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2020年9月20日 「風をよむ~危ぶまれる司法の力」

ドキュメンタリー映画【RBG 最強の85歳】より「当時の法律はこんな風です。『夫は社会を動かす存在である。妻はそれに従うべきである』。そこで女性は立ち上がり、不満を訴えました」

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今月18日、87歳で亡くなったアメリカ連邦最高裁の女性判事、ルース・ギンズバーグ氏の半生を描いたドキュメンタリー映画。

1970年代から、弁護士として、男女差別の解消と女性の権利拡大に尽力し、存在感を発揮。そして1993年・・・。

クリントン大統領「107人目の合衆国最高裁判事に指名しますー」

女性として史上2人目の最高裁判事に就任したギンズバーグ氏。

ギンズバーグ氏「男性と平等であるために重要なのは、女性が自分で決断を下せるかどうかです。自己決定は女性の人生や尊厳の核心にあるものです」

彼女は晩年、ガンと戦いながら、リベラル派判事として、国民から多くの尊敬を集めました。

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トランプ大統領(26日)「今日、この国の最も才能がある人物に最高裁判事に指名できて誇りに思う。エイミー・バレット判事!」

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そして26日土曜日、ギンズバーグ氏の後任が注目を集める中、トランプ大統領は保守派として知られるエイミー・バレット判事を正式に指名しました。 

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定数9人の終身制である最高裁判事は、ギンズバーグ氏が死去し、後任にバレット氏が議会で承認されれば、保守派6人に対し、リベラル派が3人となり、圧倒的に保守色が強まると見られます。

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最高裁判事は、銃の規制や妊娠中絶問題など、国民の考えを二分するテーマをどう判断するか、アメリカ社会に大きな影響を与える存在だけに、その行方が注目されているのです。

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司法・行政・立法が互いに抑制しあう「三権分立」。司法には政治権力をチェックし、その暴走を抑える重要な役割があります。

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実際、アメリカの最高裁は、大統領が掲げる政策でも「憲法違反」と判断すれば実行を認めず、「法の番人」としての役割を果たしてきました。

ところが、トランプ政権になって・・・。

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今年7月、「ロシア疑惑」を巡る問題で、トランプ大統領は、偽証罪などで実刑が確定し、収監直前だった盟友のストーン被告に対し、司法省の手続きなしに刑を免除。

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他にも、自分に近い人物には恩赦を与えたり、意に沿わない司法長官を更迭するなど、度々、司法の独立を脅かしてきたのです。同様に、「行政」が「司法の独立」を脅かすケースは、他国でも・・・。

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大規模な市民デモが続くベラルーシ。発端は先月の大統領選で「欧州最後の独裁者」と呼ばれるルカシェンコ大統領が6選を決めたことでした。

不正得票の疑いがあると対立候補が裁判所に選挙無効を訴えますが司法が、ルカシェンコ大統領の影響下にあるとされる中、最高裁は訴えを却下。市民の怒りに火をつけたのです。

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さらに、香港でも・・・。

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林鄭月娥行政長官(1日)「香港は三権分立ではない」

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今月1日、香港では林鄭月娥行政長官が「香港は三権分立ではない」と明言。行政が、司法、立法よりも優越するという認識を示しました。

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さらに、右派政党による強権政治が続くポーランドでは2月、「政権を批判した裁判官を罷免できる法律」を成立させるなど、司法への圧力を強めています。

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世界各国で危惧されつつある「司法と行政」との関係。翻ってみれば、日本もまた他人事ではありません。

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後藤祐一衆院議員(今年5月/衆院予算委)「黒川検事長のような方が自分を守ってくれる守護神として必要だから、この法案を出したんじゃないですか」安倍晋三首相(当時)「それは全く当たりません」 

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今年5月、国会では検察庁法の改正案を巡って、野党は安倍政権に近いとされる、当時の黒川東京高検検事長を「検事総長に据えようとしているのでは」と追及しました。

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国会議員の汚職事件を捜査するなど、政治からの「独立性」が求められ「準司法機関」ともされる検察庁への政治介入が懸念されたのです。

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先日亡くなった、アメリカ最高裁の判事、ギンズバーグ氏は政府や議会を監視する、司法の重要性について、生前こう語っています。

ギンズバーグ氏「もし、『議会が制定した法律』や、『大統領が出した命令』が憲法と矛盾していたら、優先されるのは憲法なのです」

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