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動けなかった自分が結果を出していけたのは

はじめまして。TCS×Business公式ブログチームの見川ゆかりと申します。
私は新潟で割烹を営む会社の代表をしながらTCS認定コーチとしてコーチングを学びつつ実践しています。

今日は、10年ほど前の話になりますが、コーチングを受けたことによる自分の変化について書きたいと思います。

当時の私は役員に就任したばかり。でもそれは跡継ぎだからというだけの理由です。

役員としての中身が伴わない自分。それに対する周りの視線がとにかく怖くて、まったく動けなくなっていました。

苦しくて辛くてなんとかしてそこから抜け出したかった。そして、その先の人生を変えてくれるコーチングと出会うことになるのです。

コーチとのセッションの中で、自分の軸ともいえる「行動基準」を明確に決めたことにより、私は少しずつ動けるようになっていったのですが。

その過程をお伝えすることで、当時の私のように悩んでいる方に「ここから抜け出して新しい自分に出会えるかもしれない」というワクワク感を感じてもらえたらこんな嬉しいことはありません。

1.苦しくて動けない。だからコーチングと出会えた

当時、家業の割烹で事務をしていた私は専務取締役に就任し、経営陣のひとりという立場になったばかりでした。

「跡継ぎだからその役職に就いただけで、誰も私のことを経営者にふさわしいなんて思ってない。そうに決まってる。」
「スタッフたちに”経営者”だと認めさせたい。そのために私は経営者らしい言動をしなければならないんだ。」

そんな考えで頭の中はいっぱいでした。

「認めさせたい」とかって・・・「認められたい」ならまだしも「認めさせたい」っていうの、ちょっと傲慢じゃない? 10年後の自分が感じていることに気付きました。

しかし、コーチングを学んでいる今の私は、更にその感じ方をこう更新させていました。

「それほど差し迫ってたんだよね。あの時本当に苦しかったもんね。
必死だったよね。」

そう思ったと同時にちょっと泣きそうな気持ちになりました。あの時の自分が愛おしく思えた。そんな感じでしょうか。

過去の自分に対してこんな感情を持てたことに、今の自分がなんだか幸せを感じている。悪くないなーって思いました。

さて、当時の私はそこでわからなくなっちゃったんです。

その経営者らしい言動とは一体??
それってどういう言葉を発すればいいの?
どんな行動をとればいいの?
そして、もし私がちょっとでも経営者らしくないことをしたら、きっと即座に「やっぱりだめね。」と判断されるにちがいない。

そんな思いでがんじがらめになり、全く身動きできなくなっていました。

苦しくて苦しくてとにかく脱したくて、知り合いからの紹介でコーチングのセッションを受けることに決めた私は、

「これで自分はここから脱することができる、ガラッと変われる、変わってみせる。」

と、まだ始まってもいないのに、かなり救われた気持ちになっていたことを覚えています。

2.私を変えたコーチの一言

しかしセッションの中でのコーチは、淡々と私と会話するだけ。あまりにもあっさりし過ぎていて拍子抜けしました。

もっと具体的に行動の仕方や結果の出し方を聞かせてもらえる場面もあるのかと期待していたのに、とにかく淡々と質問され、それに答えても褒められるでもなく否定されるでもなくのやり取りが続きました。

でもそのやり取りの中で、私は【今の私があるのはこの言葉があったから】という一言を受け取ることになります。

「ゆかりさんのところのスタッフはお客様の方を見てますね。」

ある日、調理場で作られたお料理を味見した接客サービスのスタッフたちが、私のところに訴えに来ました。

「これすごくしょっぱくて、こんなのお客様に食べさせられないと思うんです。でも私たちが料理長にそんなこと言ったらきっと怒り出すだろうし・・・」

私も、気難しい料理長に話すのは正直気が重かったのですが、彼女たちの真剣さに背中を押されて彼のところに行き、無事別の料理と差し替えてもらうことができて、お客様の口に入らずに済んだ。

そんなエピソードをコーチに伝えたとき、上のように言われました。

あの一言をきっかけに私の意識は変わり始めたんです。
心に一生残り続けるであろう大切な言葉です。

3.私は誰を見ていたの?

「ゆかりさんのところのスタッフはお客様の方を見てますね。」
に続いて、

「じゃあ、ゆかりさんはどうですか? 誰を見てるんでしょうね。」

と言われたとき、ハッとしました。

あ、私お客様を見てなかった!
スタッフに経営者として見られることばかり考えていて、お客様の方を見ていなかった。私いったい何やってんの?!

そして一気に腑に落ちる感覚を得ました。

「経営者らしくない」と思われようが思われまいが、そこじゃないんだ。そこじゃなくてお客様に喜んでいただくこと。そこを一番に考えればいいんだ。

その視点に立てたことで、それまでの考えが急にとてもくだらなく思えてきて、びっくりするくらいあっさりと、でも確信を持って、「もうこれでスタッフの視線を気にするのは卒業だ。」と思っている自分がいました。

