見出し画像

シンガポールの再雇用契約の流れと注意点

現在シンガポールでは63歳が、法定の定年となっておりますが、高齢者も可能な範囲で就労を続けることを推奨しており、Retirement Re-Employment Act(RRA)で規定されるルールに基づき、再雇用を行うことができます。今回は、会社が従業員を再雇用する場合の流れや、注意点について解説していきます。


1.定年

2023年9月現在、法定の定年年齢は、63歳となっております。このルールは、会社に55歳になる前に入社しているすべてのシンガポール人、もしくは永住権保持者に対して適用されます。会社はこの法定年齢より前に、定年退職を従業員に任意で促すことは、いかなる理由があれ行うことはできません。


2.再雇用の原則

原則として、雇用主は、いかなる理由があれ、年齢を理由に従業員の契約を切ることは許されません。但し、定年を迎えた従業員は、再雇用を行うことが適切かどうか判断を行う必要があります。再雇用の条件をみたせなければ、再雇用を行うことができず、逆に言えば、条件を満たし、かつ本人の意思がある限りは会社は再雇用を行わなくてはいけません。

3.再雇用適格性の基準

・シンガポール人、もしくは永住権保持者

・定年に達するまでに、その雇用主のもとですくなくとも2年間の就業を行っている

・仕事上のパフォーマンスに問題が無い(雇用主の判断による)

・健康的な問題が無く仕事を遂行できる


4.再雇用の期間

再雇用の期間は、最低でも1年となります。その後一年ごとに契約の更新は可能ですが、現行法上は最長でも68歳までとなります。


5.再雇用義務の移転及びEAP

もし、雇用主がその従業員の再雇用を行うことができない場合、別の雇用主、および従業員の同意のもと、別雇用主に再雇用の義務を移すことができます。もし、その選択肢も難しく、再雇用の機会の提供が難しい場合、雇用主は雇用補助金(Employment Assistance Payment (EAP))を従業員に支払うことが推奨されており、慣習上ほとんどの場合支払いが行われています。

雇用支援金については、月額基本給の3.5カ月分程度とされ、$6,250 ~ $14,750の金額内が目安となります。

また、最低30か月間再雇用をされており、再雇用の更新がされない場合に支払われるEAPの額の目安は月給の2か月分、$4,000 ~ $8,500とされております。


6.再雇用の流れ

1. 再雇用を締結するのに該当する従業員が適格かどうかを判断する

※適格でないと判断した場合には、早急にその旨を従業員に伝える。

2. 定年を迎える従業員が63歳になる6カ月前程度から話し合いを始める

3. 再雇用の条件が公正で妥当なものであるか確かめる

4. 63歳になる遅くとも3カ月前に再雇用契約書を従業員に提示する


7. 従業員の駆け込み寺

従業員は、再雇用の機会が正当に提供されていないと判断した場合、Commissioner for Labour (COL) やTADMなどに申し出を提出する権利を持ちます。従業員に不信感を与えないよう、しっかりと事前に話しを行い、コンプライアンス通りに適正に対応することが求められます。


今回は以上お伝えします。
労務や会計、税務のご相談はHPにてお問合せください。
株式会社東京コンサルティングファーム  – 海外進出から進出後の支援まで一括コンサル (kuno-cpa.co.jp)








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?