現代口語短歌、おもしろい

最初に言っておくけど、ルールとか趣とか、よく分からない。
ただ言葉の連なりとしての短歌を面白いなと思っていて、それを私的に整理、そしてあわよくばおすすめしたいという気持ちがある。
現代口語短歌、おもしろいよ、なかなか。


はじまりの短歌

もうどうやって出会ったかなんて忘れてしまったけど、初めて面白いなと思った短歌はこれ。

ねえドラゴンきみに名前をくれた人きみが全員殺してしまった

水銀飛行/中山俊一

シンプルな言葉だけの構成だから口ずさみやすくて、それでいて鋭い。
「ねえ」と話しかけられるような距離感でドラゴンに対峙する詠み手のことをいろいろと考えてしまう、不穏な空気が漂う短歌で、いまだに好きです。

ねえ、きみが話しかけているドラゴンがきみのこと殺さないって、どうして信じられるんだろう?

この歌が収録されている「水銀飛行」という短歌集を買ってみると、なかなか面白いと思える歌がいくつかありました。

溶けてゆく氷の数を数えてた 僕なら僕であろうとしてた

水銀飛行/中山俊一

氷に自我はないのに対抗する姿に、意地や幼さや未熟さを感じるのと同時に、本人はそんなこときっと気付いていないんだろうなと思ったり、そんな人ってなんだかんだ愛おしいんだよなあと誰かのことを思い出したり。
自分もはたから見たらこんな意地の張り方をしてるのかもしれないな、とか。

沼へのnote

(2023.4.2 追記
noteの記事が削除されていたので、引用を消去しました。)
これもどこからか流れてきた記事で、何度も何度も読み返しています。
ただ31音が、誰かの人生を肯定することができるのか。
衝撃でした。

ここから木下龍也さんを知り、何冊か短歌集を買いました。
もしかして短歌ってめちゃくちゃ面白んじゃないか?と気づき始めたのも、この頃。

絶望もしばらく抱いてやればふと弱みを見せるそのときに刺せ

あなたのための短歌集/木下龍也

口に出してみると「ふと」から言葉が加速する感覚があり、その勢いと「刺せ」という鋭利な言葉の雰囲気が相まって、「抱いてやれば」という言葉とのギャップにドキリとする。

最近出会った短歌

これはTwitterで短歌を見ていたときに出会った一首。

決められたレールを走りたくないのなら人を轢く覚悟をしろよ

宇野なずき

音を型にあてはめて読んでみると、
決められた/レールを走り/たくないの/なら人を轢く/覚悟をしろよ
と、かなり外れています。
が、しかし内容とリンクしていて面白い。
でも最後の覚悟をしろよだけ定型にハマっているのもまたずるい。

覚悟だけは”型”から外れないのだと思う、どんな信条だとしても。


いまだに読むばかりで、自分で詠んでみようという気にはまだなりませんが、ずっと面白いのできっと短歌が大好きなんだと思う。
これからも短歌を楽しんでいきたい所存です。


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