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2021年6月6日放送風をよむ「天安門事件から32年」

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香港警察官「ここから離れろ!」「集まるな!立ち去れ!」

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6月4日、香港。配置された7千人の警察官が、近づく市民らを排除する様子をJNNのカメラは捉えていました。

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香港市民「天安門で亡くなった人たちの同胞が、ここに集まっているんだぞ!」

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香港で毎年行われてきた天安門事件の追悼集会が、今年は警察当局の抑え込みによって初めて開催されませんでした。

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今から32年前、中国が民主化運動を武力弾圧した天安門事件。政府の公式発表では、死者319人とされていますが、実際は数千人との推計もあります。

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国家安全維持法が施行された香港では、警察が活動家を連行する様子も見られ、地元メディアは少なくとも6人が逮捕されたと報じています。

この日、天安門広場周辺でも厳重な警戒態勢が敷かれました。

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中国外務省・汪文斌報道官「1980年代末に起きた政治的な騒ぎについて、中国政府はとっくに明確な結論を出している」

32年前の天安門事件当時と同様、強硬な姿勢を内外に示す中国。香港の問題に加えて、新疆ウイグル自治区での強制労働などへの批判に対しても…

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中国外務省・趙立堅報道官「重要なことは3回言います。中国ではジェノサイドはない。中国ではジェノサイドはない。中国ではジェノサイドはない」

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こうした攻撃的な外交姿勢は、「戦狼外交」とも称されます。

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例えば今年4月、福島第一原発の処理水の海洋放出を揶揄するようなイラストを、中国外務省の報道官がツイッターに投稿。日本政府の抗議に対して、平然と反論を行ったのです。

中国外務省・趙立堅報道官 「イラスト作品が反映したのは正当な民意と正義の要求だ。日本政府こそ間違った決定を撤回し、謝罪すべきだ」

ところが、こうした「戦狼外交」を展開する中国の習近平主席が、月曜日、中国共産党の会合でこんな発言を行い、波紋を呼びました。

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「腰を低くし、謙虚さを忘れず、信頼され、愛され、敬われる中国のイメージを作るように努力しなければならない」

国際的イメージアップをはかるよう指示したというのです。唐突ともとれるこのメッセージの背景を、専門家は…

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神田外語大学・興梠一郎教授「(中国にとって)ヨーロッパと組めばアメリカに揺さぶりをかけられるというのが伝統的な手法。しかし、EUが中国に非常に厳しく出始めた。投資協定の審議が凍結されたり、イギリス・フランス・ドイツ・オランダがインド太平洋まで軍艦を派遣する動きになっている。EUとの関係がおかしくなってきていることに危機感を持っているのかなと」

先月、日本、アメリカ、フランス三か国が共同訓練を行うと、それを牽制するかのように軍事訓練を実施。しかし、その一方でイメージアップをはかる中国は最近のメディア対応でも・・・

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記者「『偉大なる中国共産党万歳』というスローガンが掲げられています」

中国のチベット自治区。街のいたるところに掲げられているのは来月の中国共産党創立100年を祝うスローガンです。

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1951年、中国がチベットを「解放」したとする日から、70年を迎えたのに合わせ、海外メディアを招いたのです。

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こちらの学校では、 およそ900人の僧が、チベット仏教のほか、中国語を学ぶ愛国教育とも取れる風景を、メディアに公開。

チベット仏教の少年僧「素晴らしい教育の機会を与えてくれた中国共産党とこの学校に感謝します」

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また先月、チベット自治区トップは、この70年で経済は飛躍的に発展したなどと、その成果を強調しました。

チベット自治区共産党委員会・呉英傑書記「チベット自治区のGDPは1951年に比べ、320倍になった」

しかし、こうした今の中国の状況について、興梠さんはかつての指導者・鄧小平氏を引き合いに懸念を示します。

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神田外語大・興梠一郎教授「鄧小平もアメリカに負けない強国になるというのがあった。ただやり方がもっと巧みだった。アメリカとの摩擦を避けて経済発展に集中するというやり方。習近平体制になってからは『もういいだろうと、なりを潜める必要もないだろう』とそういう路線に切り替わっている。一種のナショナリズムを使って求心力をつけていく」

来月には、共産党創立100年を迎える中国。一方で、天安門事件の遺族の会「天安門の母」の一員で、夫を亡くした女性は、今もこう訴えます。

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遺族の会“天安門の母”尤維潔さん「100周年で、共産党と政府には、自らの功績を称賛するだけではなく、自らの過ちも反省してほしいです」


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