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TBSドキュメンタリー映画祭2024舞台挨拶レポート3/22(金)~24(日)@大阪

ついに3月22日(金)より、大阪のシネ・リーブル梅田でも開催がスタート!開催初日から3月24日(日)までの3日間では、『家さえあれば ~貧困と居住支援~』、『映画 情熱大陸 土井喜晴』、『最後のMR.BIG ~日本への愛と伝承~』、『旅する身体~ダンスカンパニー Mi-Mi-Bi~』の舞台挨拶を実施しました。
作品の監督や出演者が登壇し、満席続出の大盛況となった舞台挨拶のレポートをお届けします!


 ○舞台挨拶レポート3月22日(金)

①『家さえあれば ~貧困と居住支援~』

【登壇者】監督:海老桂介
ゲスト:田村裕(芸人)、坂本慎次(NPO法人生活支援機構ALL代表理事)

生活困窮者への住宅支援を続ける坂本慎次さんを追った本作について、海老監督が「撮影期間は2年くらい。90分の撮影素材が120~130本くらいあり、途中で鬱になりそうになった」と冗談交じりに編集の苦労を語ると、ほぼ満席となった会場は笑いに包まれました。ナレーションを担当したのは「ホームレス中学生」という自叙伝を出したこともある麒麟の田村さん。「相方は声も良いが、僕はコンプレックスがあり最初は断ろうと思った。でも、映画のタイトルを聞いて僕がやらねばと思った」と当時の心境を明かしました。自らの経験から「家がなくなる恐怖感。屋根や壁がない不安感。そして家に入ったときの安心感は気持ちとしてわかる」と語ると、本作の主人公でもある坂本さんは「孤独にさせないのが大切。正しい生活保護の知識を持った上で、今後も本当に困っている人たちに手をさしのべたい」と今後の活動継続に向けた決意を示しました。

②『映画 情熱大陸 土井喜晴』

【登壇者】監督:沖倫太朗 ゲスト:土井喜晴(料理研究家)

テレビでお馴染み「情熱大陸」の拡大版として公開された本作。「普通はドキュメンタリーで出た人が舞台挨拶なんてしない。なんか騙されたみたいや」と恐縮しながら登壇した土井喜晴さんですが、いざマイクを握ると次から次へと名言が飛び出しました。「料理はおいしく作ろうと思った時点で表現者になってしまう。そんな構図が家庭に必要ですか?」と満員の観客に問いかけた土井さん。「具だくさんのお味噌汁、絶対おいしいから。ゴミも出ない。台所と地球はつながっている。みんなに一汁一菜を知って欲しくて情熱大陸の取材も受けることにしたんです」。止まらない“土井節”に沖監督は「こんな感じでどこに名言が潜んでいるかわからないから、ずっとカメラを回し続けないといけないんです」と取材時の苦労を明かしました。「これだけレシピを作ってきた人が『レシピは要らない』と言っているのがおもしろい。今では『味付けもしなくていい』とも。どんどん進化してもう僕の手に負えなくなっているが、第2弾もあるかもしれない」と思わぬ匂わせ発言が飛び出すと、会場からは大きな拍手があがりました。

○舞台挨拶レポート3月23日(土)

①『最後のMR.BIG ~日本への愛と伝承~』

【登壇者】監督:川西全
ゲスト:伊藤政則

日本を愛し、日本に愛されたアメリカのロックバンドMR.BIGを追ったこの作品。登壇した音楽評論家の伊藤政則さんは、「震災の後にこのバンドが日本にどう寄り添ったかがよく分かる作品。お互いが元気になり元気をもらった」と、バンドと日本の固い絆について熱く語りました。中高生の頃からMR.BIGのファンだったという川西監督は「2011年の震災時に盛岡でのショーを取材して大きなモチベーションになった。こうして作品にできて肩の荷が下りてホッとした」と制作の動機と完成後の心境を明かしました。また、伊藤さんは「本作にはMR.BIGを心から愛した監督の視点がある」と評価。川西監督が「作品は敢えて淡々と作った。バンドが日本との間に積み上げた事実そのものが重いので、それを見せるだけで伝わると思った」と作品に込めた思いを明かすと、ほぼ満席となった会場のあちこちからすすり泣く声が響きました。

○舞台挨拶レポート3月24日(日)

①『旅する身体~ダンスカンパニー Mi-Mi-Bi~』

【登壇者】監督:渡辺匠、志子田勇  
ゲスト:森田かずよ(出演者)・武内美津子(出演者)
手話通訳:三田宏美

「未だ見たことのない美しさ」を観客に届けるダンスカンパニー「Mi-Mi-Bi」に密着した本作。上映後の舞台挨拶は、ダンサーとして出演された三田宏美さんに手話通訳として協力いただき、和気あいあいとした雰囲気の中で始まりました。劇場の隅で観ていたという志子田監督が開口一番「いい映画だったなあ」と思わずもらした正直な感想に、会場からは拍手が沸き起こりました。
本作は、志子田監督が「Mi-Mi-Bi」と出会い、記録映像として撮影を続けていたことがきっかけで映画になりました。「障害がある長男のことで悩んでいたときにみんなの前向きに頑張る姿を見てもらいたい、映画にしようと持ちかけました」と渡辺監督。
本作に出演している演出家でもあるダンサーの森田かずよさんは「旅人というキーワードは私が決めましたが、結局みんなで作った作品です。正直切羽詰まった時もあったんですけど私たちがどんな背景でダンスをしているかのそのプロセスを振り返れることができてよかったです」と。同じく出演者の武内美津子さんは「私の場合は見えないのでみなさんがどんな表情なのか、撮られていることも分からないので、映っているのはありのままの素の私です」と正直な気持ちを語ってくれました。

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