見出し画像

辞めないチーム作りは「対話」から

トラストコーチングスクール認定コーチのすずきえみです。東京都内の中小企業で営業企画の仕事をしながら平日夜や週末を活用してコーチ活動をしています。今回は、私がコーチングを学ぶきっかけにもなった出来事をまとめました。読んでいただければ幸いです。

チームリーダーになって2年目。自分の任された領域の仕事の全体像も見えてきて、仕事に充実感を抱いていた頃。もう少しで管理職もちらつく時に私にとって大きな決断と転機がありました。そして、働きやすい環境づくりは、「仲間の声を聴く」ことからかも知れない、と気がつくことができたタイミングでもありました。

1.ミスの起きやすい仕事のせい?メンバーの悩み

私のチームは社員2名、プラス契約社員の10人チーム。日々の業務は契約社員のメンバーが中心となって担っています。当時の私は、新しい基幹システムの構築のため、ベンダーさんとの打ち合わせや運用ルールの改訂などに時間を多く費やしていました。もう一人の社員のSさんは、私よりひとまわり以上年下。話も合わないだろうからと思い、仕事以外の会話はあまりしていませんでした。

ところがある日、Sさんから一つ相談がありました。
話を聞くと、ちょっとしたミスを大きな声で指摘をしたり、ランチの時間には、いつも誰かのミスやマイナスの話をする先輩メンバーに対して、一緒にいると気持ちが辛くなるため退職を考えたいと相談を受けているとのこと。
私はこのとき、ミスの起きやすい仕事のルールを見直せば、根本を解決できると思い、私のボスへ提案と報告に行きました。

2.ボスから返ってきたまさかの言葉

ボスには、仕事の煩雑さが原因であることや教育担当からミスなどは指摘するルールを提示して承認をもらうだけのつもりでした。ところがボスから返ってきた言葉は意外でした。

「それで解決できるの?」

自信を持って伝えた内容だっただけに驚きを隠せませんでした。

「あと、えみさんには、相談できないんだよね・・・何でだと思う?」

正直、今その話が必要なのかさえ分からず答えに困っていると、

「感情ってさ、表にでるんだよね。声にも話すスピードにも。今度の面談で話そうと思っていたけれど。Sさんとの関係も良いとは言えないよね。」

分かってはいるけれども、今それ言いますか?という心の声を隠して、そうかも知れません、と細い声で言ったことを記憶しています。

「もちろん、提示したものは進めていいけれど、根本を解決してね。離職率一番多いチームだから。」

3.たどり着いた「コーチング」

ボスから言われたことをまとめると、私が変わる必要がありそうだということ。学ぶ事が大好きな私は、マネジメントやコミュニケーション講座のあるビジネススクールやeラーニングなどのサイトを眺めて、何を勉強すればいいのだろうと考えていました。
そんな時、ふと前職の上司から「コーチングを勉強してみたらいいと思う」と言われたことを思い出して調べはじめました。思ったよりたくさんのスクールがある中、トラストコーチングスクールに決めたのは、まとまったパッケージではなく、必要な部分だけを学べるスタイル。私に合っているかもと思って申込みしました。
実際にコーチングを学んでみると、正直良くわかりませんでした。
しかしながら相手の話をよく聴くということ、タイプ別コミュニケーション分析診断の結果をベースに関わり方を変えてみる努力をスタートしました。

※『タイプ別コミュニケーション分析診断』はトラストコーチングのベーシック講座で行うコミュニケーションタイプ診断の事を言います。

4.「コーチング」を取り入れてみる

1番に見直そうと思ったのは、社員Sさんとの関係。
はじめに取り組んだことは、毎日5分以上話す事。2,3ヶ月くらい経つと会話も少し自然になってきた感覚を今でも覚えています。また、Sさんとこれまで会話の中で、「大丈夫だよ」と声をかけた時、不安そうな表情をしている事に気がつきました。それ以降は、「○○だから大丈夫だよ」と伝えるように工夫をしてみたところ、笑顔を見せてくれるようになりました。
もう一つは私にとっての決断でもある事。1対1の契約社員との面談。これまでも面談は行っていましたが、一方的に昇給や最近の事を話して終わる伝達面談のみ。ボスが言っていた「えみさんには、相談できないんだよね・・・何でだと思う?」という質問の答えでもありました。とてもシンプルで、メンバーと向き合う時間、話を聞いてあげる時間を持っていなかった事。これが、私への相談をしにくくしているのではないか、と気がついたんです。

とにかく、話を聞いてみることに集中すると決めつつも、内心はかなりドキドキしていました。
面談を終えて、皆さんが共通して言っていたことは、面談をこれからも続けてほしいという事。誰かを介して伝わる事よりも、きちんと自分の言葉で伝えたいという思い、そしてその根底にはチームを良くしていきたいという思いがあることに気づかされました。ミスを指摘するのは、相手の為によかれと思って伝えていることもわかり、ミスコミュニケーションが起きないためにみんなで考えていけるようになりました。

5.コーチングを社内に、対話をチームに

離職率が高かったチームも今では採用活動を数年行っていません。また、派遣スタッフの契約が満了した時点で、人員補強をしなくてもチーム運営ができる組織に改革されていました。誰かが、大きな事をしたわけではなく、メンバーの話をたくさん聞き、その声を活かして行く。「仲間の声を聴く」ということがチームの運営に大きく影響するということを体感した出来事でした。
もし、ご自身のチームや部署のメンバーとの会話時間が少ないと感じているようであれば、小さな会話からスタートしてみてはいかがでしょうか?

この記事を書いた人

画像1

すずきえみ

大学卒業後、ホテル・旅行会社で接客業を経験。売上新人賞を獲得。その後、ベンチャー企業で社内教育や評価制度設計を中心に働き、現在は中小企業の営業企画。仕事で実績を残す一方、厳しい教育スタイルに悩んだ頃、体系的に学び・直ぐ実践できることに魅力を感じてトラストコーチングでコーチングを学ぶ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?