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【プリンセス駅伝2021見どころ①】

資生堂とダイハツ、エディオンが強力布陣
東京五輪の萩谷や山中ら、代表経験選手も多数出場

 今年は混戦の駅伝となるのか?
 クイーンズ駅伝予選会となるプリンセス駅伝は10月24日、福岡県宗像市と福津市を周回する6区間42.195kmのコースに31チームが参加して行われる。
1区7.0km:宗像ユリックス~宗像大社
2区3.6km:宗像大社~勝浦浜
3区10.7km:勝浦浜~宮地浜
4区3.8km:宮地浜~福津市複合文化センター
5区10.4km:福津市複合文化センター~宗像大社
6区6.695km:宗像大社~宗像ユリックス
 資生堂、ダイハツ、エディオンの戦力が充実し、熾烈な優勝争いが展開されそうだ。トップ通過を果たしたチームは、本大会のクイーンズ駅伝でも上位争いが期待できる。
 また、今年は本大会出場資格が上位20チームに与えられる。例年の14チームより多いが、ボーダーラインのチームに大きな力の差はなく混戦が予想される
 日本代表経験選手も多数出場するので注目してほしい。

●選手層の厚さでは資生堂

 過去のクイーンズ駅伝で優勝や3位以内の実績を持つチームが多数出場するが、その中でも資生堂、ダイハツ、エディオンがトップ通過候補と言われている。
 資生堂は19年世界陸上ドーハ5000m代表だった木村友香(26)が復活。全日本実業団5000mでは15分15秒70と自己2番目の記録で走った。リオ五輪10000m代表だった高島由香(33)も故障から復帰プロセスに入り、9月下旬の記録会3000mで9分22秒91で走っている。
 昨年のプリンセス駅伝は新人トリオが好走した。1区の佐藤成葉(24)が区間4位でスタートし、2区の日隈彩美(24)が区間2位で3位に上がると、3区の五島莉乃(23)も区間2位で、2位を走るヤマダホールディングスに1秒と迫った。
 クイーンズ駅伝でも新人3人が前半3区間を任され、3区終了時には3位も視界に入る5位につけていた。両駅伝とも後半で崩れプリンセス駅伝は5位、クイーンズ駅伝は12位に終わったが、木村と高島が昨年より良い状態なので今年は期待できる。
 昨年は後半区間に起用されたが、今年の木村は1区と3区でも区間賞候補に挙げられる。岩水嘉孝監督は樺沢和佳奈(22)ら新人にも、昨年のようにチャンスを与える方針だ。
 どの区間で攻めてどこで守るのか、そして新戦力や復帰過程の選手をどう試すのか。プリンセス駅伝の資生堂には、選手起用パターンが無数にある。

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●ダイハツとエディオンは2枚看板で優勝争いに

 ダイハツは東京五輪マラソン候補選手(補欠選手)だった松田瑞生(26)の走りが注目される。東京五輪は結局出番は回ってこなかったが、ぎりぎりまで走るつもりで準備していたため、8月いっぱいは休養に充てた。9月末時点では「まだ6割も戻っていない」(山中美和子監督)状態だったが、プリンセス駅伝には合わせて体作りは進んでいる。
 マラソンを始める前は、10000mで日本選手権を2度制し、17年には世界陸上に出場している選手。どの区間に起用されても区間賞候補だろう。
 ダイハツは、19年のクイーンズ駅伝5区区間2位の細田あい(25)がエディオンに移籍したが、強力新人の加世田梨花(22)が加わった。7月には5000mで15分27秒81と早くも自己記録を更新している。松田と加世田の2人で1区と3区を分担するなら3区で、3区と5区なら5区でトップに立つレース展開が期待できる。
 エディオンは萩谷楓(21)が東京五輪5000m代表に成長。キャプテンの西田美咲(30)は1月のマラソンで2時間28分51秒をマークし、10000mでも安定した走りを続けている。18年アジア大会代表だった石澤ゆかり(33)は日立に移籍したが、ダイハツから細田が移籍してきた。
 萩谷は19年までは1500m中心の選手だったが、今年の全日本実業団陸上(5000mと1500mで自己新)後の取材では、10kmの距離へも意欲を見せていた。2月の日本選手権クロスカントリー8kmでは優勝している。
 1区・萩谷&3区・細田か1区・細田&3区・萩谷で、優勝争いに加わりたい。

●背景にも注目したい代表経験選手たちの走り

 東京五輪代表は5000mの萩谷、マラソンの前田穂南(天満屋・25)、3000m障害の山中柚乃(愛媛銀行・20)の3人がエントリーした。前田は8月の合宿中に疲労骨折が判明したため出場できるかわからないが、萩谷は前述のように10km区間への起用も可能性がある。山中は前回に続き1区が濃厚だ。
 前田が出場すれば天満屋は優勝争いに加わることができる。萩谷が3区で快走すればエディオンは、資生堂やダイハツと互角の勝負ができそうだ。山中が区間賞争いを演じれば、愛媛銀行のクイーンズ駅伝初出場に勢いをつけられる。
 3人以外にも、過去のオリンピックや世界陸上、アジア大会代表だった選手が多数エントリーしている。
 天満屋には前田以外にも19年世界陸上マラソン7位入賞の谷本観月(26)、15年世界陸上10000m代表だった小原怜(31)がいる。複数の代表を育てれば駅伝でも自ずと上位に進出できる。
 大塚製薬では伊藤舞(37)が16年リオ五輪マラソン代表で、15年世界陸上7位に入賞した。ユニバーサルエンターテインメントでは鷲見梓沙(25)が15年世界陸上5000m代表、シスメックスでは西原加純(32)が14年アジア大会10000m代表だった。
 第一生命グループには18年アジア大会マラソン代表だった田中華絵(31)が復帰し、鹿児島銀行にはリオ五輪5000m15位の上原美幸(25)が第一生命から移籍。鹿児島銀行は池満綾乃(30)も19年世界陸上マラソン代表だった。岩谷産業では中野円花(30)が19年世界陸上マラソン代表で、京セラでは山ノ内みなみ(28)が19年世界陸上10000m代表だった。
 伊藤は18~19年と故障で低迷し、東京五輪は選考会のMGCにも出場できなかった。それでも自分なりの目標を設定し、走り続けている。西原はバセドー病の影響で18~19年は記録が落ち込んだが、20年には17年に出した5000mの自己記録に約3秒と迫った。
 池満のように新興チームで代表が育てば、周囲の選手は練習に自信を持つことができる。中野のように代表経験選手が移籍してくれば、新しいチームの刺激となる。
 代表選手たちがチームで果たしている役割を想像しながら観戦すれば、駅伝をより面白く見ることができる。

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TEXT by 寺田辰朗
写真提供:フォート・キシモト

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