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2020年5月3日 「風をよむ~ 新型コロナで揺らぐ世界秩序」

・新型コロナ感染拡大で世界のリーダーの資質が露わに…

・コロナ禍で世界秩序に変化が…

・コロナを口実に米中の覇権争いが激化

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世界を揺るがす新型コロナウイルスの感染拡大。それはまた、各国のリーダーにとって政治姿勢が問われる正念場ともなりました。

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ドイツ・メルケル首相
「開かれた民主主義では政治の決定は透明でなければならない」

東ドイツ出身のメルケル首相は、国民に強く自由の制限を求めざるを得ない状況を前に、その苦渋の選択を、こう国民に語りかけました。

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ドイツ・メルケル首相
「旅行や行動の自由を苦労して勝ち取ってきた私にとって、国民に不自由な生活を強いるなどということは、絶対に必要なとき以外、正当化できるものではありません。苦難の時こそ、お互いに寄り添いたいものですが、今は、その反対のことを、しなければならないのです」


この演説は、世界に伝えられ、国の内外から共感の声が上がりました。しかし、その一方で…

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ブラジル・ボルソナロ大統領 「新型コロナウイルスは、ただの風邪だ」

耳を疑うような発言をしたのは、ブラジルのボルソナロ大統領。

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ブラジル・ボルソナロ大統領「国民の7割は感染するだろうが、そんなことより大事なのは経済活動だ」

ボルソナロ大統領は、隔離政策は、経済破綻を招くと主張、自分を支持する経済界や富裕層の期待に応えたのです。さらに…

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フィリピン・ドゥテルテ大統領
「警察と軍へは、射殺してもかまわないという指令を出した」

フィリピンのドゥテルテ大統領は、都市封鎖に批判的な勢力を念頭に、「過激な行動をとれば射殺する」と国民に警告。その結果…

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先月21日、ケソン市で検問を担当していた警察官が、威嚇するような言葉を叫んだ男性を、その場で、射殺したのです。

国の指導者の資質が問われる、新型コロナの爆発的感染。

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その影響は一つの国にとどまらず、世界全体の仕組みに、大きな変化をもたらすのでは、という指摘もあります。その一人が、アメリカの国際政治学者、イアン・ブレマー氏。

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国際政治学者・イアン・ブレマー氏「各地で『権力の真空状態』が発生し、世界的リーダシップがない、状態に陥るだろう。そしてそれは、アメリカ主導の世界秩序を、構造的に大きく変化させるだろう」

「世界秩序が変化する」という警告の背景にあるのは、新型コロナで、最も深刻な影響を受けたのは、他でもないアメリカである、という視点です。

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すでに、新型コロナによって、GDPが年率換算でマイナス4.8%と、 11年ぶりの低水準まで落ち込むとされる、アメリカ経済。

そればかりか、新型コロナは世界最強のアメリカ軍にも襲いかかります。

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米軍・ミリ―統合参謀本部議長
「セオドア・ルーズベルトに感染者が出たことがニュースになっている。
確かに重大な出来事だ」

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太平洋に展開中の空母「セオドア・ルーズベルト」で集団感染が発生。さらに、横須賀に配備されている空母「ロナルド・レーガン」や、アメリカ西海岸にいる「ニミッツ」「カール・ビンソン」でも、感染者を確認。

これら4隻の空母が身動きが取れなくなったことで、アジアにおけるアメリカ軍の存在感が低下しているのです。
 
このタイミングを見計らったように動き出したのが、中国の空母でした。

新型コロナによる、アメリカの軍事力への打撃。この時とばかり、中国人民解放軍の公式サイトでは、こんな分析が…

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軍事評論家「太平洋地域において米国の空母の作戦能力が縮小。今後、海上でのコントロール能力は急速に低下するだろう」

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実際、先月11日、中国海軍の空母「遼寧」が、沖縄本島と宮古島の間を南下し台湾付近を通過。太平洋に抜ける“示威行動”を実施したのです。

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河野太郎防衛相「何を考えているのか、というのが率直な思いだ」

新型コロナを巡っても、米中の姿勢の違いは鮮明でした。

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アメリカ・トランプ大統領「WHOは進んで中国の言い分を額面通り受け取り、その中国の『透明性』を称賛さえした…。どうかと思う」

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トランプ大統領は、新型コロナに関するWHO・世界保健機関の姿勢を中国寄りだとして拠出金の停止を宣言。さらに「新型コロナは中国が流出させたと」発言するなど、世界のリーダーとしての姿勢に、疑問符がついています。

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対する中国は、これまでに、11か国に医療チームを派遣し、127か国に医療物資を輸送したと発表。新型ウイルスに苦しむ国々への支援を、アピールしたのです。

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そつなく覇権の拡大をうかがう中国。そして自国第一主義を押し通すアメリカ…。その狭間で方向軸を失い、混迷をさらに深める、世界。
  
いずれ、新型コロナが世界の秩序を変えたと、いわれる時が来るのでしょうか?

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