ARB+ACEI投与が尿中バイオマーカーに及ぼす影響。

ARBとACEIの併用はAKIの発症リスクを上昇させることは有名ですが、尿中バイオマーカーを変動させるかについては検討されていませんでした。

尿中バイオマーカーには現在いろいろな種類がでてきており、KIM-1(proximal tubule), MCP-1(renal inflammation), YKL-40(repair), EGF(distal tubule damage), albuminuria (glomerular injury)が知られています。Albuminuriaは腎予後と相関することは有名で、albuminuriaを低下させるSGLT2阻害薬やMRAが腎臓病の薬剤として注目されていますよね。

AKIのマーカーは血清Cr値で判断することがゴールドスタンダードですが、AKIを発症してから2-3日経過しないと上昇しないこと、またsCrはclinical contextに応じた区別ができないこと(SGLT2阻害薬やARBの投与でも一過性にCrが上昇すること)が問題視されています。

ACE阻害薬とARBを併用したVA NEPHRON-D試験では、ARB単独群と比較して、尿中YKL40, EGF, ACRが有意に低下したことが報告されています。一方でAKI発症率は高いことが示されました。ACCORD, SPRINT試験を含めたmeta解析では、intensive treat群はACRは有意に下げるもAKI発症率が高く、尿中YKL40, EGF, MCP-1, KIM1などのマーカーに有意な差はでませんでした。

YKL40は虚血に応じて上昇することが知られており、腎予後とnegativeに相関することが知られています。ACE阻害薬とARB併用群がACRやYKL40をより低下させたことは尿細管にとっては良いことではないかとほのめましており、sCrだけで判断するのは良くないのではないか、とsuggestしています。

EGFは高い方が良好な腎予後と相関すると言われていますが、こちらはおいおい調べてみようかとも思いました。論文によって結果が変わっている印象なので注意した方がいいかもです。

糸球体と尿細管障害の区別はいまだに難しい問題のようですね。


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