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本屋で音楽を売ることにした。

nostos booksで音楽CDを売ることにした。ご存知の方もいるかもしれないが、実はその昔、レコードを置いていたりもしていた。というのも、社長はバンドマンだし、店長も音楽好き(CDジャケットを手がけたりしてた!)で、音楽との距離は近かったりする。もちろん自分も音楽大好き。

CONTRASTでインタビューをさせてもらったつながりで、いくつかCDを取り扱わせてもらったこともあったけれど、そのアーティストをフォローしている人にしか届かないような置き方しかできていなかったので、改めて取り組んでみようと。これから届けたいのは、常に音楽をフォローしていなくても、良い音楽があったらいいな、と思っている人

音楽は、空間を作るのに欠かせない要素

スーパーマーケットではなにかしら購買させようと盛りたてる音楽が流れているし、カフェのBGMは居心地の良さを演出している。うちでもBGMについて問合せを受けることは度々あった。まあ、そのときは各々の好きな音楽を流していたんだけど、ドスドスしたヒップホップもあれば、ピコピコしたエレクトロニカとかもあって……。普段聴き慣れていない人からすれば心地よいとは感じられなかったのか、滞在時間が数秒なんてお客さんもいた。その節は、すいませんでした。

お店側からの視点で言えば、お店づくりには商品のバリエーションと、それを魅力的に見せる場が求められる。居心地の良さを演出できる音楽を組み合わせられれば、お店をゆっくり見てくれる人が増えて、お気に入りの本を見つけてくれたり、居心地を求めて通ってくれたりすることに繋がる。そんな居心地を作ってくれる音楽を持ち帰って、自分の空間も一層高めてもらえたらとても嬉しい。

で、そんなきっかけをくれたのは、私の髪を切ってくれている代官山のヘアサロン「to」の谷本さん。彼はとても音楽が好きで、自身でミュージシャンを募り、クラウドファンディングでコンピレーションアルバム『風を感じる音楽』を2016年にリリースした。すごい行動力。

ヘアサロンのBGMも彼が選曲しているんだそう。空間の質が問われるサロンにとって、音楽はとても重要なもの。以前なんとなく価格や近さで通っていたヘアサロンのBGMがそれはまあひどかったので、こんなにも居心地が違うものかとびっくりした。もともと自分の好きなインストゥルメンタルバンドが非常に高い割合でセレクトされていたというのもあったけど笑。

これだったら、もしかしたら音楽の販売に再挑戦できるのでは?と思い、『風を感じる音楽』を取り扱わせてもらうことにした。併せて、友人に勧められて良いなと思っていて、コンピに楽曲も書きおろしている[.que]さんやyutaka hirasakaさんのアルバムも置かせてもらえることになり、7タイトルでCDの販売がスタート。BGMとして流しつつ、CDプレーヤーで試聴もできる。ひとまず、音楽に疎いと自称するスタッフ・なつきちゃんにも好評だった。よし。

CDショップにはできない見せ方を本屋で

音楽CDを買う場所として、真っ先に思い浮かぶのはCDショップだろう。確かに品揃えは充実しているし、店員さんの熱が込もったアツイPOPは強い。そりゃあCDを売る場所だから、展開面積も広い。……勝てない……。

でもでも本屋なら、使用シーンをイメージした提供ができるはず!ですよね。「この音楽はどんなものか?」だけではなく、「この音楽をかけることで、どんな空間になるか?」を実際に知ってもらえる。CDショップで流れているのはBGMじゃなく、ストアプレイ、つまりプッシュしたい音楽だ。(大手の)CDショップの店頭で試聴しても、自分の暮らす空間で流したときのことをイメージするのは少し難しい気がするし。

それに、白盤ではなくパッケージのサンプルをできるだけ用意してもらうことにした。シュリンクを開けてわかることはたくさんある。サポートは誰がしているのか、ジャケットのデザインは誰が手がけたのか、ブックレットはどんなデザインになっているのか。多くの商品を取り扱えないぶん、ひとつひとつの商品の情報量をできるだけ多くする

写真は[.que]さんの『Nightfall』。写真家・国分真央さんの写真集と一体になっていて、こういうものこそ本屋にあると良いなと。

あと、これからだけれど、音楽ライターでもない自分が、聴き手としての立場でレヴューを書きます。昔からどうも音楽ライターのカタカナでジャンルを並べたレヴューをすんなり飲み込めたためしがなく(自分の知識不足もあるけれど)、CDショップのポップは音楽ファンとしての言葉だから、音楽ファンに向けたものだ。すなわちハイコンテクスト。
大手CDショップの商品詳細ページにあるレヴューはレーベル側が用意したものがほとんどで、どこでもそれが引用されている。こちらも音楽業界の人の言葉。

誰でもオンラインストアが開ける時代だから、どこでも買えるけれど、お店が商品に与えられる価値は、その店でしか得られない情報・知識・視点だと思う。と、ハードルを上げてしまったけど、いち聴き手として親しみやすいレヴューを書きますね。公開したらまたブログ書きます。

本を買って、いろんな方に貸出もできればと思っています。