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ひと粒で2度おいしい ~気づくと私も成長していた~

こんにちは。TCS認定コーチの岡谷幸恵です。

あなたには、応援したい人がいますか?その人にどんな応援をしますか?

今回は、新しい環境へ向かう人の今とさらにその先まで応援するために、試行錯誤しながらコーチ的視点を持ってひとつひとつ丁寧に関わった結果、その人の成長だけでなく私も様々なことに気づくことができ、成長させていただいた一例を紹介したいと思います。

1.いつでも本音が話せる安心した場になるような聴き方を心がける

Aさんは9か月後に今の居場所を離れることが決まっていました。

一緒にいる時間が多くなった最初の頃は、沈黙に耐えられず私が自分のことを話しすぎたり、Aさんのことを根掘り葉掘り聞いてはついついアドバイスしていたため、

Aさんがなにを考えているのか
なぜ今の仲間に自分から関わろうとしないのか

など、私が以前から疑問に思っていた肝心なところを聞くことができていませんでした。

ちょうどそのころ、マザーズコーチングを開講したことがきっかけで『聴く』ことを思い出し、Aさんに安心して話してもらうためにはどうしたらいいか、を考えました。

そして、「沈黙は悪いことじゃなくて考えているかもしれない時間」と捉え直し、話してくれるのを待つことができてきた頃から、少しずつ私とAさんの話す割合が変わってきたように思います。

真剣に相手の話を聴くことは難しいと何度も思ったけれど、Aさんはおしゃべりが大好きなことに気づくことができ、またそのころから以前にもまして2人で話す時間が多くなったので、今の仲間への思いや新しい環境への希望などいろんな話を聴くことができました。

2.ゴールを共有する

Aさんは今の居場所で人と関わることに苦痛を感じていました。知っている人のいない新しい環境に行けば、自分はうまくやっていけるはずだと信じています。

話していく中で、「誰とでも仲良くしていきたい」という思いが見えてきました。そこで、「今の居場所でも新しい環境でも、自分や相手を否定せず受け入れられるような自分との関わりができるようになる」ことをゴールに設定して「そうなれたらいいね」と2人で話しました。

例えば、自分と意見が違う人に対して

・なぜ自分はそう思ったのか
・その人の立場だったらどんなことを考えるか想像してみる
・意見が違うことをどう伝えてもらったら自分は気分を害さずに聴けるか
・自分ならどう伝えるか

これらを会話の中に取り入れて考えていきました。

話していくうちに、Aさんは人と意見が違ったとき、真っ向から否定された経験を持っていることを知りました。自分が否定されるのが怖くて、自分の意見を伝えることができていなかったこともわかりました。そんな経験を持っているからこそ、意見が違うことを相手の気持ちを考えながら伝えることを大切に考えていきました。

また、Aさんは髪を染めること、化粧、服装など自分と違う人に強い違和感を感じていました。

「普通は~でしょう」とよく言っていたので、

・自分の普通とその人の普通の違いを考えてみる
・どんな環境で生活していたらそれが普通になるのか想像してみる

など一緒に考えました。

話の流れから、私の普通とAさんの普通についても話しましたが、この2人だけでも大きく違うことにとても驚いていました。


3.自分で決めて行動できるように

当時の私は、ついつい構いすぎていらない口を出す質でした。今でもまだ意識していないところでいらない口を出しているかもしれません。

Aさんが自分で考えて行動できないのでは、この先どこへいっても通用しないのではないか。もしかしたら私が行動することを止めているのではないかとふと考えた私は、最後の3か月、ここを意識して関わりました。

「Aさんが自分で決めて行動することを見守る」

コーチングを学んでいなければ、「見守る」ことがどれだけ大切なことか気が付かなかったかもしれません。また、気が付いたとしても見守れているかどうかを自分に問うことはなかったかもしれません。
そしてこれは、私にとってはとてもとても大変なことでした。

しかし、Aさんが残り1か月を仲間とどう過ごすかを考え、行動した姿を見ると、大変だと思っていた私の努力が吹き飛んだようなすがすがしい思いでいっぱいでした。

4.終わりに

聴いて、ゴールを共有して、自走支援する。

最初から、こんな風に応援していこうというストーリーがあったわけではありません。タイミングの良いきっかけがあったり、あれこれ工夫しながら進めてきたのですが、コーチングを学んでいたからこそ「こうやってみよう」と思えたのかもしれません。Aさんの成長も大きかったのですが、私の方がたくさんのことを学ばせていただいたような経験でした。

そして、この経験は私が思う「1on1」の形のベースになっているのかもしれないと最近になって思うようになりました。「日々の少しずつの会話から関係性を築いていく。」

この経験を活かしてまわり人たちとの関係性をさらに見つめ直していきたいと思います。

そして今、Aさんは家族からも友人からも応援され、目標に向かって次のステップに踏み出しています。

この記事を書いた人

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岡谷 幸恵

様々な業種、職種に携わったのち、現在は学校で支援員として勤務中。また、コーチとして学校や先生、児童生徒にコミュニケーションを学ぶ機会を提供する活動をしている。

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