう。

SGLT2阻害薬

いまやかなり有名になった薬剤ですね。

推奨1:DM患者+CKD+eGFR>20
長期間の絶食、手術、ケトーシスを起こすような状況では中止も検討するが、それ以外ではいったん始めたらeGFR<20でも使用し続けてよい

推奨2:eGFR>20 + ACR>200mg/g or heart failure
eGFR>20の患者にはACRを測定するようにしましょう!
SGLT2阻害薬投与によるCKDフォローアップ期間の変更やinitial dropによる中断は通常考えなくていいようです。気軽に出してくれということでしょうか。

推奨3: ACR<200mg/g でも eGFR 20-45 の方
eGFR20-45の方たちには、たとえアルブミン尿が認められなくても積極的にSGLT2阻害薬を処方しよう!ということですね。

MRA(Mineralocorticoid receptor antagonists)

こちらも近年注目を浴びている薬剤ですよ。乗り遅れないようにしっかりとついていきたいですよね。
推奨:DM + eGFR>25 + normal K + ACR>30mg/g (despite maximum tolerated RASi)
いや~、結構覚えるの大変ですね。4条件あると1つくらい忘れちゃいそうです。糖尿病患者でK正常でRAS使ってもアルブミン尿が改善しない腎機能が末期でない方たち、に積極的に使用していきましょう!ということですね!
エビデンスがでているnon-steroid MRAを積極的に使いましょう。SGLT2阻害薬との併用もOKとのことです。

Metabolic acidosis 


重曹を投与することが多いですが、こちらに関してはいろいろな研究がなされていますが、あまり良好なエビデンスがでてこない現状です。血圧や体液量の増加に注意してHCO3<18なら使ってみるかな?といった感じでしょうか。経験からするとKを結構下げてくれるときもありますね。さらっとしか記載ないです。

Hyperkalemia

  • Kを変動させる要因について理解しましょう!
    diurnal variation (日内変動)、seasonal variation (季節変動)、palsma vs serum でも値が違ってくるようです。

  • 食事指導が重要のようですね。栄養指導を積極的に取り入れるなどの患者教育が重要のようです。

運動療法

 少なくとも週に150分は運動しましょうとあります。sedentary behavior (座りっぱなしの状態)は避けるように説明するのもいいかと思いました。

食事療法

タンパク

eGFR<60の方たちは、0.8 g/kg の蛋白摂取が推奨されています。高たんぱく食(1.3 g/kg)は避けて下さい。面白い記載ですが、積極的に食事療法を取り入れたい人向けに、超低たんぱく食(0.3-04.g/kg)+必須アミノ酸補充を検討してもよいと記載されています。metabolically unstableな人たちには食事療法は処方しないようにしましょう。

塩分

どんどん厳しくなる塩分。sodium chloride として<5g/day, sodiumとして<2g/dayが推奨のようです。sodium-wasting nephropathyの時はNa制限は適切ではないので尿生化学を確認しNa排泄について考察くださいね!

血圧

収縮期血圧で<120mmHgを目指しましょうとのことです。フレイル、転倒や骨折の危険のある方、生命予後がとても短いと考えられる方、症候性の起立性低血圧の方は緩やかな管理で良いとのことです。

RAS阻害薬

ここは昔から定番なので記載する必要もないかもですが、どのような患者に推奨されるか今一度確認しておきましょう。

推奨1:eGFR>15+ ACR>30mg/gCrの患者
eGFRが低い患者にARBを処方するのはどうなんだろうと思うのですが、eGFR>15あればstartするようにとの推奨ですね。Practical pointでも記載されているように、eGFR<30になっても使用を続けるようにと強調されていますね。蛋白尿が多い方や糖尿病のある方はより積極的な投与対象になります。

推奨2:ACEI, ARB, direct renin inhibitir (DRI) の組み合わせは避ける。
ACEIとARBを同時に使いたくなるときもありますが、避けましょう。

ポイント1:投与できる最大容量を投与しましょう。多くの臨床試験は最大量で行っていることが多いようです。
ポイント2:RAS阻害薬を開始したら2-4週後にeGFR, BP, K を確認しましょう。
ポイント3:高K血症になってもあきらめずに対応し、なんとかRAS阻害薬を継続する方法を探りましょう。
ポイント4:症候性のある低血圧、どうにもならない高K血症、尿毒症の改善(eGFR<15)目的、の場合は仕方なく減量もしくは中断しましょう。
ポイント5:蛋白尿がないCKDの方でも、高血圧や低拍出量の心不全には積極的な投与適応になるので合併症の有無を確認しましょう!

高尿酸血症

毎回議論の分かれる分野ですね。痛風発作の既往があるCKDの方は、尿酸>9mg/dlであれば治療適応になるようです。キサンチンオキシダーゼ阻害薬を優先的に使用しましょう。痛風になったらlow dose コルヒチンかステロイドで対応し、NSADIsは避けましょう。痛風を予防するために、アルコール、肉、高フルクトース食を避けるようにしましょう。面白いと思ったのが、無症候性の高尿酸血症の場合は、CKD進行を遅らせるための薬剤投与は推奨しないということです。

心血管疾患

50歳以上の方にはstatin/ezetimibeの投与が推奨されています。特にeGFR<60の方は強い推奨となっています。eGFR>60でもCKDの方(つまり蛋白尿がある方ですかね)はstatin投与対象のようです。50歳未満のCKDの方は心疾患や虚血性脳血管障害の既往もしくはリスクがある場合、DMのある場合に投与が推奨されています。LDLの値が記載されていないことが注目です。a plant-based “Mediterranean-style” dietにするといいようですが、日本ではなかなか難しいかもですね。

心房細動

ビタミンK依存のワーファリンよりもNOACの使用を推奨しています。NOACはeGFRに応じた容量調節が必要です。

他のchapterも気になりますが、後日にします。








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