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新型コロナウイルス 専門家会議~医療従事者に対する偏見や差別は絶対にあってはならない(4月22日)

緊急事態宣言の発令から2週間が過ぎ、政府の専門家会議は新たな提言を出しました。

重点医療機関人材の養成

医療提供体制について

医療体制

・重症者、中等症者を集中的に受け入れる「重点医療機関」を全都道府県で速やかに設定する

・ 重症者への集中治療を行える人材をできるだけ短期間で養成できるようなプログラムを整備する

・必要に応じて、不要不急の受診や予定入院、予定手術の延期など空床確保に努める

・無症候例、軽症例の療養先となる宿泊施設の確保と具体的な準備を行う

・ 災害医療コーディネーター等、災害時の対応に精通した医師を配置するなど体制を整備

・院内感染を防ぐために感染管理を徹底する。院内感染が発生した場合に、院内の医療体制を維持するため、様々な仕組みを活用する

・増加すると思われる小児の医療は、成人と異なる点が多く、日本小児科学会などの意見を聞きながら、診療体制の整備を進める


感染防護具、検査試薬、検体採取スワブ等の確保

・政府に対し、危険と隣り合わせで過酷な仕事に従事する医療者のために感染防護具等の確保、検査試薬など資材の安定確保などに最大限努力する。


PCR等検査体制の拡充について

PCR検査

専門家会議の尾身茂副座長は、検査の数は増えているが、検査のキャパシティーの1万3000件までには届いていない。検査の機関にいくまでのプロセスが非常にうまくいっていないと指摘しました。

・医師が感染を疑い、検査が必要と認める場合には検査を実施すべきである。速やかにPCR等検査体制の拡充を図っていくことが求められる。

・保健所を経由しなくても済むよう、大型のテントやプレハブ等の設置や地域医師会等と連携した地域外来・検査センターの設置など、外来診療体制を増強する。

・帰国者・接触者相談センター業務の外注や委託の推進により、できる限り保健所の負担を小さくするよう工夫する。また、検体の送付先として、民間検査機関の活用をすすめる。

・帰国者・接触者相談センターや、帰国者・接触者外来の名称については、市民に分かりやすく周知するため、「新型コロナ受診相談センター」や、「新型コロナ紹介検査外来」などに変更することも検討するべき。

・院内感染や施設内感染が疑われる場合には、感染が疑われる患者や濃厚接触者の検査を優先的に実施できる体制を準備する。

・高齢者、基礎疾患のある方や、肺炎が疑われるような強いだるさ、息苦しさ、高熱等がある場合は、4日を待たず、すぐにでも相談することを市民に周知する。

尾身さん00000002

都道府県知事等によるさらなるリーダーシップの発揮

・医療機関の役割分担の促進、PCR等検査の体制強化、保健所の体制の強化、業務の効率化、関係機関との連携等については、都道府県知事などの強いリーダーシップが求められる

・地域の感染状況の把握については、これらの自治体の長が地域における実務リーダーを指名し迅速に進めることを期待

・感染状況の共有などについても、都道府県及び保健所設置市・特別区にこれまで以上の連携をお願い

・感染者などの救急車による搬送などについては、知事がリーダーシップを取り、消防機関を所管する市町村長や民間事業者の協力を得る必要がある


医療従事者やその家族への差別・偏見について

医療従事者への差別

今回の提言では、医療従事者やその家族への偏見や差別は、医療従事者の離職や休診などにつながり、医療崩壊などにつながりかねないと指摘しています。

・感染症に対する偏見や差別、特に医療・福祉従事者に対する偏見や差別は、絶対にあってはならない。

・本感染症に対する偏見や差別の解消に向けて、

◆新型コロナウイルスは誰もが感染しうる感染症
◆誰もが気付かないうちに感染させてしまう可能性のある感染症
◆病気に対して生じた偏見や差別が、更に病気の人を生み出し、感染を拡大させるという負のスパイラル
◆医療従事者をはじめとして本感染症への感染リスクと隣り合わせで働いている人々に対する敬意を示しましょう

といったことを、啓発する活動が求められる。


西浦さん00000003

専門家会議に参加している北海道大学の西浦博教授は

「今のように感染者数が増加してしまって、緊急事態宣言下で行動を著しく制限しないといけないような状況は数か月単位の問題に収めたいと思う。他方、あまりにも社会経済活動が戻ってしまって、もう一度感染者数が増加に転じるということがあれば、それを繰り返さざるをえないことも想定しないといけない問題。少なくとも当面の見込みというのは、今すぐにこれまでと同じような生活が返ってくるわけではなく、向こう1年間は、この流行とは多かれ少なかれつきあっていかないといけないと考えている

と今後の流行の見通しを示しました。

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