そして晴れ晴れとした気持ちでコーチに宣言しました。

「私はこれからはお客様の方を見ます。」

4.他と違うことをする、普通はやらないことをやる

「お客様の方を見て、お客様に喜んでもらうことを一番に考えるんですね。
ではそのためにゆかりさんならどうしますか?何をしますか?」

その質問が次回のセッションまでの宿題だったように記憶しています。
2週間くらいだったでしょうか。私は頭の中で繰り返し繰り返し、それを問い続けました。

そしてようやく出した答えは、

他と違うことをする、普通はやらないことをやる。

これを自分の行動基準にして実践します。
そうコーチに伝えました。

お客様に喜んでもらうことが、なぜ他と違うことをする、普通はやらないことをやるに繋がったかというと。

宿題を与えられ、考え始めの頃は、明るい笑顔で接客するとか、おいしいお料理を追求するとか、色々出てきたのですが、どれもありきたりで当たり前なことばかり。もちろんお客様は喜んでくれるでしょうが、なんか普通過ぎてつまらないと思いました。

だったら、ありきたりじゃないことをすればいいのかな。
ありきたりじゃなくて、他と違ったり、普通はやらないことでお客様を喜ばせることができたら、それってすごくいいんじゃないかな。
簡単じゃないけれど、それこそがサービス精神というものなのでは?
そんなふうに思い至りました。

ありきたりじゃなければ目立つこともできる。
ということは新規のお客様を増やすチャンスにもなるし。
なんだ、こんないいことないじゃん!これに決めた!

とまあこんな流れから私は自分の行動基準を導き出したというわけです。

5.行動基準を明確に持ったことで変わり始めた

その頃、お店のブログを書き始めました。

当時はまだブログがそれほど浸透していなかったので、「毎日書こうと思う。」と言う私に返ってくる言葉は、「毎日なんて書いたら仕事がおろそかになるから、1週間に一度くらいにしたら?」とか「普通経営者はそんなお遊びみたいなことやらないよ。」的なもの。

以前の私なら「じゃ、1週間に一度くらいでいいか」となったことでしょう。でも「普通と違うことをやる」と決めていたので、「普通は毎日書かないんなら毎日書けば他と違いを出せる!」そう考えました。
そして、「業務終了後、毎日ブログを書く」を自分に課すことにしました。

結果、お遊びと言われたブログはうちの店と他のお店との違いを出せる非常に大切なPRツールのひとつになったのです。

一昨年、地元の食材を使ったご当地レトルトカレーを開発しようと思いつきました。
「カレーなんて世の中に掃いて捨てるほどあるのに、そんなもん作っても埋もれちゃうだけだよ。普通そんなライバルの多いところに参戦しないよ。」
と言われたとき、やはり心が決まりました。「じゃあやろう」と。
「普通はやらないことをやる」の行動基準を持っていますから、私にしたら自然で当然の流れです。

でもそこからはたくさんたくさん壁にぶつかっています。
そのたびに行動基準が力を発揮して動けていたかというと、実はそんなことばかりでは全然なくて、「もうだめだ」「もうやめよう」「もうあきらめよう」と何度も思いました。

「根性ないからどうせじきに投げ出すさ。」と言われていることに心痛めてしばらく放棄したり、「率直に何でも言ってね。」とお願いして試食してもらっておきながら、「おいしくない、腐ってる味みたい」と言われ、なかなか立ち直れなかったり、「そもそもそんな簡単にできることじゃない。商品開発をなめてる。」と相談先から説教されて落ち込んだり。
ダメダメな自分とたくさん出会いました。

でも、周りには協力してくれる人もたくさんいました。
そういう方たちから力を貸してもらったおかげで何とかカレーを完成させることができたのです。

世の中に掃いて捨てるほどあるカレー。
今、それを完成させたことによって道が開けています。
日本人はラーメンと並んでカレーが大好きですから、とにかく様々な企画にはまりやすく、ピックアップされやすいということを知りました。
「カレー特集」「カレーフェア」など今までたくさんの場面で取り上げてもらい、知名度も徐々に上がってきています。

カレーの販路拡大活動は現在も進行中です。
きっとまた壁にぶつかることでしょう。
でもそうしながらも大切な「行動基準」のもと、先に進んでいけたらいいなと思っています。

最後に

当時物足りなさを感じることが多かったコーチの対応は、TCSで学んだ今ならそれがどれほど私にとって有効だったのかよくわかります。
自主的に考えて自分で答えを出したつもりでしたが、実はコーチの巧みな質問やフィードバックの賜物だったんだと改めて感謝の気持ちが湧いてきます。

あの時決めた「行動基準」は、今もなおゆるぎない私の軸となっています。
その基準があるから「やるやらない」の判断が早く、迷うことも少なく、ブレにくいです。コーチングを受けていなければここに到達することはできなかったでしょう。

今悩み真っ只中の方は、「それはあなたが、たまたまうまくいっただけでしょ。」と思われるかもしれません。

そうですね、そうかもしれません。
でもそれは置いておいて、「新しい自分に出会えるかも」「新しい可能性が待っているかも」って思ったらちょっとワクワクしてきませんか?

もしかしたらコーチングがこの先のあなたをそこへ導いてくれるかもしれません。

この記事を書いた人

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見川ゆかり

TCS認定コーチ/MCSマザーズティーチャー。家業の割烹と温泉宿泊施設を経営する会社の代表取締役。新潟県生まれ。高校卒業後、関東の大学に進学。卒業後は神奈川県の木材関連商社に入社し、不動産を扱う事業部に配属となる。新築マンションの販売チームで接客の経験を積み、さらに入社3,4年目の頃、マンション営業部の女性スタッフ全体のリーダーを任され、まとめ役の仕事も担う。結婚後退職し、2人の娘を出産。その後家業の後継者として新潟に戻ることになり、今に至る。2017年TCS認定コーチ、MCSマザーズティーチャーの資格を取得し、現在家業とコーチングの掛け合わせを模索中。

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